12月16日の中医協 (ブリーフィング)
厚生労働省は12月16日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の基本問題小委員会を開催した。会議終了後に厚労省の担当者が行った記者ブリーフィングの概要をお伝えする。(新井裕充)
【前回までの中医協】
○ 12月11日の中医協 (ブリーフィング)
○ 12月9日の中医協 (ブリーフィング)
○ 12月4日の中医協 (ブリーフィング)
○ 12月2日の中医協 (ブリーフィング)
○ 11月27日の中医協 (ブリーフィング)
[保険局医療課・尾崎守正課長補佐]
ブリーフィングの前に皆さんにお詫びをしないといけないことがございます。昨日の夜、中医協の状況をインターネットラジオで生中継するという記者発表をさせていただいたのですが、こちらの事務的な行き違いもありまして、今日の中医協の基本問題小委員会で(委員に諮ったところ)いろいろなご意見が(賛否両論)出まして、結局それは実現できなかった。
一度、皆様に「やりますよ」と言った上ですね、ちょっとできなかったということで、現場の皆さんや国民の方々にご迷惑なり混乱を招いてしまったということもございます。大変申し訳なかったですので、この場で謝罪させていただければと思います。大変申し訳ございませんでした。
今後はですね、委員の方々もご意見があるようですので、委員の方々とちょっとお話しをさせていただくなりですね、こちらでどんな対応ができるのかを考えさせていただいて......。
ちょっとすぐに何らかの動きができるかどうかというのはお約束できないのですが、できるだけ、傍聴の方が非常に増えていますし、早朝(5時から)並ばれている方もおられますので、そういったことの解消に努めていければと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日は大変失礼いたしました。では、ブリーフィングに入らせていただきます。
■ 基本問題小委員会① ─ DPC(新たな機能評価係数の項目)
[厚労省保険局医療課・長谷川学課長補佐]
今日は最初に(新たな機能評価係数の導入に関する)経緯を(医療課の迫井正深企画官が)ご説明いたしました。過去の議論の積み重ねを(理解していない)中医協の先生方にきちんとご理解いただくということで、過去の(基本問題小委員会、DPC評価分科会での項目絞り込みなどの)経緯をお示ししました。
その後、(資料)「診─1─2」にありますように、(平成22年度改定における新たな機能評価係数の導入に関する)対応案を事務局(医療課)から「具体的な案」ということで(承認事項を明確化して)お示しいたしました。(前回よりも踏み込んだ案なので)最初に、「これはあくまでも事務局の案である」ということをご説明した次第です。
結論と交えてご説明していきます。まず、第1「新たな機能評価係数の導入」に関してですね、おおむね事務局の提案については、ご了解頂けたかなと考えています。
▼ 了承されたのは、「項目」だけではないか。この説明だと、配布資料すべてが了承されたようにも受け取れる。同日の議論でも、「何が了承されたのか」という点があいまいなまま議論が進んだ。中医協の診療側委員はぜひ、「何が賛成で何に反対か」を明確にした上で発言するよう心がけてほしい。最近の中医協は"ガス抜き座談会"に堕しており、審議会の体をなしていない。「結論を先に述べてほしい」と言う記者もいる。「これはシンポジウム」と割り切れば、それなりに楽しめるが......。
1. 導入する具体的な機能評価係数
まず、「導入する具体的な機能評価係数」に関してですが、まず①の項目です。
① 以下の4項目については導入することとし、更なる作業に着手。この4つに関しては、(係数の計算方法は検討が必要だが)まずは「項目としては採用する」ということでした。後ほどお話ししますが、(各項目の)「重み付け」についてはまた今後のご議論になります。
・ 〔項目1〕 正確なデータ提出に係る評価
・ 〔項目2〕 効率化に対する評価
・ 〔項目3〕 複雑性指数による評価
・ 〔項目4〕 診断群分類のカバー率による評価
②以下の2項目については、算出方法等の具体化作業に着手し、導入の可否も含めて速やかに検討。②について、以下の2項目は項目としては採用。具体的な計算式など中身については、「今後事務局できちんと検討するように」との指示でございました。
・ 〔項目5〕 救急医療の入院初期診療に係る評価
・ 〔項目6〕 地域医療への貢献に係る評価
③について、〔項目7〕の「チーム医療」は、「診療報酬全体の議論と整合を図りながら、今回のDPCでの対応について引き続き検討」という事務局(の提案)通り(了承)となっております。
各項目の重み付けについては、(診療報酬の)「改定率等の決定を踏まえ、引き続き検討」ということでご了解頂けた次第です。
▼ 資料の「新たな機能評価係数」の設定案」には各項目の設定方法(計算式)が示されているが、同日の小委ではそこまで議論が進まなかった。長谷川補佐はブリーフィングの質疑で、「ここに書かれていない詳細な内容も(今後)さらに入ってくるので、それも含めて次回ご提案する」とコメント。例えば、入院期間の短縮を評価する「効率性指数」の計算式は、「全DPC対象病院の平均在院日数 / 当該医療機関の患者構成が全DPC対象病院と同じと仮定した場合の平均在院日数」となっている。同日の審議では、これらの計算式について具体的なシミュレーション結果を見た上で改めて議論することになったはずだが、長谷川補佐は「4項目と設定方法については今回ご了解頂けた」と述べて記者らを混乱させている。立場上、ぼかしておく必要があるので仕方がないのかもしれないが......。何が決まって何が決まっていないのかがよく見えない中、事務局の作業は着々と進む。「調整係数の廃止をやめろ」と言える委員はいないのか。
【目次】
P1 → 基本問題小委員会① ─ DPC(新たな機能評価係数の項目)
P2 → 基本問題小委員会② ─ DPC(調整係数の段階的廃止等)
P3 → 基本問題小委員会③ ─ がん対策
P4 → 基本問題小委員会④ ─ 後発医薬品の使用促進
P5 → 基本問題小委員会⑤ ─ 初・再診料