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ニュース〜医療の今がわかる

医療事故調検討会11

そもそも前提部分がおかしいという大問題はさておき
以前に比べれば真摯に議論が行われていたと思います。
今回は山口委員のみ欠席。

何を「真摯」と感じたかと言うと
今回は座長が強引な取りまとめを一切しなかったこと。
よって私としても今回の議論に突っ込みを入れる必要性を感じない。
委員それぞれ立派なことを述べていて
しかしやはりまだ一致点が見えないことだけ分かれば十分だ。


では淡々と本日の各委員の発言を拾っていくことにしよう。
前田座長
「本日は3つの議題を予定している。新しい2つ、つまり①医療安全調査委員会(仮称)における調査についてと②院内の事故調査について、そして前回議論したけれど不十分だったので引き続いて③医療安全調査委員会(仮称)への届出範囲について、だ。では事務局説明を」
(略)
「前回の流れから行くと③を先にするのが筋だろうが、新しい論点にもメドをつけておきたいので①からご意見を頂戴して、最後に③についてご議論いただきたい」


資料を見ないと議論が分かりづらいと思うので掲載しておく。



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加藤
「個別の話に入る前に総合的な話で時間をいただいてもよろしいか。

ここで議論している目的は、安全で質の高い医療をめざすこと、そして医療従事者たちがイキイキと自らの能力を発揮することを願っているのだと思う。医療者には、安全で質の高い医療を実践できる環境で働く権利がある。第三者機関がそれに貢献するものであってほしいと願っている。

第三者機関への届出を限定しようとの意見だが、正直者が正直に届け出たならばなるべく寛大に謙抑的に扱うべき。そのためには医療界が自浄作用を発揮し、公平・公正な調査・説明を行う必要がある。そのためにも院内に事故調査体制を整備することは重要であり、単に医師法21条の代替となるものを作るのでなく、事故から学ぶ営みを形成すべきであるということをまず述べておきたい」


前田座長
「第三者機関や捜査機関への不信感が大きく、そのほとんどは誤解に基づくのだけれど、しかし一方で説明不足もあると思うので、そこの部分は埋めていかないとと考える。院内調査の必要性はその通りだと思うが、まさに②の論点なので、その議論の時にぜひご議論いただきたい」


堺委員
「①に触れる前に一言。医療安全の推進に資するためというのには全く賛成。医療に従事する人や機関もその一翼を担いたいと考えている。医療界の自浄作用自浄作用と言われると、全体が汚濁しているかのように受け取れるが、全体が汚濁しているわけではないので、その辺りは言い方にご配慮いただければありがたい。

①-1の相談はぜひ必要。365日24時間の対応が求められ、相当の制度設計が必要なのは自明。

①-3、警察へ通知を行うことに原則的に異論はない。医療者たちが心配しているのは、ここに示されたもの以外に捜査に着手されるものがあるのでないか、ということ。ご遺族からの相談があった時にどうするのか、議論が必要だろう」


高本
「①-2、これは解剖を前提にすべきだろう。解剖がない事例も調査依頼はあるだろうが、モデル事業をやっている経験からすると、制度設計上は解剖を前提で始めて、制度が成熟してから、それ以外のものを入れた方がいい。解剖した時に所見のあるものないものあるが、所見がないというのも重要な情報であり、ウとかエとか長期経過を見るものについては院内調査委員会や学会の調査委員会を活用すればよい。

①-3。先日も点滴の中に防虫剤が入っていたというような事例が報道されたが、刑事免責を法律として認めることはないと聞く。これは受け入れなくちゃならんと思う。ただ、故意、リピーター、改ざんが犯罪として扱われるのは納得なのだが、重大な過失については医療者から不安の声が上がっている。すべて患者さんが亡くなっている以上、重大とは何なのか議論する必要があると思う。多かれ少なかれ、事故の背後にはシステムエラーがある。「重大」かどうかは、調査委員会が評価すべきであり、アプリオリには言えないのでないか」


辻本
「①-1。相談のことを考えていただき、うれしく思う。ただし人材育成にはお金がかかる。医療評価機構の事業として医療安全対策の人材育成がされ、それが自治体に取り組みとして広がっていて、私達も関わらせていただいた。しかし、いつの間にか自治体任せになって人材育成の部分はトーンダウンしている。初期のころに育成された人たちが、拠り所のない不安を訴えてきている。

