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ニュース〜医療の今がわかる

周産期・救急懇談会2

(その2)
岡井
「情報について周産期と救急とを統合するという方向性に異論はあるか」

田村
「情報を統合することには異論がない。しかし、その情報を都道府県単位に留めておくのはやめていただきたい。先ほど青森県はうまく言っているという話だったが、その背景には新生児科が4人しかいなくて、しかも部長以外はNICU経験が1年未満という、そんなことだから網塚先生(部長)は月の半分以上泊り込んでいる。そんなギリギリの状態でやっているところをそのままにして、全て受けると簡単に言われると大変なことになる。少なくとも総合周産期母子医療センターについては国から補助金が出ているのだから、都道府県ではなくて国民全体に責任を負うべきだ。前回も言ったように、東京都の情報が東京都だけでしか見られないのではなく、少なくとも道州制の範囲程度では見られるようにしてほしい。ある意味、東京があるから埼玉の周産期医療は発達してこなかった。行政が安心してしまっていた。もし周辺の県の患者が締め出されることになれば、東京は守られることになるのかもしれないが、周辺はボロボロになる」

岡井
「地域完結がベストだが、それが無理で強行すると成績が悪くなるというなら元も子もない話。ダブルセットアップで地域完結をめざしつつ、広域連携も考えるということになるのでないか」

海野
「救急医療のネットワークは広域じゃない。単純に一緒にできるか」

有賀
「つまり、救急が全県一区で運営されているところは、まだ全国の半分くらいしかない。残りは各消防本部単位だ。厚生労働省から調査をかけると、都道府県を通じて尋ねることになるから、あたかも全県一区でやれているように見えてしまうが、総務省から調査をかければ各消防本部こんなに正直に言ってくる。全県一区で周産期と救急を合同でできるのは大きな都市だけだろう。小さな都市は違う」

岡井
「地方の特性に応じていく必要があるということか。しかし、ここは全体のグランドデザインを描くところだから」

必要なことから出発しないで、検討会がグランドデザインを描くところだから全国一律のことをやるというのは本末転倒だ。大臣以下の厚労省と事務局、その意を受けた座長が何か打ち出さないといけないと強迫観念に囚われているのだとしたら、大変危険なことで、むしろ以下の方がよほど大事だと思う。

阿真
「正直申し上げて、先生方はお母さんたちがどれ位不安に感じているかご存じなのかと思いながら、議論を伺ってきた。多くのお母さんたちが不安を感じている。今までだったら私の所になんか連絡を取ってこないような一般のお母さんたちがどんどん不安を訴えてきている。ただ、不安を不安として終わらせるのでなく、医療が大事なものなんだと気づいてもらう大きなチャンスだとも思う。その意味で、私達に何ができるのかということを考えてきた。今日は発言できなかったが、次回ぜひお時間をいただきたい」

次回に期待。

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