背後の保険が矢面の薬事を二人羽織 ラグ検討会
医療上の必要性が高く、欧米で使われていながら国内では使えない医薬品を早く使えるようにしようという検討会『医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議』(委員名簿はこちら)の2回目会合が31日開かれた。約50日ぶりの開催とあって、どのような進展があったのか満場の傍聴人が見守ったが、何のために手間をかけてやっているのか分からなくなる本末転倒な議論が随所で展開された。特に、保険局が医薬食品局を弾除けに使っていて、それが話をややこしくしていると分かるやりとりをご紹介する。(川口恭)
この検討会は、学会などから早期承認・適応拡大の要望が出た374品目について、7つのWGに医療上の必要性を判定させた後、企業に開発要請をするという進め方で運営されていることになっている。この日はWGによる中間報告が行われた。
問題のやりとりが始まったのは、終了予定時刻を過ぎたころだった。
村山
「医療上の必要性についてWGの見解と企業の意見とがリンクしているようなものは、恐らく問題なかろう。しかし企業の意見がないようなものをどうやって進めるのか。私も次回までに考えてみたいとは思うが。企業と足並みが揃わないようなものを現実的に進めることが可能なのか」
事務局
「空欄になっているのは海外で承認されているけれど、国内には拠点がなくて、意見を聴かせてもらう対象がなかったようなもの」
村山
「それは分かっているけれど、実際問題そういうものを、どうやって開発してもらうのか」
藤原
「この検討会の進め方として、医療上の必要性のあるものは公知申請か通常の承認申請かさせるということになっているけれど、370の中には既に保険償還もされているし普通に使われてもいるというものが相当ある。それまで無理やり薬事のトラックに乗せる必要はなくて、支払基金も認めているようなものもあるのだから、薬事はおいておいて保険償還を認めるというトラックへも流れる形にするべきでないのか」
堀田座長
「現状で保険償還されているものまで、わざわざ承認を取る必要があるのかというのは多くの方が思っていることだろう。これについて保険局の見解は」
保険局(恐らく磯部薬剤管理官)
「持ち帰って検討はするが、トラックを整備すると言われた時に、公知申請と55年通知をどう切り分けるのか、考えれば考えるほど知恵が出ない。どうしたらいいんだろうかという気持ちにさえなる。55年通知は、個々の症例ごとに保険を認めるかどうか審査の段階で柔軟に対応するということを示しているのであって、一律に認めるとか認めないとか、そういう類のものでは本来はないはず。そこをどこまできちっと整理できるのかというのが正直ある。ただ、ご意見もあったから、どんなやり方が一応あり得るのかは持ち帰って検討はしてみたいとは思う。
あと、もう一つその話で言うと、元々の議論の中で小児科分野で適応外がほとんどで、症状詳記を書くのに今一番守らなければいけない小児の勤務医の方々が非常にご苦労なさっているというのは保険局的には非常に気にしている分野で、そういったものをいかに早く解消するかということも現実的に大事なことだと思っている。そういったものから解放するためには、今は保険で症状詳記で認められているものであっても、薬事でちゃんと認めて、そういうストレスなく使えるような形にすることも大事だと思っている。
ただ優先順位の問題から考えると、全く今保険でも認められない、症状的にも緊急性が高いようなものを先に開発要請して進めて行くという考え方もあるのでないか。いろいろ議論はあると思うので、保険局内でも持ち帰って議論してみたいとは思っている」