第三者的スタンスの確立は容易なことではない。私たちも、未だに答えを見いだせていない。マニュアル対応が求められる一方で、マニュアルだけでは遺族は満足しない。赦しの心を持って忍耐強く話を聞く必要がある。振り分けだけで機能が果たせるとは思わない」


前田座長
「高本委員に質問。解剖を前提にすることと『重大な』を委員会が判断することとの整合性はあるのか。というのが、今回の趣旨は、どこまで事前に明確に分けられるかはともかく、まずは医療側が判断して振り分けるということ。解剖を前提にすると、遺族からの訴えで解剖が行われていない時は、委員会が関与せずに捜査機関が判断して構わないのか」


高本
「理想的には将来は全部委員会が判断することが望ましいけれど、2~3年後に制度化された時にそこまで全国一律にやるのは無理。まず一番は解剖のある症例から広げるスキームの方がスムーズ。モデル事業をやっての実感だ。足元を支える人材育成もしていかなければならないし」


前田座長
「しかし解剖しなければ警察へ行ってしまうというのでは、遺族側の納得はもちろん、医療側の納得も得られないのでないか。今まで通りの21条が残ってしまっていいのか」


木下
「理想的には解剖が前提になるだろうが、しかし遺族から警察へ届け出がなされた時に、ご遺体がなくても調査委員会が機能することが大事な役割だと考える。対象を広げすぎると機能しづらくなるのは確かだが、ぜひ座長の言う通り、その方向性も残していただきたい」


樋口
「この検討会は一体どこへ向かっているのか。ひとつ一つ詰めている地道な作業をしている段階なんだろうが、第二次試案に対してパブリックコメントをはじめ色々な意見が出されている。我々からすると説明不足なところと、それからそもそも内容がしっかり詰め切れていないので分かってもらえない部分とがある。この検討会があと何回くらい続くのか分からないが、第二次試案が生きている限り、世間ではあれを基に議論することになるので第三次試案を明文化して提示するのを目標にするというような方向性を与えてもらえると元気が出る。

ということをまず申し上げて、①-2。モデル事業の経験から言うと、やはり客観的なデータに基づいて客観的な調査結果を出すのが大切なので、EBMだから、evidenceがないと困る。客観的なものがあってやっていくんだということにするべきだし、症例が多すぎてパンクしても仕方ない。信用を得てから広げるのも現実的でないか。

ただし調査を断るのに理由は要る。予想外の死であればあるほどご遺族はショックで24時間以内の届け出などできない。やっと葬式が終わってから相談に来る。その時に遺体がないから調べないと言われたらどう思うか。当事者間の対応にゆだねると書いてしまうと冷たく受け取られかねない。そこで当該の院内調査委員会が機能するように第三者機関として指導・助言を行うんだ、それが機能しない場合は第三者機関として何らかのことはしてあげるんだということはないといけない。だから書き方としては『原則としては』ということなのかなと思う。院内調査が実践されるのは、ご遺族のためだけでなく、再発防止や医療安全にも役立つことなので、方向として正しいと思う」


鮎澤
「しばらく在野にいた。検討会を離れて眺めてみて、第二次試案についての様々な意見も聞いてみて、これから詰めなければならないと気づいた点を3つ挙げさせていただきたい。

1、第二次試案から議論の結果詰まったことをお知らせする。樋口委員の意見を伺って、なるほど第三次試案という手もあったかと思った。

2、解剖の件だが、この第三者機関には既に患者・家族からすると死亡しないと調べてもらえないというハードルがある。ここにさらに解剖しないと調査してもらえないハードルが加わることになる。現時点でできることは何なのかからスタートすると、いつまで経ってもこのハードルはなくならない。この2つのハードルのせめてどちらかを低くしたい。どちらを選ぶかと言うと、私は解剖がなくても第三者機関で議論はするというのではどうかと思う。もちろんたくさん案件が来たら処理できないという心配はあるだろうが、必要な機関を作るんだったら、それだけの資源を投資していただきたい。

