総選挙直前企画 各党の医療政策を聴く④日本共産党
(医療のあるべき姿をどのように考えますか)
目指すべき方向として、医療費の総額は増やしていくこと、その中での患者負担の比率は下げていくこと、この2つのことをやっていかなきゃいけないと思います。医療費の総額については、(2006年の)日本の医療費がGDP比で8.2%。これはサミット参加国の中で最下位。こういう本当に低い総医療費の水準を引き上げていく。例えば、イギリス並みにするにはプラス2兆円、ドイツ並みにするには7兆円必要。やはり、そういうレベルで医療費の総額を増やしていくことが必要でしょう。そうしてこそ、医療現場の労働条件の改善もできるし、人を増やすこともできる。
逆に言えば、雇用の場として医療や介護は一番の成長分野ですから、落ち込んでいる日本経済を引き上げていく機関車としての役割を果たすこともできる。「医療」と言うと、すぐに「負担」「コスト」って考えるんだけど、決してそうではなくて、医療によって雇用される人たちがいるわけだし、医療の質が良くなることによって、国民に還元されれば、それがさらに経済波及効果をもたらす。背中に背負って、「重い、重い」と言うのではなくて、お腹に入れて栄養にして、経済自体を伸ばしていくという発想の転換が必要ではないでしょうか。
ただ、総医療費を増やしてしまうと患者負担が増えるわけだから、そこは引き下げていく必要があります。これらを同時にやっていく必要があるのです。そこで、患者負担を減らして医療費を増やすと、「誰が負担するんだ」ということが問題になります。
80年代からの国民医療費の負担割合を見ると、国庫負担が減っている。それから事業主の負担が減っている。患者負担や地方自治体負担が増えているというトレンドがあるので、やはりこれを戻していく。1つは、国庫負担を引き上げていく必要がある。
特に、国民健康保険などは財政が破綻しかかっているから、ここにしっかり財源を入れていく。後期高齢者医療制度は結局、国民健康保険制度の危機を乗り切るために(75歳以上の)高齢者の部分を切り離すというのが目的だったわけで、問題はやっぱり国保です。国保にしっかり国庫負担の財政投入をして、国保の財政を安定していくということをすれば、あんな高齢者差別の医療制度をつくる必要はないわけです。
それから、もう1つは企業負担です。特に大企業の保険料負担。法人税負担なども減ってきているので、そこを見直していくというのが、財源としてあるだろうと思います。
それと、医療従事者を増やしていく。日本の医師数は圧倒的に少ないから、OECD並みにするには13~14万人ぐらい増やさないといけないと言われている。お医者さんを育てるには一定の年限がかかるので、今からでもすぐに医学部の入学定員を1.5倍にする必要がある。看護師さんも、われわれの政策では200万人体制にするということを打ち出したので、やはり、こういうマンパワーを増やしていくことが必要だと思います。
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