PMDA(医薬品医療機器総合機構)の不思議-最終回「お金」
129.8億円の総収入額のうち、半分の63.9億円を審査・安全対策部門が占めている。
財政規模は大差ないのに、職員数は大いに異なる。現在、役員を除くと516人が在籍しており、このうち明確に3部門に分けられる人数を見ると、審査346人、安全82人、救済32人となる。職員のほとんどが審査・安全対策部門に在籍している。
そして審査・安全対策に計上されている63.9億円のうち、57.0億円は手数料(44.8億円)と拠出金(12.2億円)で、企業などから出ているお金だ。
PMDAが作成した2009年度から13年度までの収入見通しを見ると、この「審査・安全対策」部門がさらに二つに分かれているので、問題点が分かりやすくなる。
5年間の総収入額見通しは1247.9億万円。「審査」「安全対策」「救済」の業務別にみると、それぞれに収入構造が異なっている。
(資料:PMDA提供)
「審査」の512.1億円は、96.6%を「手数料」が占めている。「安全対策」の160.4億円は75.7%が「拠出金」。救済に関しては、231.0億円の収入があるが、これは患者に給付するお金が国・製薬企業から、ほぼ横流しされているだけなので、ここでは置いておく。
安全対策や救済部門の収入は、一定の拠出金に基づくものなので、年度で大きく収入が動くとは考えにくい。
しかし、審査部門に関しては、企業が医薬品の承認審査を申請したり、治験相談にやってきたりすることで入ってくる収入のため、企業の動きに大きく左右されてしまう。おまけに、安全対策部門と救済部門の収入額を足しても、審査部門には及ばない。
要は、審査部門の収益がPMDAの黒字赤字をほぼ決めることになるということだ。その収入は企業の動きに左右される手数料や相談料。これで人件費など、固定費の大部分を賄っている。しかも国がドラッグラグ解消の方針を打ち出したため、PMDAは今年度も100人を新規採用するなど、大幅な審査員の増員を図っているところだ。今後、人件費がますます増えるのは間違いない。