3、重大な過失、非常に悪質というのを明確にする必要がある。それ以外にも、リピーター医師の情報をこの委員会がどうやって把握するのか、考えてしまう」


豊田委員
「①-1。辻本委員と同じで体制をきちんと作る必要があると思う。遺族も医療者も動揺するので、それをきちんと受け止めたうえで振り分けしてくれるような、そんな入口がしっかりしてないと、いくら後ろにいいものが機能していても意味がない。体制的に無理と言われてしまうと仕方ないのだが、遺族の立場としては調査できるかどうかだけでも受け付けてもらえればと思う。受けないと後々問題が起きるし、再発防止にもならない。事故直後は遺族も気づかないことが多いので、受けつけてもらえないと最終的に裁判になってしまう可能性が高い」


前田座長
「①-3。通知の問題については」


樋口委員
「委員会と捜査機関との関係で、通知するもののうちイとウは当然かと思っていたが、どうやって情報を得るのかと言われるとそれは確かにそうだ。また『重大な過失』について医療側の懸念も分かる。結果的には患者さんが全員死亡しているのだから重大には違いないという言い分だが、これは敢えて言うけれど誤解だ。その誤解を解きたい。少なくとも、このたたきの段階で二歩は大きく前進している。

まず届け出先が警察ではなく第三者機関になった、これは大きな一歩だ。もう一つは過失のこと。法律家的には業務上過失が問題なのであって業務上重過失罪などというものはない。しかし警察、検察の意識としては、すでにこれまでも運用上は重大な過失のみを罪に問うてきた。十分に謙抑的だった。医療以外の分野でこんなに謙抑的に運用しているところがあるかと言えば決してそんなことはない。それが一つ二つ謙抑的とは言えない事例が出て大騒ぎになってしまった。しかし警察だって間違える。そういう一つの事例で全体がトンデモないと考えるのも間違っている。その上で今回重大な過失のみ罪に問うのだと明文化したのは大きな一歩だ。しかも重大かどうかも医療の専門家に判断を任せると言っている。数え方によっては三歩前進しているではないか。

専門家が重大かどうかを判断する際には中身を吟味するはず。専門家がやらなくても、過去に刑事裁判で有罪になった事例で基準を作ることだってできる。しかし、専門家がやれば、その医療機関の環境では医師・看護師がそうしてしまうのは仕方ないという判断だってできるから、どう考えてもその人のミスでしかないという事例だけになって、今まで有罪が出ていた事例より範囲が狭くなるだろう。そこまで法律の側が譲歩している。同僚たちが考えてもヒドイ例だけが警察へ行く。

それからミスを犯した人を罰すれば世の中平和になるかと言えばそんなことはないという主張もあって、こんなことを言うと叱られるかもしれないが、せっかく長年の教育を受けてきた人材を使わないのは勿体ない。もう一回立ち直るチャンスを与えるための行政処分ができるんだということになれば、もう一層刑事司法は後ろに引いて、現在の刑事訴訟でも社会的制裁を受けているので云々と言われることがあるけれど、そういう運用になっていくだろう。その趣旨を理解していただければと思う」


前田座長
「私もまったく同じ考え。『重大な』ということについてはハッキリ言っておくが、これは過失本体の大きさ。予見可能性の程度や基準行為からの逸脱の範囲が大きいということ。今まで有罪になったのはそういうものばかり。しかもほとんど罰金。第三者機関ができると医療への処罰が厳しくなるのでないかという議論が医療者の中でされていたのでビックリしている。専門家が議論して、今の水準からどれだけ逸脱しているか判断するのであって、わずかに下手だったとか、わずかに判断ミスをしたとか、そういうものが刑事の対象になることはあり得ない。医療現場の感覚、チーム医療の感覚を入れて考えていく。そうは言っても外から見て不安感を持つのは当然と思うが、この議論は医療崩壊や医師不足を懸念しているからやっているんだということ、同時にそれが患者の不安感にも対応することになる。次へうまくつなげて、国民・医師に納得していただけないだろうかと考えている」



「①ー3。委員会が『重大』を判断するのは専門性の観点から理解できるのだが、どういう判断をしたのかをご遺族にどう伝えるのか、医療者でも法律家でもない一般の人から見てもうなずける構成にしてほしい」


前田座長
「院内調査についてはどうか。加藤委員」


加藤
「院内調査が公平・公正・客観的・自律的に行われることが大事だとこれまでも述べてきた。そのうえで、医療安全に資するという観点から、報告書はプライバシーに配慮の上、公開を原則にする必要がある。というのが同じような事例がよそでも起きうる可能性があるので、教訓化して生かす必要があるからだ。とかく死因究明にばかり目が行きがちだが、調べていく中で制度的改善の必要も出てくる。厚生労働省の施策やメーカーに対しても言わねばならないことはあり得る。既に院内調査委員会でそのように機能しているところもある。その方向性をより積極的に進めていき、(中略)院内調査の結果が第三者機関にも情報がつながっていくような仕組みにしていく必要がある。食品安全委員会は内閣府にある。これについても、国家的課題に対応する医療安全委員会に発展してほしいと願う」


