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安心と安全はあるか これがビジョンだ

35-2-1.JPG最近、日本の医療の将来が心配になるような出来事、多くないですか。
何とかしなければ、ということで、こんなものが厚生労働省から出ました。

監修/上 昌広 東京大学医科学研究所特任准教授

崩壊への対策

 こんなもの、の正式名称は『安心と希望の医療確保ビジョン』。国民が安心と希望を持てるような未来像を示しましたということですね。裏返すと、このままでは安心と希望を持てないということでもあります。
 産科や救急などで、需要に供給の追い付かない、いわゆる医療崩壊現象が見られるようになり、政府も昨年から様々な緊急対策を講じてきました。しかし何しろ「緊急」ですから、著しく足りない部分に当座の補給をしたに過ぎません。供給を大幅に増やすとか、医療の形を時代に合わせて再構築するとかいった抜本的対策が講じられていないので、しばらく経ったらまた同じ問題か、もっとヒドイ問題が起きるでしょう。
 明日は今日よりもきっと良い日だろうと思えるから安心も希望もあるのであって、そのうち綻びが出ると思っていたら、国民は不安で仕方ありません。
 そして、その不安は国民だけが持っているのではありません。そもそも、医療崩壊の大きな原因は、医療者たちが現場で先の見えない過酷な労働を続けているうちに、その心が折れてしまうことです。
 勤務医の激務は最近に始まったことではありませんが、以前は数年で必ず交代になるとか、後には良い職が待っているとか、気力を保てる仕掛けがありました。でも大学病院の医局による人事ローテーションが崩壊した現在、交代にしても良い職にしても保証がありません。いつまで耐えればよいのか分からないと、人間はどんどん気力を失うものです。
 だから、医療の明るい未来像を示すことは、長期的目標を定めるだけにとどまらず、短期的に供給が減るのを防ぐにも大きな意味があります。
 そこで、日本の医療は将来こうなるのですよ、と厚生労働省が舛添要一大臣の強い指導力の下、ビジョンを示したわけです。
 ただし後でまた述べますけれど、ビジョンは単なる「絵」であって、国民の納得と協力がない限り、それこそ絵に描いた何とかに過ぎません。ビジョンを吟味して、その結果、こんなの要らないと判断するのは勝手ですが、存在すら知らずに埋もれさせるのは勿体ないです。ということで、今回急きょお知らせすることにしました。

ビジョンを貫く2大原則
1、政府・厚生労働省の権限を拡大せず、現場・地域のイニシアチブを第一とする。

医療現場の医師・看護師等の医療従事者から、自ずから上がってきた多様な意見を集約して政策とするという、現場重視の方針を貫く。
2、改革努力を怠らない。
ビジョンを示した後も、無駄を省く努力を怠らない。例えば、規制撤廃により医療費を削減できる場合は、安全性を確保しつつ、積極的に規制撤廃を推進する。

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