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ニュース〜医療の今がわかる

がんの先進医療が普及すると医療費が増える?

■ 「全国一律に同じ診療を受けられるかに関心ある」 ─ 白川委員
 

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 はい、ありがとうございます。厚労省として、今のお立場以外のことはたぶん言えないと思いますので、まあ、あの......、厚労省のお立場からすると、(保険診療と自由診療を併用する)混合診療の禁止でありますから、これ(先進医療制度)が適用されないと55万4000円という保険外併用療養費分(保険給付分)まで本来は自己負担になるところが、「保険でここはみていますよ」という、そういう意味で「自己負担を少し軽減させているんです」というお話だったと思います。

 それから、「自己負担請求額も査定しています」ということだと思いますが......。ま、嘉山委員はさらにこの自己負担部分を......、それは保険給付でみるのか補助金でみるのかは知りませんが、「何らかの形で削減することがいいのではないか」ということを含めておっしゃっているんだと思いますが......、嘉山委員、どうぞ。

[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
 (現行の)制度的には今のお答えしかないと思うんですけども、ただ......。だとしたら、(将来の保険導入に向けた)「先進医療」として認めたものをどれぐらい(の期間)で保険適用しているのか。

 (医療課の企画官は)「なるべく早く(保険収載する)」というようなことを今おっしゃったのですが、実際にはどれぐらい(の期間が保険収載まで必要)なのでしょうか。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 それはまさに、これから(議論する問題)。(平成)22年度に保険収載する先進医療がずらっと(12項目)リストで出ています。大体......、(保険診療と併用できる先進医療に適用されたのが)平成15年とかありますから、(保険収載まで)そんなに短くはない。

 (先進医療の適用が)平成21年というのもあるのですが、これは検査とかですね、副作用とか侵襲性が少ないものについては比較的早く保険に入っているようですけれども、ほかはデータ蓄積が必要なのかは分かりませんが、そんなには早くないというか......。どれを、何をもって「早い」とするかということもありますけどね、それはまた今後の議論というか、これからの議論......。

[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
 分かりました。(先進医療の高額な自己負担部分などについて)非常に現場では苦悩しているということをご理解願いたいと思います。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 はい。これ、1号(支払)側で何かご意見ございますか?

[白川修二委員(健保連常務理事)]
 この問題で、患者の自己負担がかなり......、特に先進医療技術についてかさむというのは認識しておりますし、事務局(保険局医療課)が今おっしゃった「混合診療」とかの問題も全部絡む話でございますので......。

 ただ、保険適用されるからには、「全国どこでもほぼ同じ程度の手術が受けられる」といった(普及性の要件など)ある程度の条件が整わないと......。例えば、「1か所だけでこの手術が可能だ」ということで直ちに保険適用というわけにはいかないと私どもは承知しております。

 その辺が次の議題(先進医療の保険導入)で議論になると思いますけれども、あの......、まあ、特に我々が気にしておりますのは(普及性の要件)。

 私どもはよく判断できませんが、例えば今回の例(腹腔鏡下根治的膀胱全摘除術)は、患者さんに対する負荷も低いでしょうし、有効性という意味でもたぶん大丈夫だろうと思いますが、特に気にしておりますのは普及......と言いますか、全国で一律に同じ診療を受けられるかどうかということが、私どもとしては一番関心があるということでございます。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 ありがとうございます。保険適用の1つの要件「普及性」というのがかなり重要になりますので......。ま、そういうお話だと思います。

[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
 了解、よく分かりました。白川委員、我々は学会で、例えば私が内視鏡のを出したらですね、大体翌年には全国の大学でほとんど......。まあ、トレーニングをしていますけれども、今、実技指導というのを学会でやっていますので、大体翌年には全国で......。

 もちろん、すべての病院ができるわけではないですが、いわゆる「先進医療」をやっている病院では北海道から沖縄までできるようになっていると、一般的には考えていいんじゃないかと思います。1年か2年あれば十分に普及します。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 白川委員、どうぞ。

[白川修二委員(健保連常務理事)]
 いや、ですから、嘉山先生のお考えに別に反対しているわけではございませんで、次の議題(先進医療の保険導入)の中で具体的にどうかということを個別に見ないと、一般論では済まない話もあるものですから。

 確かに、次の(議題の)資料、かなり......。(先進医療の適用が)平成6年の技術とかですね、「ちょっといかがなものか」ということを少し申し上げるつもりでいたんですが、先に嘉山先生におっしゃっていただいたので次の議題では黙っていようかと思っておりますが......。個々の技術では、やはり議論すべきだと思っております。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 はい、ありがとうございます。それでは、次の話に移ったほうがよろしいでしょうかね。(中略)

 ▼ 保険給付と併用できる先進医療として「腹腔鏡下根治的膀胱全摘除術」を認める先進医療専門家会議の決定に対し、中医協として特段の意見がないことを了承した。この後、医療課の企画官が先進医療の実績を報告。続いて、先進医療の保険導入の議論に入った。
 

【目次】
 P2 → 「毎回毎回、自己負担分を患者さんに浴びせていくのか」 ─ 嘉山委員(診療側)
 P3 → 「全国一律に同じ診療を受けられるかに関心ある」 ─ 白川委員(支払側)
 P4 → 「保険適用の理由を開示したほうがいい」 ─ 遠藤会長(公益)
 P5 → 「専門の方々の共通認識は我々には分からない」 ─ 牛丸委員(公益)
 P6 → 「普及性は『鶏と卵』みたいな話」 ─ 安達委員(診療側)
 P7 → 「保険で認めればトータルコストは安くなる」 ─ 嘉山委員(診療側)
 P8 → 「重粒子線を全国に普及するのは反対」 ─ 関原委員(公益)

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