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保健師に必要な能力は「コミュニケーションスキル」

大学看護検討会.jpg 看護系大学で4年間学んだ後、保健師と助産師の養成を別枠で行う方向で議論が進んでいる。保健師や助産師らの質の向上を図るため、高度な専門性を身に付けられる仕組みに変えることが狙いとされる。しかし、保健師に必要な能力として若手保健師が挙げたのは、「人の話を聴く能力や、さまざまな健康課題を抱える人たちとのコミュニケーションスキル」だった。(新井裕充)

 4年制の看護系大学に行けば、保健師、助産師、看護師の3つの資格が取れる仕組み(統合カリキュラム)を見直すため、文部科学省は4月20日、「大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会」(座長=中山洋子・福島県立医科大看護学部長)の第2回会合を開き、大卒5年目の保健師ら2人からヒアリングを行った。

 看護師の養成をめぐっては、看護師の地位向上や専門性などを高める観点から、日本看護協会(久常節子会長、日看協)が「大学4年制への一本化」を強く主張している。
 医療の高度化や医療技術の進歩に伴い、チーム医療の中で他職種との協働をコーディネートしたり、医療安全を推進したりする看護職の役割を重視し、「看護の基礎教育には最低4年が必要」として、これに賛成する意見もある。
 しかし、看護師が不足している地域では准看護師らが果たす役割も大きく、日本医師会などは「4年制一本化」に否定的な立場を取っている。高齢化が急速に進み、在宅医療を支える訪問看護のニーズも高まる中、日看協の主張を「時期尚早」と批判する声もある。

 この「4年制一本化」と同一線上にあるといわれるのが保健師・助産師の教育カリキュラムの見直し。具体的には、大学での4年間(学士)の看護基礎教育を終えて、その後の2年間(修士)で、保健師と助産師の教育を行うという案。看護の関係者らは、これを「4+2」「上積み」「別枠」「統合カリキュラムの廃止」などと呼ぶ。

 現在、看護系大学では、保健師と助産師の課程を併せ持つ「統合カリキュラム」が導入されているが、これを見直すため3月に設置されたのが、「大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会」。委員には、日看協の坂本すが副会長を筆頭に、統合カリキュラム廃止に賛同する委員がずらりと顔をそろえており、「4+2」の実現に向けて、"盤石の体制"といえる。

 同日の検討会では、オブザーバーとして出席した厚労省医政局の野村陽子看護課長が「大臣の検討会(看護の質の向上と確保に関する検討会)で、現行の制度の枠にとらわれずに教育の内容について今後議論をしていくといった大きな方向が、(3月の中間取りまとめで)出されている」と述べ、今回の検討会が「看護基礎教育3年」という枠組みにとらわれないことを明言した。
 その上で、「統合教育について見直しをすること、(これを)厚生労働省と文部科学省が協力して結論を出すべきだということが(中間取りまとめで)出されている。その前提として、より高い専門性が求められることから、臨地実習の場の確保も必要で、助産師、保健師教育についても結論を出すべきとの方向」と述べた。

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