事務局長「2回に何を期待?」と凄む 新型インフルワクチン
岩田
「初期に抗体価が上がってもスッと下がる方がいる。たとえば麻疹は1回でかなり抗体価が上がるのだけれど、しかし予防には2回打った方がよいというのが世界的なコンセンサス。1回打った初期を見ただけでは1回で十分か2回打った方がよいのかは分からない」
栗山
「1回打ちか2回打ちかは専門家の判断で決めていただけばいいことで、素人が踏み込むのは適切でないとは私も思っている。ただちょっと疑問に思ったので」
岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長
「本当は1回打ちと2回打ちとを比較することがサイエンティフィックにはやりたいところで、長期的には必要だろうが、今決めなければならないのは短期の目の前にいる人たちに何回打つかという話。それは1回でよかろう。それからここにマスコミの方も大勢いるので強調しておきたいのは、不活化ワクチンであることと季節性ワクチンの経験から胎児に与える影響はないということは知っておいてほしい。最終的には出生した子供のフォローをして分かることだが、考え得る限りは胎児への影響はない」
川名明彦・防衛医大教授
「むしろ質問なんだが、基礎抗体価の高かった方で上がった方が少ないということは、2回目に打っても上乗せ効果は期待できないということか」
山口
「推定的にはある」
森兼啓太・山形大准教授
「このスタディでは最終まで行っても1回打ちと2回打ちの比較はできないということか」
山口
「倫理委員会を通したのは、2回打ちの有効性を検討するための試験。比較に関しては改めて別の試験をする必要がある。被験者が100前後とギリギリの数なので他と比較するには別の100人ぐらいの試験が要る」
尾身
「このワクチンが中長期的にどの位のプロテクションをつけてくれるのかは厚生労働省としても知りたいデータだ。サイエンティフィックな興味だけでなく、行政的にも意味がある。ただ今回は1回か2回か延々と議論するわけにはいかんので、(中略)今回私は1回で行くとしたい。ただし岩田先生が行ったことが重要で、来年も効果があるのかは今回とは別の次元の話だが、必要なデータだ。公衆衛生的な意味で必要なデータだ。三重の庵原先生は1年間有効と言っていたが、あれもあくまでも彼の判断。余裕があったらそれも検討したい」
(後略)
(この記事へのコメントこちら)
訂正(10年1月6日18時20分記:事務局長の氏名を「岸田修一」氏と記しておりましたが、正しくは「麦谷眞里」氏でした。お詫びし訂正いたします。川口恭)