12月16日の中医協 (ブリーフィング)
■ 基本問題小委員会② ─ DPC(調整係数の段階的廃止等)
2. 新・機能評価係数を含む医療機関別係数の設定方法
[厚労省保険局医療課・長谷川学課長補佐]
2つ目は、「新・機能評価係数を含む医療機関別係数の設定方法」、いわゆる「λ(ラムダ)」の設定方法等々でございます。これについてはいろいろご議論いただきましたが、最終的には「事務局の方法でシミュレーションするように」ということでした。
私どものほうから、あくまでも(DPC対象病院全体として、現行調整係数による"上積み相当部分"のうち)25%相当(を「新たな機能評価係数」の評価に置き換える)というご提案をいたしましたが、議論の中では「複数でシミュレーションを行うように」ということでした。
例えば、(調整係数を4回の改定で廃止するので4分の1=25%ずつ「新たな機能評価係数」に置き換えることを提案したが、5回で廃止するなら5分の1=20%ずつ置き換えると考えられるので)5分の1、20%という具体的な数字が(委員から)出ましたが、私ども「複数(のシミュレーションを出すように)」と言われていますから、恐らくその前後も含めてシミュレーションしていくものと考えております。
あと、「暫定調整係数」の設定は(1)(新たな機能評価係数に置き換える割合)で決まってまいります。
▼ 「新たな機能評価係数」に置き換わる部分が25%なら、「暫定調整係数」は75%か。ただし、この比率は病院ごとに異なることに注意する必要がある。厚労省案では、「DPC対象病院全体として、現行調整係数による"上積み相当部分"のうち25%相当を『新たな機能評価係数』の評価に置き換える」としており、「全体として」の部分が下線で強調されている。今回の見直しが中小病院に与える影響は改定率次第か。
あと、(暫定調整係数の設定方法は)基本的に「λ(ラムダ)」の考え方。これはあくまでも便宜的に置いた数字でございますので、この考え方に対してはおおむねご了解頂けたと考えています。
▼ 資料では、「現行の調整係数設定方式に基づき算出した各病院の調整係数について、一律に一定の定数(別紙2・P2の「人(ラムダ)」)を乗じ、それを平成22年度診療報酬改定の暫定調整係数とする」としている。今回の提案に対して、診療側の委員から「複雑すぎて分からない」「議論の対象にならない」などの批判が相次いだが、遠藤久夫委員長が「シミュレーションを出して改めて検討」という方向で抑え込み、なんとか逃げ切った。残念だが、DPCに関する中医協の議論は"ガス抜き"のレベルにとどまっている。散漫な議論に呆れたのか、支払側の委員から「シミュレーションに改定率は必要か。現在までのデータで皆さんが心配されているような所をシミュレーションしてはどうか」という助け船(?)が出てしまった。
2ページの②と(3)もご了解いただけたものと思っています。
②上記①の定数(λ)は、今後改定する診断群分類点数表(平成22年版)に基づく包括点数と上記2.(1)に基づき新たな係数評価で置き換えられる総点数等から算出される(別紙2)。次は3番、「その他の算定ルールの見直し」でございます。(3) 上記(1)、(2)を踏まえ、最終的な医療機関別係数を次のように算出する。
〔医療機関別係数〕=〔暫定調整係数〕十〔新・機能評価係数〕+〔現行の機能評価係数(※)〕
※ 出来高点数の加算等に基づく機能評価係数については、従来どおりの取扱で設定する。
3. その他の算定ルールの見直し
まず、(1)の「現行の包括評価対象を見直し、出来高で算定可能とする」という、この5項目についてはおおむねご了解頂いています。
・ 無菌製剤処理料あと企画官から補足がありましたが、検体管理加算については、係数での外出しを行うというご説明を加え、その点は異論がございませんでした。
・ 術中迅速病理組織標本作製
・ HIV感染症に使用する抗ウイルス薬(HIV治療薬)
・ 血友病等に使用する血液凝固因子製剤
・ 慢性腎不全で定期的に実施する人工腎臓及び腹膜灌流
嘉山(孝正)先生(山形大学医学部長)から「がん治療薬についても外出しを」ということですが、これは(患者の状態像に合わせて包括点数をいかに精緻化するかという)DPC評価分科会の永遠のテーマでございますので、引き続き検討させていただくということになります。
あと、(2)の「医療法標準(による医師等員数の基準を満たさない場合や特別入院基本料を算定する場合の取扱等については、出来高と同様の規定を設ける)」に関しましては、事務局案通り、異論なくご了解頂けたと考えております。
第2(調整係数の廃止に向けた対応)でございますが、「何回で調整係数の見直しを行うのか」ということです。事務局としては「4回」というご提案をしていますが、「回数については今後の議論ですね」ということで、最終的には結論に至っていないというところでございます。
あと、(今後の対応に関する)(2)は当たり前のことですが、重み付け等について引き続き検討して、特に(現行の調整係数、来年度以降の暫定調整係数に代わる)「基礎係数」の在り方について平成24年度以降、検討を進めていくということでございました。以上です。
【目次】
P1 → 基本問題小委員会① ─ DPC(新たな機能評価係数の項目)
P2 → 基本問題小委員会② ─ DPC(調整係数の段階的廃止等)
P3 → 基本問題小委員会③ ─ がん対策
P4 → 基本問題小委員会④ ─ 後発医薬品の使用促進
P5 → 基本問題小委員会⑤ ─ 初・再診料