医療事故調の地方説明会in仙台
ブログの方では、2回(その1、その2)少しだけふれて(というかケナして)いた医療事故調の地方説明会。今日は、小松秀樹先生に依頼しておきながらキャンセルした中国・四国地方と東北地方の2ヵ所で開かれた。
で、ケナしておいて何だが東北の説明会を覗きに来た。大野病院事件の福島県を管内に抱えて覚悟のほどが違うのか、パネリストのメンツが豪華だった。ただし、各医療機関の医療安全担当者向けワークショップの一部として企画されたため、コーディネーターによれば聴衆の9割が医療者だという。その意味では、国民に対する説明というよりは医療者に対する説明色が濃いようで、これはどこの地方でも似たようなものらしい。
パネリストをプレゼン順に記すと
深田修・厚労省医政局総務課長(佐原医療安全推進室長の上司)
田林晄一・東北大教授(モデル事業・宮城県地域代表)
今明秀・八戸市民病院救命救急センター所長
嘉山孝正・山形大医学部長
永井裕之・医療の良心を守る市民の会代表(広尾病院事件被害者遺族)
の5人。深田、嘉山、永井の3人に関しては他の地域からお呼びがかかってもおかしくない全国版の人たちで、これだけのメンツが揃えば、単に検討会の内容を要約して繰り返すのではなく、実体のある議論になるんではないか、と期待した。
しかしながら結論から先に言えば、この段階で説明会なんてやるだけ無駄というか、軋轢を増すだけじゃないかと以前していた予測がイヤになるほど的中してしまった。東北厚生局の担当者は大変意欲的に取り組んだのだと思う。そこは評価する。それでも、やはり「医療者」と「医療被害者」との対立を先鋭化させただけで、税金の間違った使い方と言わざるを得ない。やらない方がマシだったと思う。
これだけ膨大な内容の討論のご紹介ありがとうございます。
>やはり「医療者」と「医療被害者」との対立を先鋭化させただけで、税金の間違った使い方と言わざるを得ない。やらない方がマシだったと思う。
まさしく御説のとおりだと思います。同じところをグルグルと言い合いしているだけで、数年前から全く進展しているとは思えません。
事あるごとに指摘されているように、医療事故調の目的が「医療安全の向上」なのか「責任の追及」なのか「医療事故の原因解明」なのか全く不明確なまま、つまり、根源的な議論の方向性を決めないまま、拡散した議論を垂れ流して回を重ねているのが現状だと思います。
あの制度設計で、「医療者の責任追及が目的でない」などと虚言を重ねられても、その戯言を信じて頑張って医療の現場を支えられる訳がありません。
「医療者」と「医療被害者」との対立も、迷走した議論から副次的に生じたものだと思います。議論をリセットして、「医療安全」を主題として対話を始めるしかないと思います。
>岡山の内科医先生
コメントありがとうございました。
本日のサンデープロジェクトで労働者派遣法成立のいきさつをレポートしており、非常に興味深い内容ではありましたが、問題が起きてから批判するというのは余りにも知恵のない話だと思います。できる前にきちんと報じることを続けていきたいと考えています。