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レセプト請求システム、「1か所改修は全体改修と同じ」 ─ 厚労省

■ E・Fファイルについて
 

 2010年度から導入される「新たな機能評価係数」の1つとして、「DPC病院として正確なデータを提出していることの評価」が採用されることがほぼ確実だが、これに併せて「様式1」(診療録情報)の「必須項目」と「非必須項目」を見直すことや、「E・Fファイル」(診療報酬請求情報)を統合する必要性が指摘されている。

 厚労省は6月29日のDPC評価分科会で、E・Fファイルの統合と、入力内容の見直しについて意見を求めた。入力内容の見直しについては、「特定入院料」などに包括される項目をE・Fファイルに入力することで合意したが、統合化については継続審議となった。

[西岡清会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 E・Fファイル(診療報酬請求情報)について議論をお願いしたい。松田先生、お願いいたします。

[松田晋哉委員(産業医科大医学部公衆衛生学教授)]
 Eファイル(診療明細情報)とFファイル(行為明細情報)を一体化するアイデアもあるが、データを分散して保存できないのでデータ容量が大きくなってしまう。

 現在のように、EファイルとFファイルが別のファイルになっていて、それをつないで分析するやり方はそんなに悪くはない。(EファイルとFファイルに)重複している部分を取ってしまうと、データをつなげなくなってしまうし、月をまたいだ場合に分析しにくくなる。

 むしろ大事なことは、調査(用に提出するデータの作成)と診療報酬請求の作業を別々にしていることなので、調査用と請求用のファイルを一体的にできるようにシステムを変えていくことで対応するのが一番いい。

 そのような意味で、現在のEファイル(診療明細情報)をうまく使うことと、「様式1」(診療録情報)の患者管理情報をうまく整理することで、調査と支払いの両方に対応できる仕組みをつくることができる。
 その方が、請求したDPCのコードと、頂いたデータから再コーディングしたDPCのコードが違うということも予防できるので、そのような形でやっていただきたい。

 また、救急やICU、小児などに関係するが、「特定入院料」に包括されている項目が「E・Fファイル」で上がってこないという状況は、プロセス分析をする上で、ERやICUの機能を評価する上で、研究班としては非常に不自由さを感じている。このため、包括されている項目も入れる方向で議論していただきたい。

 ▼ 「特定入院料」は、(1)救命救急入院料 (2)特定集中治療室管理料 (3)ハイケアユニット入院医療管理料 (4)脳卒中ケアユニット入院医療管理料 (5)新生児特定集中治療室管理料 (6)広範囲熱傷特定集中治療室管理料 (7)総合周産期特定集中治療室管理料 (8)一類感染症患者入院医療管理料 (9)小児入院医療管理料─の9項目。

[西岡分科会長]
 松田委員の意見に対して何か。酒巻委員、どうぞ。

[酒巻哲夫委員(群馬大医療情報部教授)]
 (EファイルとFファイルに)重複している部分を取っていただく方がありがたい。システムの改修は少ない方がいい。「特定入院料」に包括されている項目を使うなら改修しなければならないので、二重、三重に手直しをしなければならないことは避けたい。今まで使ってきた資産を上手に使っていきたい。特段の不都合がなければこのままでお願いしたい。

[厚労省保険局医療課・長谷川学課長補佐] 
 松田委員が指摘したファイルの容量の問題については、昨今、データシステムの管理機能が高くなっているので、EファイルとFファイルが統合されても現在の環境ではそれほど大きな問題は起こらないだろう。

 また、酒巻委員の「改修部分は少ない方がいい」という指摘についてはその通りだが、実は今回、「特定入院料」などの見直しを行うのであれば、1か所を改修することは全体を改修することと同じことになるので、ならばその際、思い切った大きな改修をしても手間としては同じだろうと考えている。

[小山信彌委員(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
 現場からは、「E・Fファイルを1つにしてほしい」という声をよく聞く。

[松田委員]
 細かい話だが、現在のEファイルとFファイルはデータベースの構造が精緻化されているので、点数の算定ルールが変わった場合、別々のファイルで持った方が対応しやすい。

 (EファイルとFファイル)を一体化してしまうと、個々の医療行為の点数や算定ルールが変わった場合に計算のロジックが複雑になってしまう。
例えば、生化学検査のように包括されている項目はEファイルにあるが、これをFファイルに書き出せるようになっている。診療報酬改定で新しい項目が入ってきたり、あるいは除かれたりした場合、Fファイル(行為明細情報)に対応するものだけをいじればいい。

 しかし、(EファイルとFファイル)を一体化してしまうと、両方いじらなければならなくなる。かなりきつい作業になると思うし、間違いが生じやすいだろう。従って、EファイルとFファイルをそのままにして、(これらとは別に)「一体化ファイル」を作る方法もある。(EファイルとFファイルを)分けた方が処理速度も全然違う。分けた方が速い。

[西岡分科会長]
 DPCのデータは、後の解析データという意味もある。そのような観点から、いかがだろうか。

[松田委員]
 今のFファイル(行為明細情報)は、まるめられる前(包括化前)のデータがきちんと入っている。例えば、(包括化されていない)特定入院料のデータをきちんと入れる施設もあるので、見直しをする際に有用なデータ。

 むしろ、厚生労働省が示している指標でFファイル(行為明細情報)を作ることを徹底することが大事な問題ではないか。例えば、廃止された医療行為のコードを入れる病院もある。Fファイルの管理がきちんとできていない。

[西岡分科会長]
 (EファイルとFファイルの)統合化、一体化の議論はなかなかまとまらない感じがする......。

[松田委員]
 それぞれの施設がEファイルとFファイルを持ち、(それに加えて)「一体化した請求レセプト」を作るという方法ならば問題はない。調査(用データの作成)はEファイルとFファイルのままでいい。調査(用データの作成)と同時に、同じシステムの中で請求用のファイルが作れるという体制を取ることが非常に重要だと思う。

[西岡分科会長]
 E・Fファイルには2つの問題がある。(EファイルとFファイルの)一体化の問題はもう少し議論を深める必要がある。

 もう1つは、「特定入院料」の処理がまったく不明になっていること。やはり、「特定入院料」の中身も入れてもらうことがこれから重要になると思われる。これも入れてもらうという考え方でよろしいだろうか?

 (反対意見なく、了承)

 では、(入力の内容の見直しについては)この考え方(特定入院料等に包括される項目をE・Fファイルに入力すること)でお願いしたい。
E・Fファイルの統合について、事務局(保険局医療課)から何か意見はあるだろうか。
 
[厚労省保険局医療課・長谷川学課長補佐] 
 本日、いろいろなご意見を頂いた。事務局(保険局医療課)として対応できるか、持ち帰って再度検討したい。
 
[松田委員]
 研究班としてもE・Fファイルの統合について考え方をまとめ、提出したい。

[西岡分科会長]
 (E・Fファイルの統合は)引き続き検討する。次は、「様式1」(診療録情報)について。

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