入院初期の点数引き上げを了承 ─ DPC評価分科会(6月29日)
入院期間が長くなるにつれて診療報酬が引き下げられるDPC(入院費の定額払い制)について、厚生労働省は2010年4月から入院初期の点数を引き上げる方針を中医協の分科会に提案し、大筋で了承された。一定期間が経過した後は現在よりも引き下げ、入院期間の短縮化をさらに進める方針。(新井裕充)
2010年度の診療報酬改定に向けてDPC点数の見直しなどを審議するため、中央社会保険医療協議会(中医協)のDPC評価分科会(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)が6月29日に開かれた。
6月19日の前回会合では、次期改定で導入される「「新たな機能評価係数」について議論し、候補を10項目に絞り込んだ。その後、次期改定での導入を妥当とする項目4つ(Ⅰ)、追加の調査をした上で決める項目6つ(Ⅱ)に整理した上で、西岡分科会長が6月24日の中医協・基本問題小委員会に報告したが、委員からさまざまな注文が付いた。
これを受けた6月29日のDPC評価分科会では、基本問題小委員会から指摘された事項を議論することが予想された。
しかし、厚労省はこの日、「新たな機能評価係数」について論点を示さず、「DPCにおいて今後検討すべき課題」について意見を求めた。
その中で、「入院期間Ⅰ」の点数を引き上げ、「入院期間Ⅱ」の点数を引き下げる方針を提案。これは、早期の退院に対するインセンティブを現在よりも強めるものだが、逆に、「入院期間Ⅱ」の点数が現在よりもマイナスになってしまうことを懸念する意見もあった。
最終的には大筋で合意したが、DPC制度の拡大に反対している日本医師会常任理事の木下勝之委員が閉会間際になって不満を表した。
「(入院初期の点数を増額すると)ますます(平均)在院日数を減らすことが病院にとって良いのだということになる。(退院後の)受け皿病院のことを考えざるを得ないが、病院としては短期で集中的に治療して早く帰そうという方向になる。今よりもっと(平均在院日数が)短縮すると、その病院は良いが後のことはどうなるのか。国民にとって本当に幸せなのか」
これに対し、厚労省保険局医療課の長谷川学課長補佐は、「あまりお金の話はすべきではないが、入院期間Ⅱまで入院させればプラスマイナスゼロという基本的なコンセプトは変わっていない。今回の見直しは、より(医療)資源量の実態に合わせた形での変更なので、入院期間に及ぼす影響を念頭に置いた変更ではない」と説明した。