事務局長「2回に何を期待?」と凄む 新型インフルワクチン
16日の『新型インフルエンザワクチンに関する有識者との意見交換会』のなかで、厚生労働省の官僚たちは足立信也政務官や外部専門家から仕事を増やされるのを非常に嫌がっていることと、『有識者』もその意を忖度して動いていることのよく分かるやりとりがあった。人情としては大変よく理解できるのだが、同じように仕事を減らす配慮を前線に対してしているだろうか。(川口恭)
伏線は足立政務官の、「この抗体価の上昇がどれだけ続くのか、今後このインフルエンザの流行が2シーズン、3シーズンと続いていく時に、ずっと持ち続けるのか、あるいはワクチンをさらに接種した方がよいのかも検討していただければと思う」という挨拶にあった。足立氏は議論を見届けることなく退席してしまっており、その議題がどう取り扱われたかご紹介する。
妊婦の臨床試験の結果について質疑を行った後で、尾身茂・自治医大教授
「では前回既に妊婦は1回でよかろうという議論になっていたが、今回はサイエンティフィックによりよく根拠ができたということで、前回通り1回打ちでよいと結論してよいか」
岩田健太郎・神戸大学教授
「ここに出ているのは、あくまでも1回打ちの結果で、これから2回打ちの結果が出てくると思うが、それと比較しないと1回打ちの方がよいとは言えない。断わっておくが1回打ちに反対するつもりは毛頭なくて、2回打ちの結果を待って何が起こるか見てからでないと1回の方が優れているとは言えないというだけ。今の段階では1回打ちで問題なかろうと判断するけれど、2回の結果次第では判断が変わる可能性もあると留保をつけるべきだろう」
尾身
「何かご意見は」
『有識者』が誰も発言しないうちから、岸田修一・新型インフルエンザ対策本部事務局長(厚生労働省審議官)が声を荒らげて割って入る。やたら声がでかい。
「何を。。。2回目で何が出てくると期待しているのか」
山口晃史・成育医療センター医師(今回の臨床試験を担当)
「僕らも1回打ちの評価をしているけれど、いったん上がった抗体価が落ちてしまうということがある。できることなら妊娠の最後まで抗体価が持続した方が望ましいので、2回目の接種で二重応答があるかもしれないとは認識している」
岩田
「最終的な結論は3カ月後になるだろうか」
山口
「最後の赤ちゃんが生まれるのは夏ごろ」
岩田
「定期的にフォローする手もある」