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「中医協改革」に抵抗? 改定の主戦場を移すか

■ 「診療報酬だけでは対応できない」、委員が一致
 

 竹嶋委員の発言に対し、遠藤委員長は「非常に重要で本質的なご意見だったと思う」と珍しく日医を持ち上げた。これに、全日本病院協会会長の西澤寛俊委員も続いた。
 「なんぼ診療報酬で(評価して)みても、(救急医療は)体制の整備ができていなければ何の意味もない。とすれば、中医協には限界があると思うので、例えば他のしっかりした所、(社保審の)医療部会とか、そういう所で制度上のことをしっかりやっていただいて、もっと体制をしっかりつくる。そこら辺がはっきりしないまま中医協だけで議論しても、どこまで診療報酬の議論をしていいのか、ちょっと私にはまだ分からない。『できるだけすべての点数を上げてくれ』としか言えないところが虚しい。そこら辺をぜひ、ほかの所でやっていただいて、それを中医協に出していただいて、それを基にして良い診療報酬上の対応をしていければと思う」

 社保審の両部会には、中医協の診療側委員のほとんどが参加している。だから、中医協の委員が大幅に改選されても、社保審の両部会で議論すればいい。そんな思惑がにじむ。
 小島茂委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)も、「NICU(新生児集中治療室)が700床不足しているというデータも出ているので診療報酬だけでは対応できない」と同調した。
 「社会保障審議会の医療部会なり医療保険部会で議論されている診療報酬改定の基本方針の中で、周産期医療の課題などについてどう対処していくかという全体的な方向性を示していただいて、その中で診療報酬の役割がきちんと整理されれば、中医協での議論がもっと建設的になるんだろう」

 まるで、事前に示し合わせたかのように委員らの意見は一致。笑い声が漏れるなど、和やかな雰囲気になったところで遠藤委員長が、「ちょっと私から皆様にお諮りしたいことがある」と切り出した。
 「周産期と救急について皆さんのお話を承って、やはり現場でどういうことが起きているのかということは非常に重要な情報だと感じた。現場でどういう状況になっているのかということも我々の共通認識として知っておく必要があるのではないか。そこで、もし皆様のご同意が頂けるのであるならば、中医協の基本小委としてやったことはないかもしれないが、一度、関係者からヒアリングをしたいと考えているが、いかがだろうか。関係者とは医療関係者、場合によっては患者さんを代表するような方でよろしいわけだが......」

 この提案に、支払側も診療側も一斉にうなずいた。遠藤委員長は「(ヒアリングの)人選について腹案はないが、私に一任させていただいて、場合によっては1号(支払)側、2号(診療)側にご相談させていただくこともあるかもしれない」と提案。事務局(保険局医療課)に対して、「そういう話になってしまいましたが、対応は可能でしょうか?」と、まるで突然の思いつきで決めたかのように尋ねた。
 この"猿芝居"に佐藤課長も乗った。「あの......、決まったようですから......、努力いたします」

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