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ニュース〜医療の今がわかる

新型インフル 行政の矛盾が露呈 医療構想・千葉シンポジウム②

 25日に開かれた医療構想・千葉のシンポジウム。今度ご紹介するのは、少し時間を遡って新型インフルエンザなどワクチン問題を取り扱った第一部の後のディスカッションだ。(川口恭)

 茂原選出の横堀喜一郎県議
「新型インフルエンザワクチンの絶対量が足りないので、どう増やすかという話がされていると理解している。1回で効果がありそうだとの報道がされているけれど、あれは本当に信じてもいいのか。それから60キロの大人に1回で効くなら、子供はその半分の量でもいいのか」

 黒木
「世界的に見ると1回接種のところと2回接種のところがある。欧米では1回でもよいとの結果が相次いでいるので日本でも試験をして1回でもよいのでないかという報道がされたわけだが、H1抗体価が上がっているから1回で済むのかというと、交叉免疫の作用でないかとか解釈がいろいろできて、少なくともあの臨床試験だけで1回でよいかどうかは分からないと思う」

 薗部
「細かい数字は忘れたけれども1回打ちの方が2回より若干抗体獲得率が低い。それでもワクチンが足りない状況だから1回にした方が多くの方に打てると、そういう話でないかと理解している。子供は半分の量でよいかという問題に関しては、年齢や体重はあまり関係ない。3歳以上は同じ量で打つのが通常」

 県医師会の原理事
「10月19日に千葉県に4万5千本のワクチンが届いた。医師会ルートが3万4千本、非医師会ルートが1万1千本。非医師会ルートというのは消防や国立施設など向けのもの。ところが、医師会全体の要望数をまとめてみたら10万6千にもなった。本来は地区医師会で調整してほしかったのだが、まじめに新型インフルエンザ患者の診察にあたる人の分だけにした医療機関もあれば、何でもかんでも要求した医療機関もあったようで、明日来る第二陣もどう調整したらよいか、ひとつずつの医療機関を精査することはとてもできないので県庁の井上理事と相談して、ある程度の数式で分配することにした。前回から今回までに若干地区医師会で調整できた部分もある」

 中央学院大法学部教授の氏名聞きとれず
「私は医療は素人。ただ治験審査委員をずっとやっている。その目から見ると、今回の新型インフルエンザワクチンの接種では、免責がないので被害が出た場合には損害賠償請求訴訟が発生する。米国では常々リスク&ベネフィットの考えかたであるところが、我が国の場合は稀な副作用に極めて大きな反響がある。医療が元々身体への侵襲を伴う不確実な行為であるということを日ごろから市民にアピールしておかないと、今回の日本脳炎の問題のように、危険性より有用性が高いのにやられなくなってしまう。政府は勧奨すると責任追及されるからやらないのかなと思うが」

 薗部
「政府が健康救済すべきだし教育もすべき。ゼロリスクはないんだ、相対的なものなんだということを今までの文部科学省では教育してこなかった」

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