原発作業員の健康被害に備え補償策を ─ 虎の門病院
■ 「オールジャパンで支援体制を組みたい」 ─ 豊嶋准教授
[豊嶋崇徳・九州大学遺伝子・細胞療法部准教授]
それでは、私から4点ほど補足させていただきます。
まず1点は、先ほど谷口から「50名分の手続きが入った」ということを申し上げましたけれども、それは、そういう(国内未承認の)薬剤を使う場合であって、それを使わなくても、私たちは十分、通常の「G-CSF」(顆粒球コロニー刺激因子)という薬剤単独で採取できる技術と能力を持っておりますので、決して50人というわけではありません。
通常のやり方でやりますと、もっと多くの方にこういう医療を提供できると考えております。
2番目ですけれども、現在の作業の制限がございます。250ミリ・シーベルトという条件さえきちんと守って作業されておれば、こういうものを使う必要は全くないと考えております。
なぜこのような準備が必要かと申しますと、そのような作業の中で、予期しない突発的な事故、そういうことが起きた場合のためです。
ですから、これは非常に不謹慎な言い方になりますけれども、イメージとしては、皆さんが海外旅行に行かれるときに傷害保険に入る方もおられると思います。そのようなイメージで、恐らくはほとんどが使う必要はないものだろうと思います。
ですから、できればこれは、「採ったんだけども使う必要はなかった」という事態が、我々の最も望んでおるところです。
それから3点目ですけれども、この造血幹細胞の採取と言いますと......、イメージなんですけれども、成分献血というのがあります。血液センターに行って、血小板とか成分献血をされますけれども、全くあれと同じやり方です。
違いはどこかと言いますと、通常の成分献血というのは、1回、自分の血液の約2リットルぐらいを機械で処理して必要な部分だけを採ります。
だから1時間ぐらい掛かりますけれども、大体その5倍ぐらいの処理をするということで、最初が3時間ぐらい掛かります。そのようなイメージでとっていただきますと、決して特殊なことではないということがお分かりいただけると思います。
最後に4点目ですけれども、これは虎の門病院だけではなくて、オールジャパンで支援体制を組んでまいりたいと思っております。既に全国で80程度の病院が協力の意思を示してくださっています。
そして、これは「日本造血細胞移植学会」、それから「日本輸血・細胞治療学会」も全面的にサポートしていきたいと思っております。以上です。
[内田直之・虎の門病院血液内科医長]
ありがとうございました。発表は以上でございます。(以下略)
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【目次】
P2 → 「健康被害の脅威ある中で作業」 ─ 山口院長
P3 → 「生殖器の次に障害を受けるのが骨髄」 ─ 谷口部長
P4 → 「突飛なことをやるわけではない」 ─ 谷口部長
P5 → 「未承認薬は50人分を輸入している」 ─ 谷口部長
P6 → 「日本全国の血液内科の病院が一体となって」 ─ 谷口部長
P7 → 「オールジャパンで支援体制を組みたい」 ─ 豊嶋准教授