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ニュース〜医療の今がわかる

「事務局のサポートに感謝したい」 ─ 中医協、2010年度改定を答申

■ 「命の重さを感じさせる答申書」 ─ 足立政務官
 

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 それでは、ほかにご意見もないようでありましたら、この答申案および附帯意見案をもって中医協から答申を行うということにしたいと思います。よろしゅうございますか。はい、ありがとうございました。

 それでは、事務側(保険局医療課)におかれましては、答申書の正本を準備していただきたいと思います。本日は足立政務官がお見えでございますので、私から正本を足立政務官にお渡ししたいと思います。

 [ 遠藤久夫会長から足立信也・厚生労働大臣政務官に答申書を手交 ]

 それでは政務官、一言ご挨拶を。

[足立信也・厚生労働大臣政務官]
答申書手交01.jpg (厚生労働)大臣政務官の足立信也でございます。「命の重さを感じさせる答申書」であったと思います。大変、感謝を申し上げます。

 先ほど来、(2010年度診療報酬改定案について)議論が活発に行われましたけれども、10月から大体平均して「週2回1日4時間以上」という議論が交わされました。本当にお疲れ様でございました。

 そして今日は、(保険局医療課の)事務方からのお話ですと、「ほとんど質疑はないでしょう」というお話でしたが、やっぱり今日もですね、相当、(改定の影響や財源配分を検証する必要性などの)議論が出ておりました。おっしゃっる通りだと思います。

 その中で(改定率の決定時期に関連して)政治としての役割の話がございましたが、やはりこれは税制改正と予算編成の過程の中で改定率を決めていくという今の仕組みである以上、(現在よりも早期に改定率を決定するのは)なかなか難しい課題として受け止めたい、そのように思います。

 私が昨年10月(30日)に、(新体制の中医協発足に当たり)お話ししましたのは、「現場主義を大事にしたい」「現場からの改革をしたい」ということでございました。そんな中で、今回の中医協の議論で大きく今までと違った点は2点あると思います。

足立政務官と診療側委員0212.jpg それは、まさに現場を代表する方々から、救急医療や産婦人科や外科の先生方から、今の現状をつぶさに(委員の)皆さんが事情をお聴きしたということです。

 それからまた、委員の皆さんが自分で資料を持ち寄り、中には膨大な資料もありましたけれども、自ら作成した資料を持ち寄って議論をされた。
 この2つの点につきましては、今までの中医協ではなかなか見られなかったことではないかと私は感じております。

 そしてまた今回、この一連の議論の中で大きかった点は、厚生労働省、あるいは政務三役、そして内閣としての方針決定の過程に当たり、私は皆様方の議論を参考にしながら、今、まずやらなければいけない分野はどこで、そしてそこにはどれだけの財源を集中させなければいけないのか。
 その中で、財源不足の話も先ほどございましたけれども、今まずやらなければならない点、しかしながら、それではない部分においてもしっかり手当てを、最低限の手当てをしていくという基本方針が決められたことが最も大きな前進であったと思います。

 とはいえ、(診療報酬本体1.55%の引き上げによる)5700億という財源を医療の中の単価に付けていく診療報酬改定は、やはり相当な効果がこれから期待できると私は思っております。
 今回の、この改定の主な内容と言いますのは、先ほど申しましたように、世間では「医療崩壊」と言われておりますけれども、私の立場としては「崩壊」とは言いたくない。「今、崖っぷちに踏み止まっている」、そのように思っております。

 まずは産科、小児科、そして救急、そして今まさに、潜在的に非常に危機的状況に遭っている外科、この部分を一番力を入れなければならない。これが第1点目でございます。
 そして、急性期の病院だけ手厚くしても、その後の後方支援、あるいは地域医療を守っている診療所、その評価を下げてしまったのでは、地域医療は確保できない。私は当初から判断しておりましたし、政府といたしましてもその方針でやらせていただきました。

 そして最終盤になって、診療報酬、そしてその明細(書の無料発行)が義務付けられることになりました。これは長年取り組まれていたことではありますが、私は今の状況を打開するために、医療を提供する側と受ける側の情報の共有が絶対に欠かせないことだと思っております。

 そして、この明細が明らかになることによって、ある意味、効率化も果たされるのではないか。疑問点も解消できるのではないか。そして、皆さんが医療というものを共通の情報でその内容をしっかり理解できるようになっていくのではないか。国民皆さん全員で、この国の医療を、「世界一」と称されたこの医療を守っていこうという第一歩になるのではないかと強く思っております。

 今日の議論の中でもございました。この(診療報酬改定の)検証がまず、これから皆様方にまた課せられる使命かと思います。私どもも、そのことに関しましては、今まで同様、できる限りの資料を集めて皆様方の議論に供したい。そのように思いますし、この危機を打開するためには、「まず医療費を確保する」ということと共に大事なことは、医療や介護の提供体制をしっかりしていくということでございます。

 (長妻昭厚労相が着席)

 厚生労働省におきましても、その議論は既に始まっております。この医療費の問題と、それから提供体制、車の両輪として、しっかり議論をこの1年間で進めていきたい。そのことをお約束いたしたいと思います。
 大臣がお見えになりましたので、あまり私が長く話しても......(笑い)、問題かと思いますので、この辺で切り上げさせていただきます。

 いろんな意見が中医協に対してございました。私どもの政権の中でもございました。しかし、私はステークホルダーが集まって、そして自分の立場でまず考え、協議し、物事を決めていく。この形でなければ、これから日本の在り方は決められないんではないか、そのように認識しております。

 そんな中で、皆様方の、本当に......、(週2回1日4時間以上のハードスケジュールで)「体がガタガタになった」というお話もございましたが、(委員らの)ご努力によって、ある一定の成果が得られた。
 このことに対しまして、感謝申し上げますとともに、これから私どもは行政の立場としてこれをしっかり監視し、また実施していく。そして足らざる部分は補っていく。

 このことをお約束申し上げて、私からの感謝の言葉といたします。どうもありがとうございました。(拍手)

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 足立政務官、ありがとうございました。それでは、長妻大臣がお見えになりましたので、大臣、一言。
 

【目次】
 P2 → 医療・介護提供体制のグランドデザインを描けるか
 P3 → 「命の重さを感じさせる答申書」 ─ 足立政務官
 P4 → 「改善すべきところは改善していきたい」 ─ 長妻厚労相
 P5 → 「多様な視点でエビデンスベースの議論ができた」 ─ 遠藤会長

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