大野病院事件の再検証はしない―産婦人科医会、医療問題弁護団要望書への見解
ただあの事件については非常に重く受け止めておりまして、やはり一人の妊婦さんが亡くなったわけですから、それについては将来の再発防止も含めてですね、日本は医療を、妊産婦死亡を減らさなければいけない。世界的にはかなりいいところまでいっていますけども、さらにもっと向上させる。そういった職能団体としての責任もありますので、私たちはその後ですね、産婦人科の診療ガイドラインであるとか、一般の会員の先生方等々がこういうようなレベルの医療をやってほしいとか。そういうような方向でガイドラインを作って、より安全な医療を目指す。そういう方向を思っている。
医会の方は先ほどお話しておりますように、偶発事例の報告がどんどん上がってきましたし、また妊産婦死亡については来年1月から新しいシステムが動く。そういう中からいろんな事例を検証して、トータルでの医療の底上げ。これを図っていきたいと思っておりますので、個々の事例についての再度の検証とういことについては、なかなか対応が難しいと思いますし、それがどれぐらい意味があるのかということについても、ちょっと分かりません。
[ロハス]
弁護団が要望していた大野病院事件についての事故調査委員会を設置してほしいという、それについての対応はないということでいいか。
[寺尾会長]
論旨はですね、刑事事件の場合には、裁判で刑事罰に相当するかどうかということでもって議論するので、したがってそこにある文献だとか、そういうのも非常に限られている。それ以外の事はディスカッションしない。本当はもっと他のこともあるんじゃないかというのが論旨。そういうことは民事だったらいろんな文献を寄せて議論することができるのに、刑事事件ではそういうことができないという、隘路(あいろ)があるということを言いたかったんだと思います。その中で議論していないことについてですね。たとえば麻酔の管理だとか、そういうことについてはあまり議論していなかったと。要するに産婦人科の、産科の事にだけ焦点がかかっているわけで、もちろん出血量とその管理については議論されておりますけども。そういうような事が仰りたいんだと思います。刑事と民事の違いじゃないかという風に思います。
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