薬害肝炎検討会 政務三役三様の挨拶
『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』は、これまで政治家では舛添要一・前厚生労働大臣が一人だけ目立つ場だった。しかし30日に開かれた第16回会合には、長妻昭大臣、山井和則政務官、足立信也政務官の3人が顔をそろえて、それぞれ自分の言葉で所信を述べた。また、かつて薬害肝炎原告団の代表として委員を務めた福田衣里子代議士も傍聴に現れ、政権交代をまざまざと印象づけた。(川口恭)
3人の挨拶の概要は以下の通り。
長妻
「本当に皆様に感謝を申し上げたいのは、お知恵をいただき、日本のため、国民のため、患者のため、よりよい政策にオールジャパンで取り組まないといけない。そのためには多くの方の知恵をいただきながら、特に現場の意見・課題、さらに何より行政への歯に衣着せぬ批判をいただくことが国民の生活向上、医療のレベルを上げること、薬害の起こらない社会を作る道だろうと考える。
感慨深いのは、今そこに福田衣里子さんがバッヂをつけて来ている。我々も全力を尽くして参るが、むしろ厳しいご指摘をいただくことがありがたいのだと心得ている。
事務方がメモを作ってくれたのだけれど、全く読まなかった。申し訳ない。ここにご指導を皆様に伏してお願いして冒頭の挨拶に代える」
山井
「皆様に心より敬意を表したい。私もずっと薬害肝炎の問題は関わらせていただいているが、この度政権交代というものが起きたわけだが、引き金の一つがこの薬害肝炎だったのではないかと考えている。本来、国は国民の生命を守るために存在する。しかし厚生労働行政は命を守れなかったのでないか。それが患者さんのみならず、一般の国民の中にも、本当に厚生労働省は我々の命を守ってくれるのかという疑念を生んだ。薬害エイズがあったのにもかかわらず、薬害肝炎が起き、さらに過程では隠蔽すらあった。そういう重たい重たい課題ではあるが、厚生労働省が国民の生命を先頭に立って守る役所となるよう安全の礎となる役所であるために、この検討会は最も大切な委員会だと思っている。
こうして検討会をしているけれど、薬害肝炎はまだ解決されていない。救済されていない人、感染に気づいてない人、気づいても癌の恐怖に怯えている人、就職しようとしても差別を受けたりして人生を台無しにされようとしている人。30万人がフィブリノゲンを打たれた。そのうち告知されているのは1万人にも満たない。これからがまさに真相究明、救済の本番。そして300万人の肝炎患者支援のために皆さんも闘われたのだと思うが、1日120人亡くなっていく、そんな肝炎患者の幸せのために委員の皆様方のご尽力をいただくと共に、私も政府の一員として皆様のご指導のもと働かせていただきたい」
足立
「私は、医師になって3年目から自分の専門領域を肝がんに対する治療と定めた。学位論文もそれで取った。実際に手術もしていたし止血目的ではないがフィブリノゲンも使用した経験がある。この問題は自分にとって切り離せないものだと思っている。そして、この検討会では国としてどうした態度を取るべきなのかが問われているのだろう。自分の経験とも照らし合わせながら、国として正しい態度を決めたいな、その一員となれたらいいなと考えている」
坂田
「長妻大臣に、この委員会への決意表明と、それから舛添大臣は『次の大臣にきちんと引き継ぐ』と言った。そこら辺はどうなのか」
長妻
「舛添前大臣からは引継ぎ書類をいただいており、かなり大きな項目だが、この案件ももちろん引継ぎの中に入っていた。薬害肝炎を契機に昨年5月に設置されたと聞いている。何はともあれ、薬害の再発防止と被害救済について、皆様にご理解いただける体制を作りたい。議論をよくお聴きして、国会に法律を出していく、予算をつけていく、二度と薬害起こらないような体制を作る、この問題では厚生労働行政に皆様に対する裏切りのようなこともあったのでないか、省の体制も徹底的に見直していきたいと考えているところだ」
和泉
「伺って安堵はしたが、この委員会は延々と続けられるわけではない。私たちは薬害をなくすために第三者機関を必要だと設置しようとしている。厚生労働省も大臣もよろしくご協力をお願いします」
ここで3人とも退席。その間、約15分。