辻本
「これまでいくつかの院内調査委員会に参加してことがある。しかし、一体このメンバーを誰が選んだのか、外部の組織の専門家と言っても地域の大学病院の教授だったりして、医療側を養護する発言に終始してしまい、素人である私がものを言うと専門用語を駆使して黙らされてしまうようなことがある。おざなりな調査もさることながら、議論そのものが最初から方向づけられている。

誰が招聘してどういう組織にするか患者からは不安。遺族への説明は当然だが、その時に本当に理解できているのか、専門家の日常用語がそもそも分からない。誰がどのように組織立て、どのように評価するのか問題が含まれている」



「ある程度の規模の病院には院内に安全管理委員会がある。しかし、調査委員会は管理委員会と独立に置くべきだ。自らの安全管理が破綻したから事故が起きているのだから、同じ人が調査するのはおかしい。ただ外部の人を招聘するには時間がかかる。どうやって調査委員会を組織するのか、仕掛けを何通りか作らないといけない」


楠本
「辻本委員指摘のようなことが実際に多かったので、看護協会では調査結果が公開されるという条件でないと委員を引き受けないことにしている。院内調査には外部の評価委員を入れることを義務づける必要がある。医療事故には、ほとんどの場合、看護職員が関わっていて、しかも救われないということが多い。何が起きたのかシステム的に見るべき」


前田座長
「医療の素人から見ると、2の中小病院や診療所がどうするかのところが気になる」



「これからは第三者機関が院内調査を評価する形になるのだろう」


豊田
「私は中小病院に勤務しており、過去にもいくつかの病院で勤務したことがある。その経験から言うと、医療安全への取組をやっているということをよく聞くけれど、その実態は病院によって全く異なっている。多くの中小病院では、やりたくても何をどうしたらよいのか分からない。大きな病院なら研修に行かせてもらえたりするが、中小では日常業務でいっぱいいっぱい。本業の医学的なこと以外に安全の勉強をするのは無理。都に相談しても指導を受けられない。どこかで指導助言をもらわないと、どんなに焦っても前へ進まない。だから『やってないじゃないか』と中小病院を責めるだけでなく、一緒に前へ進めるシステムにしてもらいたい」


木下
「中小病院や診療所も当然対象になる。大病院なみの調査委員会を作ることは不可能だから、医師会が調査委員会を準備することも必要だと考えている。実際にある県では機能している。大病院の院内委員会に匹敵するものを各都道府県医師会として作っていくことは、やらなければいけないと考える。前向きに対応したい」


楠本
「看護の方は届出窓口を都道府県の協会に置いているところとブロック毎に置いているところとあって、ネットワークを作って相互支援している。地域の評価委員会としては既存のものを活性化していくのも手だと思う」



「『その他』が気になる。医療事故の場合、サイエンティフィックにどうだったかと同じくらい、事前にどのように説明されていて、どう理解されていたかが重要。そういうところが大きいからという話だと思う。まさしく、その部分が院内委員会の大きな部分を占めるのでないか。身近に一緒に働いているからこそ分かることと第三者だから分かることとがある」


前田座長
「院内委員会は死亡事故以外のものにも手を出しているし、だから院内委員会に説明を求める意味があると思う。全体として②についていかがか。なければ③。前回山本委員から条文の不備を指摘されたが、今回は事務局が文言を補ってチャート図にしてくれた。いかがだろうか」


山本
「特にございません。分かりやすくなっていると思います」


加藤
「前回の話では、医療法施行規則第9乗23を基に書かれているとのことだったが、『発生した場合に届ける』より『知った場合に届ける』と書いた方がよいのでないか。それからチャート図を見ると届け出るのは『死亡を予期しなかったものに限る』となっていて、予期していたら届出不要になる。この予期というのが共通の認識になり得るのか。医療安全のために尊い犠牲を生かそうというせっかくの営みが様々な配慮のために限定する方向で落ちていくのは残念だ。尊い犠牲はいわば文化遺産というべきものであり、それを将来に生かすためにも、なるべく多く届け出られるべきだ」


