薬価制度改革、「新しいルールをつくっていく」―遠藤久夫・中医協会長
2010年度の薬価制度改革に向け、中医協の遠藤久夫会長は5月27日の薬価専門部会で、「新しいルールをつくっていくことが必要」と意欲を見せた。(新井裕充)
遠藤会長は総価取引に関連して、「適正な薬価を形成するために、正しいデータを得るために、そもそも自由な商取引に行政が介入するというのは自ずと限界があるのではないかという気がする」と指摘。
その上で、「総価取引の割合が多いなら、薬価の改定の方法を、中医協として、こういうこと(総価取引があること)を前提に、新しいルールをつくっていくことが必要なんだろうなあと。その辺も視野に入れていく必要があるのではないかと思う」と明かした。
薬価を国が決める現在の仕組み(薬価基準制度)をめぐっては、市場競争の原理が薬の価格に反映しにくいことや、新薬の研究・開発に掛けた資本の回収力が乏しいなどの問題点が指摘されている。
旧厚生省は1997年、「21世紀の医療保険制度―医療保険及び医療提供体制の抜本的改革の方向―」を発表し、薬価基準制度に代わる新しい仕組みとして、「薬剤定価・給付基準制度」(いわゆる日本型参照価格制度)を提案したが、日本医師会や製薬業界の反発を受け、実現しなかったという経緯がある。
「参照価格制度」とは、決められた上限価格(参照価格)までは保険で支払われるが、上限を超えた部分は患者負担になる制度で、ドイツなどのヨーロッパ諸国で導入されている。
これを日本型に改良した「薬剤定価・給付基準制度」は、医薬品を一定の基準で、「薬剤A」「薬剤B」「薬剤C」などにグループ化し、そのグループごとに償還額(給付基準額)を決定する仕組み。グループ化の基準が「同一の効能」である場合、先発品と後発品が同じグループに存在し得ることなどから、後発品の使用が促進されやすいともいわれる。
5月27日の同部会で保険局医療課・磯部総一郎薬剤管理官は、後発品のある先発品の特例引き下げに関する質問に答える中で、次のように述べている。
「後発品を進めるための政策として、ヨーロッパで多くやっている方法は、後発品の方のマージンを大きくすること。『損か得か』というところは難しいが、少なくとも後発品を使っても損をしないというか、そういった部分で影響はないということが諸外国の政策を見てもやっているのが現実。現在、市場でもそのようなことが行われているということが読み取れるのではないか。後発品の値付けについてだが、『そもそも7掛けが適正か』とか、『薬価の算定をどうしたらいいのか』」ということを大上段から一度ぐらいは議論しないといけないと思っている」
同部会での遠藤会長の発言は以下の通り。
※ 意見交換に先立って行われた厚労省の説明は、こちらをご覧ください。