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救急搬送のアンダートリアージなど、データ化へ

表紙15.JPG 救急搬送時に重症患者が軽傷とみなされてしまう「アンダートリアージ」のデータ化など、救急隊が疑った傷病と医師の評価の違いを数値化して搬送の質向上につなげようとする動きが都道府県で始まっている。栃木県内で行われた調査では、救急隊によって「1次対応が適当」と判断されたケースのうち、約3割が医師によって「2次、3次対応が適当」と評価されていた。栃木県からの報告を紹介する。(熊田梨恵)

 昨年施行された改正消防法は、都道府県に搬送・受け入れルールの策定を義務付けている。国は都道府県に対し、現在の搬送・受入状況に関する実態調査を行ってルール策定の基礎データにするよう勧めている。この調査には搬送現場でよくいわれる"エピソード"を"データ"化する狙いがあり、アンダートリアージを数値化して搬送の質向上につなげようという考えもある。
 
■改正消防法について、詳しくはこちら
■なぜこうした調査が必要になるのか、詳しくはこちら

 
 すでにルールの策定を終えたのは栃木、東京、石川、香川、愛媛、鹿児島。ルール策定のための協議会は、神奈川と佐賀を除く都道府県で設置が済んでいる(6月3日時点)。残る全ての道府県で来年3月末までに策定する事を予定している。
 
 先月初めに消防庁が開いた担当者会議で、自治医科大の山下圭輔氏(救急医学教室准教授)が栃木県小山・芳賀地区で実施した調査について報告したので紹介する。
  
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 以下は山下氏の発言内容。
 
  
急患数推移1.JPG栃木県は実施基準についてはまだ策定したばかりというところです。私のところも救命センターをやっておりますが、3次救急も地域型というか、3次救急だけやっているわけにはいかなくて、1次から3次までをどこかで診ていかなければ、救命センターでも診ていかなければいけないという状況です。
 
右肩上がりで時間外(救急患者)の数は増えていますが、救急患者入院数はそんなに変わっていないという状況です。
(中略...栃木県の地域の休日夜間急患センター、在宅当番医制度の紹介)
 
小山・芳賀地区2.JPGその(休日夜間急患センターなどの取り組みの)結果、2006年からは救急患者総数が減ってきて、入院数はほぼ同じという状況です。院内にも少し余裕が出てきました。ただ、救急搬送の問題はまだ未解決でした。それで、2次病院はどうなっているのかということで、2008年7月にこの4地域(図)の救急搬送の全数調査をしました。病院の配置ですが、自治医科大はこの赤丸で、黒丸は2次病院。丸で囲ったところは比較的充実していて医師が2名以上とか、内科外科ぐらいはおられる病院です。他は2次病院といっても100床以下で、検査もできないことがあったり、1.5次というと失礼ではありますが、大変な状況の病院であります。

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