『自力を尽くし、他力を待とう』 医療構想・千葉シンポより
先月25日に開かれた医療構想・千葉シンポジウムより、最後にご紹介するのは、当日最も共感した豊島勝昭医師の発表。事後に聞いたところによると、会場に着いてから講演するように言われて勧進帳に近い状態だったらしいが、シンポジウム全体の流れも踏まえてほぼ時間ピッタリ、実に理路整然としたものだった。(川口恭)
NICUは赤ちゃんの33人に1人が入院する場所なのだが、当事者になって初めてその存在を知る人が多い。入院するのは、1早産児・低出生体重児、2生まれつき病気の子供、3分娩時に具合が悪くなった子供ということで、実は誰にも可能性がある。
早産児は全国的に増加していて、でも新生児死亡率はNICU医療によって下がっている。助かる分、行き場がなくなってベッドが空かないという新たな問題も出ている。
NICU医療は、様々な医療機器があって初めて可能。対象となるのが、病気ではなく未熟なことが多いので、児の成熟を待つ必要があり、そのためには長期の入院が必要。一方で適切な医療を提供できないと様々な後遺症を生じうる。
神奈川県は慢性的なNICUベッド不足だ。妊婦の県外への緊急搬送数が06年は約100件、07年は約70件。搬送先決定までに120分以上かかった割合が06年で46%もあった。
NICUには昼も夜もなく大勢のスタッフがいる。非常に忙しいけれど、ご覧のように笑顔もある職場だ。