文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

壊れているのは医療ではなく社会 医療構想・千葉シンポジウム①

 25日、6月に発足した医療構想・千葉の第二回シンポジウム『医療崩壊から再生へ 患者の視点で考える』が浦安市の了徳寺大学で開かれた。非常に密度の濃い講演とディスカッションが予定を大幅に超えて約3時間繰り広げられた。講演内容などは、彼ら自身が報告するものとの兼ね合いを見ながら機会を見て記すとして、まずはディスカッションの模様をご紹介する。(川口恭)

 中身そのものとは関係ないことながら、最初に書き留めておいた方がよさそうなのは、竜崇正代表が冒頭の挨拶で明かした以下のこと。

「(出席予定とされていた)足立信也政務官が公務で大分に行かれるとのことで参加できなくなった。メッセージもお願いしたが、政務官という立場なので、発言に上げ足を取られる可能性があるということでご遠慮申し上げることにした。(中略・恐らく足立氏に代わってということなのだろう)今回は超党派の議員連盟幹事長である鈴木寛・文部科学副大臣から昨日ビデオメッセージをもらった。対談もしたので二部の冒頭でじっくり見ていただく」

 先週のワクチン接種1回か2回か問題は、政務官は何も悪いことをしていないのに、記者クラブ員たちが結託して、悪いのは政務官だと書きたてている。恐らく、だいぶ政務官は精神的に追い詰められているのだろう。政務官のやり方が間違ってないと思うのなら、医療界できちんと政務官を支える必要がある。なおそれはさておき、鈴木・竜対談(動画リンクあり)はなかなか刺激的で面白かった。

 ではディスカッションの内容をご紹介していく。話を分かりやすくするために、この日、登壇した人物を次の段落に書いておく。ただし固有名詞と漢字が多くて、目に優しくないので、読み飛ばして後で参照していただいた方がよいかもしれない。

 講演したのは、ワクチン問題を主に取り扱った第一部の『再生への提案』に、黒木春郎・外房こどもクリニック院長、平井康夫・癌研有明病院婦人科副部長、薗部友良・日本赤十字社医療センター小児科顧問。第二部の『パネル討論「どうする?!患者の望む医療、患者を守る医療』に齋藤とし子・あけぼの千葉代表と豊島勝昭・神奈川県こども医療センター新生児科医長。司会をしたのが竜崇正・医療構想千葉代表と増山茂・了徳寺大学学長の2人だ。

 時系列的には逆だが、まず一部と二部と全体を受ける形で行われた後半のディスカッションから記す。

 成田から来た宇都宮氏
「鈴木寛さんとの対談の中に成田にアジアの患者を呼ぶという話があったが、羽田をハブ空港化していくという流れがある中で空港なしにレベルを上げるというか、アジアから医療を受けに来させるということが可能なのか。ああいう構想の実現性を竜先生はどう考えるのか」

 竜
「あの構想は、私自身も前から堂本さん(前知事)に千葉の医療は世界一だから特区に、と申し上げてきたこと。結局何もしてくれなかったけれど。現場から意見を言うことが大事だ。成田問題に関しても、千葉は色々苦労したんだから特別扱いしろというのを言うのはもうやめて競争で勝つことを考えないといけない。そして勝つ方法は地元でも知恵を絞らないと。羽田の弱点は交通渋滞だ。騒音問題もあって地元は歓迎しないだろうから、24時間化するといったってそんなに簡単ではないはず。成田は、土地を強制収用してでも滑走路を4本作り、税金をタダにすれば自然にハブになっていく。医療についても、千葉へ来れば最高の医療が受けられるというのを、それぞれの医療機関がそれぞれにウチはこれが最高で患者を呼べるというのを作って連携すればいい。あれは打ち合わせをしていたのではなくて、鈴木寛さんが勝手に私の考えているのと同じことを言ったので大変ビックリした。成田の問題は、まずは地元がきちんとすることだ」

1 |  2  |  3  |  4  |  5 
  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス