『自力を尽くし、他力を待とう』 医療構想・千葉シンポより
行政との関係でも同じ。批判する人が多いし、私も時々するけれど、行政も限られた資源の中で苦心しているのは本当で、主張するだけでなく一緒に考えることが必要ではないか。実際、知事が来た時に実情を話したら、時間をはるかに超えて耳を傾けてくれて「知恵を出してほしい」と言われた。
行政はハコモノ整備とかお金をつけてとかに目が向きがちだけれど、現場でNICU増床ができない最大の理由は新生児科医が足りないこと。医療は人間がやるものなので、お金を出せば問題解決ではない。
私たちが始めているのは県を越えた人材育成。神奈川県はNICUを必要とする人が多いし、NICUで研修を希望する若手医師も多い。しかしスタッフの定員が足りない。対して例えば青森県では新生児科医が少なすぎて、育てるだけの余裕がない。だったら神奈川で育てますから、しばらくこちらを手伝ってくださいというのは成立するだろう。このように専門職の育成には時間がかかるけれども、この辺は現場の工夫で頑張るので、国民には少し長い視点で見守る支援をしてほしい。
これは、毎回話すことだが、こどもを大切にしない国に未来はない。何も言えない子供たちにとばっちりが生じないよう、私たちは現場で踏ん張る。それぞれの場所で可能な支援を考えていただき、一緒に行動していただければ幸いだ。
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