前田座長
「現在は、届け出ると警察へつながっちゃうのでないかという不安を抱かれている。第三者機関への医師側の信頼感が得られれば多く取り込めると思う。ただ人的・運営的コストの問題もあるのと院内委員会との棲み分けもあるだろう」


高本
「第三者機関は中立的専門機関だろうが、調査は地方の安全委員会に任せられるし、実際に当たるチームもまた別。委員選任にタイムロスができる。24時間以内に判断しないといけない。モデル事業では総合調整員が、これは院内、これは委員会とスクリーニングしている。それをやるのに、各地域ごとに1人、2人かなり見識のある人が必要になるだろう。米国で言うところのメディカルエグザミナー機能を持ちリスペクトされる人が必要だろう」


前田座長
「この段階では届出範囲がまだまだ明確にならない。もちろん始めからできることではなく動きながら固まっていくものだろう。が、現段階で事務局にはなるべく具体的な基準を示していただければ」


木下
「『重大な』を明解に御説明いただくと分かりやすい。医療安全のために進めているということ、重大な過失でないものは再教育・立ち直りの機会が与えられるということ、そこが明確になれば、もっと理解されやすいし、国民にとっても納得するところだと思う。第三次試案を作るなら、ただ文言を並べただけだと、第二次試案と同じような誤解を招くと思うので、ぜひ解説まで踏み込んだものにしていただきたい」


前田座長
「行政処分の話は、医道審との関係整理など踏み越えていかねばならない問題があると思うが、第三次試案については事務局はどうお考えか」


二川総務課長
「最終目標は法案化だが、いっぺんに行くのは考えにくいかなと思うので、どう仕切るか検討していきたい」


前田座長
「前向きに検討いただけるということですね」
二川総務課長答えず。


今回、ここだけは注釈を入れる。
この検討会で議論集約もされていないし第三次試案を要請されている。
いきなり法案が出てきたら
誰が見ても「検討会で詰めた」とはならないし
また、その責任を委員たちに問うこともできない。
厚生労働省の方々は自らサンドバッグになる覚悟がないなら
手順を踏むべきだし
そうしなかったら
本当に厚生労働省が解体されても知らないよ。
誰も守ってくれないからね。



「委員会に届け出られなかったものを医療安全向上のためにどう使うか、ここで話し合うべき問題ではないかもしれないが、その点についての検討も並行してやっていただければ」


前田座長
「児玉委員」


児玉
「今日は議論に参加できなかった。昨晩深夜と今朝明け方に一本ずつ相談の電話を受け、少々思うところがあった。かいつまんでいうと深夜の方の事例は、診療していた医師にも家族にも予期できない死亡で、恐らく副作用救済が適当でないかと思われるのだが、遺族がなかなか納得してくれないという。この院長は非常に良い院長でスタッフも真剣に取り組んでいる、しかし遺族は納得いかない。院長は21条によれば届出ですねと言うので、その通り。私はどうしたらよいでしょう、と。これが年に1回ぐらいなら、きちんと届けましょうで良いのだと思うのだけれど、この年末年始だけで一体何件あったのかと考える。21条に言うところの『異状死』を警察庁も厚生労働省も一般論として述べるのは難しいと言う。では、本当に献身的にやってらっしゃる人々に、あれもこれも警察でその先に何があるのというストレスを与えるのが本当に良いことなのかと思う。この10年、医療安全に関しては様々な取組がなされてきた。しかし21条に関しては時計が止まったままだ。

I have a dream.と言って、医療事故がゼロになるためにはこんなことが必要だ、と時間さえいただければいくらでも言い続けることはできる。年に100万人近くが病院で亡くなる時代に、「予期しない」と縛りをかけたとしても、解剖して事実に基づいて調査を行うようなマンパワーと足場がどれ程あるのか。現場の深刻な悩みを聞いただけに、アルキメデスの『我に無限のテコと足場を与えん。さすれば地球を動かして見せよう』という言葉を思い出していた」


前田座長
「おっしゃることはよく分かる。しかし前へ進んでいる話ではある。第三者機関ができれば、21条の改正ができなくても実際上は変わっていくと思う。法案をすぐに示すのがとてもというなら第三次試案という形でなくても、外にもう少し説明して、医療界のご理解をいただくように事務局にはお願いしたい」

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