大学教官の給料あげてやって 鈴木文科副大臣vs.癌研幹部
後者の医系技官の問題は私も痛感している。この問題を克服していくためにも、これからは政治を動かす私たちと現場の方々がダイレクトにつながることが大切だろう。今まではごく一部の官僚とその周りにいる方々...」
武藤
「御用学者」
鈴木
「ええまあ、その御用の方々で政策決定が行われていた。ある政策に関わっている人が日本全国合わせても30人ぐらいしかいない、そんな状態で決まっちゃってた。それで国民の意見を聴いたとか何とかいって。
事業仕分けのスパコンの問題は色々あったけど、パブコメにメールをくれた人も数えると2万人ぐらいがあれに参画したことになる。こういうことが大事なんだと思う。そういうことができる時代になった。2万人も意見を出し合うと急速に議論が練れてくる。
文部科学省では来年からは一つの政策について1000人で議論するというようなことを考えている。審議会の役割を完全に否定するわけではないが、あくまでもオーソライズするためとか賢人会議のような位置付けに変わる。まず叩き台をつくる部分は大勢で熟議する、それも急速に熟すというような風にやりたいと思っている。それを厚生労働行政にも移植したいと思っている。
要するにネットの登場によって、それまで政策の中持ちしていた人たちを相対化することができるようになった」
山口俊晴・癌研有明病院副院長
「医学部定員が増えると大学にマンパワーが必要になる。本当に大丈夫かという意見がある一方で、実際には今までの大学は医療に関しても教育に関しても効率がよくなかったと思う。忙しい忙しいと言いながら、アルバイトには行っている。私にも経験があるが、そうしないと生きていけない。そんなことをしないでも生きていけるように給料を上げてやってほしい。それと裏返しに、仕事をしない教官に対する評価は厳しくやってほしい」
鈴木
「診療報酬の上がった分のいくばくかは職員の報酬アップにつながると思う。そのように裁量できるのが法人化のいいところ。教官の指導に関しては、キーワードは透明化だろう。何をしているかいつでも外部の目にさらされていること。その面で大学も刷新されていかなければならない」
野田
「最近、ニュースなどでもNC、NCと盛んに聞くのだけれど、独法化はどういう形で何をさせるのかが問われていると思う。私たちは一生懸命、借金を抱えながらやっている。それに対して、むこうは600億円の借金がなくなるかもしれないという。国策研究と言ったって彼らだけではやりきれない。民間を圧迫したり、民間のやる気をなくさせるようなことがあってはならない」
鈴木
「私も検討チームのメンバー。同時に国立大学病院の担当もしている。まず前提を説明すると資産に見合った借金を同時に持っていくというのが独法の基本的な考え方で、その資産を最大限にいかして借金返済をしていくというのが教科書的。その資産価値をどのように評価するかで2通りの方法がある。ひとつはかかったコストを積み上げていく方法で、もうひとつは世の中の類似のものと比較する方法。民間の場合はどちらを取ってもニアリーイコール。しかしNCは建設単価や機器の納入代金が異常に高額なので、どちらで評価するかで全然違う。どちらに偏ることもなく、日本の大切な研究機関としてスタートしていただくというのが出発点。
先ほど国策というお話があったけれど、何度も繰り返しているように、民主党の基本的な考え方は設置主体による区別をやめようということ。将来的には、たとえば癌研もNCではないけれど国民のためのミッションを負っているのだから、その部分に対して運営費交付金のようなものが支払われるようなことがあってもよいのでないか。どこの所管の法人にやってほしいということではなく、先端的な研究を担うにふさわしい所にやってほしいのだから(後略)」
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