「価格付けに中医協が関与しないのは問題」 ─ 遠藤会長
■ 「優先順位があるなら『71点』の議論を」 ─ 安達委員
[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
12ページの認知症外来の所です。認知症は入院、外来を問わず社会的な問題が起きて、これに対する対策が大変重要であるということは、基本的に私はその通りだと思います。
▼ 厚労省の提案によると、入院では「認知症病棟入院料」を見直し、認知症患者の早期退院を進める。外来では、認知症専門の医療機関の診断を評価する点数(認知症専門診断管理料)を新設するほか、地域のかかりつけ医が専門病院に紹介した場合を評価する「認知症患者地域連携加算」(月1回)を新設する。
認知症外来の所で、「認知症専門診断管理料」(を新設すること)、これは必要だろうと思います。つまり、(認知症)専門の病院で専門の診療科を置いておられて、現実に我々(診療所)がどういうことになるかというと......。
診ているかかりつけの患者さんが、家族の訴えやご本人の診療録から「非常に(認知症の)疑いが強くなってきたな」というときに、(認知症の専門病院に)紹介して診ていただいて現状把握をしていただいて、そして治療方針を決めていただく。そこまでやっていただくわけですが、その窓口が少ない、小さいので、大変時間が掛かるということがあって......。
多少ともこういう評価をすることで、例えば、1つの病院の認知症外来が今まで1つだったのが2つになるとか、そういうようなことをやっていただくというのは大変必要なんだろうなと思うんです。
▼ 厚労省は、認知症について早期の鑑別診断を行う専門機関として「認知症疾患医療センター」の全国整備を目指しているが、まだ全国に50ぐらいしかなく、目標の150か所には遠く及ばない。しかも、専門の医療機関に紹介した場合の点数はまだ200件しか算定されていない。このため、昨年11月11日の中医協で、鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事)は次のように指摘している。
「各都道府県によって偏りがあり、1つの県に何か所もある県もあれば私どもの県のようにゼロのような所もある。『紹介しようにも紹介先がないという』ということもあるが、実際は近くの精神病院さんとか、そういう所で診断・治療していただくのが実情なので、やはり(センターという)高度医療とは違うような感じがする。近くの病院に紹介すれば取れるような仕組みにしたほうが普及しやすいのではないか」
(認知症の患者を専門病院に紹介した場合を新たに評価する)「認知症患者地域連携加算」は要するに、我々個人診療所がそういう診断が付いた後の患者さんを日常から診ていることについて、「わざわざ診療情報提供料(Ⅰ)に加算をしてあげよう」とおっしゃっていただいているんですが......。
基本的には、お預かりしているほうはお預かりであり見守りであり、その他の認知症以外の身体状況についてはそれぞれ出来高でみんなやっているわけで、「認知症の状態がある程度変わられたな」というときは「診療情報提供料」250点を書き込んで、精査、精密な診断というのは専門の医療機関でおやりになるわけで......。
別に......、ここの所の加算がないから認知症の外来診療が進まないという状況はないと思うんですね。回りくどいことを言って申し訳ございませんが、あえて申し上げれば、「個人診療所はこんなものを頂かなくても結構です」と申し上げているわけです。
つまり、(外来の財源)400(億円)という枠がはまっていて優先順位があるということならば、これ(400億円)を超えるんだったら、(診療所の再診料を引き下げないで)「71点」(で統一)の議論をしてくださいということを申し上げている、そういう意味でございます。
[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
はい、ありがとうございます。ただ今のことにつきまして、(認知症患者地域連携加算は)「十分なインセンティブにはなり得ないのではないか」というようなことですけれども、これについて何か、事務局(保険局医療課)お考えはありますか。
【目次】
P2 → 「優先順位があるなら『71点』の議論を」 ─ 安達委員
P3 → 「ある程度誘導できる」 ─ 厚労省課長
P4 → 「遠慮なく受け取っていただければ非常にありがたい」 ─ 伊藤委員
P5 → 「価格付けに中医協が関与していないのは問題」 ─ 遠藤会長