「ドラッグ・ラグ」「2010年問題」などを議論 ─ 中医協(6月23日)
■ 薬価専門部会② ─ 製薬業界における「2010年問題」
薬価専門部会ではまた、製薬業界における「2010年問題」について長野明専門委員(第一三共専務執行役員)が説明。世界の売上20億ドル以上の大型製品のうち、約75%が承認後10年以上経過しているため、2010年以降に特許切れを迎えること、これにより製薬業界が厳しい経営環境に置かれることを懸念した。
研究開発期間が10年から20年と長く、コストを掛けても成功確率が0.005%と極めて低いことなどを指摘し、「試行的導入」とされている新薬創出等加算の正式な導入や、長期収載品に対する薬価上の措置を求めた。また、「2010年問題」について業界から意見聴取することを要望した。
質疑では、新薬の開発が進まない原因について遠藤委員らが「一過性のものか、恒常的な問題か」などと質問。禰宜寛治専門委員(武田薬品工業コーポレートオフィサー業務統括部長)は、バイオ医薬品への方向転換など新薬開発のトレンドが変化していることを挙げ、「90年代の生活習慣病の薬剤のような、あれぐらいの大きな薬剤は難しい状況にある」と述べた。
長野委員は、薬の効き目を測ったり確認したりする項目が多彩になって深化したこと、その測定項目に薬の効果が追い付いていくような物質が見つけにくいことなどを挙げた。
その上で、第一三共の抗菌剤「クラビット」の売上が数量ベースで2~3割、1年以内に7~8割ダウンすることを危惧。「後発品の市場規模が大きくなるだろう」と述べた。
「2010年問題」については、次回以降も議論を続けていく予定。
【目次】
P1 → 薬価専門部会① ─ 次期薬価制度改革に向けた検討事項等
P2 → 薬価専門部会② ─ 製薬業界における「2010年問題」
P3 → 総会① ─ 未承認薬・適応外薬等
P4 → 総会② ─ 高度医療の報告等
P5 → 総会③ ─ 次期改定に向けた支払側の意見等