PMDA(医薬品医療機器総合機構)の不思議-特集2「歴史」
こうして、医薬品・医療機器の承認審査に関わる組織には、薬害のスモンがきっかけとなった医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構、ソリブジンやエイズが影響した医薬品医療機器審査センター、医療機器を審査する医療機器センター、承認を行う厚生省という4つの組織が併存している状況だった。
そして2004年、行政改革による特殊法人再編の波が押し寄せ、薬事行政も対応を迫られた。これら4つの団体を統合しようという流れの中で、独立行政法人としての「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」が誕生。この時に、厚生労働省が担っていた安全対策業務の一部がPMDAに移った。
(PMDAホームページより)
こうした組織再編の結果、今のPMDAは、医薬品・医療機器に関する「審査、安全対策、被害救済」の3つの業務を担うことになり、PMDAは「世界に類を見ないセーフティートライアングル」と誇っている。PMDAの職員からは、「副作用に対する被害救済を行う部門が一緒にあることで、審査部門も気持ちが引き締まる」という声や、「審査部門と救済部門の人事が異動するわけではないし、お互いに何をやっているのかほとんど知らない状況なので、あまり影響はない」との声が聞こえてくる。
薬害が発生するたび、行政は医薬行政にかかわる組織を改編することで対応してきた。その結果として、今のPMDAがある。しかし、サリドマイド、スモン、エイズ、肝炎など、薬害は次々と起こっているのが現状だ。小野氏は「現状を評価せずに、次の組織を提案するのは役所のお家芸。制度を変えることで見直しを行ったことにしてしまう」と指摘する。
そしていま、再び薬害肝炎の問題を受けてPMDAの在り方を変えようとする議論が起こっている。