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「ドラッグ・ラグ」「2010年問題」などを議論 ─ 中医協(6月23日)

■ 総会① ─ 未承認薬・適応外薬等
 

 冒頭、支払側の委員が高橋健二委員(全日本海員組合中央執行委員)から田中伸一委員(全日本海員組合中央執行委員)に交代したことを遠藤会長が報告した後、議事に移った。

 厚労省保険局医療課の磯部総一郎薬剤管理官が未承認薬・適応外薬に関する公募の状況などについて報告した後、同省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」について、同会議の座長である堀田知光・国立病院機構名古屋医療センター院長が進行状況や委員の意見などを紹介した。

 堀田座長は学会や患者会などから要望が出ている374件について、「できるだけ救うという観点で評価したい」としながらも、医薬品の審査を担当するPMDA(医薬品医療機器総合機構)の現在のマンパワーなどを指摘。「今まで3年間で41品目だったのがいきなり374。それを受けられるのか、企業にとっても負担が大きいのではないか」と懸念した。

 その上で、日本の保険制度は薬事法上の承認と保険償還(支払い)がリンクしていることに言及。「薬事法上の承認を得るまでの段階をもう少し過渡的に緩和できないかを検討願いたい。薬事法上の承認を得るまでのステップを全部の適応に対して求めるのは無駄も多い。一定の枠内で保険償還を認める形を検討していただきたい」と要望した。

 意見交換で、嘉山孝正委員(独立行政法人国立がん研究センター理事長)が「外国では薬事承認がなくても保険適用になっている国がたぶん大部分じゃないか。薬事承認と保険適用が一体化しているのは、国際的に見ると奇異だ」と述べ、いわゆる「55年通知」による弾力的な運用でドラッグ・ラグを解消すべきと主張した。
 これに対し、磯部薬剤管理官は米英独仏の例に限定した上で、「薬事法で承認したものを保険適用するのが原則だが、適応外についてはそれぞれの国で有効性や安全性など、『一定の評価』をした上で薬事承認がなくても保険適用を認めている」と反論した。

 そこで嘉山委員は、「374件のうち283件は適応外。つまり、薬としては認められているが使い方を変えるだけなので、55年通知を使えばドラッグ・ラグは一気に解決する」と詰め寄った。安達秀樹委員(京都府医師会副会長)もこれに賛同。医師の裁量権を強調し、「55年通知」の活用を求めた。
 磯部薬剤管理官は、薬事法上の承認がなくて適応を認める国であっても、「自国で一定の評価をしている」と繰り返した。
 遠藤会長は「ご提案として聴いておく」とした上で、「本日は55年通知という審査・支払の話ではない」と議論をいったん打ち切り、次回以降に改めて議論することになった。
 

【目次】
 P1 → 薬価専門部会① ─ 次期薬価制度改革に向けた検討事項等
 P2 → 薬価専門部会② ─ 製薬業界における「2010年問題」
 P3 → 総会① ─ 未承認薬・適応外薬等
 P4 → 総会② ─ 高度医療の報告等
 P5 → 総会③ ─ 次期改定に向けた支払側の意見等

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