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救急隊のエピネフリン使用ルールの検討開始-消防庁

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 意識障害や呼吸困難など、もっとも激しいアレルギー反応の一種であるアナフィラキシーショックを起こした患者が携帯用のエピネフリン製剤を使用していた場合、現場の救急救命士の判断で投与できるようになったことを受け、総務省消防庁は6月15日、「消防機関における自己注射が可能なエピネフリン製剤の取扱いに関する検討会」(座長=野口宏・愛知医科大名誉教授)の初会合を開催した。現場でのエピネフリンの運用ルールについて検討し、年内に報告書をまとめる。(熊田梨恵)
 

 携帯用のエピネフリン製剤(商品名、エピペン)は、食べ物や薬、蜂に刺された場合などに呼吸困難やめまい、意識障害を起こすショック状態(アナフィラキシーショック)の既往や、起こす可能性がある患者への補助治療として処方される。エピネフリンは交感神経を刺激することで、心拍数増加や血圧上昇、血糖上昇などの作用を示す薬。
 アナフィラキシーショックは年間に約5000-6000件発生しているとされ、年間に約60人が死亡している。2008年4月1日現在で、エピネフリンを投与できる救急救命士は5281人。07年には約4000件の投与が実施されている。
 
 病院到着前にエピペンを使用した場合、約8割に改善効果がみられたなどとする厚生労働省班研究の報告を受け、厚労省は今年3月、自己注射できるエピネフリンを携帯している患者について、救急救命士による投与を可能とする通知を出していた。ただ、現場からは実際に救急救命士が運用する際のルールが分からないとの声が上がっており、検討会の開催に至った。 
 検討会は今後、救急救命士が現場でエピペンを取り扱う場合の運用ルールや、救急車へのエピペンの積載の是非、学校現場でのエピペン使用者の優先順位などについて検討を行う。
  
 会合冒頭、消防庁の開出英之救急企画室長は「本来は(救急救命士の)処置拡大前の段階で今回のような検討の場を設けて進めるべきところだった。解禁になってからのところだが、これから問題点を整理して、現場で処置が速やかに行われるようプロトコル例を示すところまでもっていきたい」と述べた。
 
 事務局はエピペンの取り扱いについて▽エピペンを処方されている児童がいる場合の学校と消防機関との情報共有などの連携▽119番通報時に指示を求められた場合の助言の必要性▽現場での全身状態の観察や気道確保などの処置の概要▽アレルゲンとの接触可能性や既往歴、エピペン使用の有無などの聴取▽本人や家族からエピペン使用を依頼された場合の実施者の優先順位(救急救命士、学校教諭など)-などを論点として示した。
 
 また、郡山一明委員(財団法人救急振興財団救急救命九州研修所教授)から、救急救命士が運用していく運用ルールのたたき台が示され、委員によるフリーディスカッションが行われた。
 
 検討会は夏までに議論のめどをつけ、年内には報告書をまとめる見通し。

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