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特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

認知症を知る6 介護に入る前に

86-2-1.jpg今号からは、介護者が心得ておくべきポイントを、順次ご紹介していきます。
監修/小阪憲司 メディカルケアコートクリニック院長

絶対に叱らないで

 前回まで見てきたように、認知症は、誰が発症してもおかしくありません。そして発症してしまったら、ほとんどの場合、医療に期待できることは、知的機能低下の進行を緩やかにしたり、行動・心理症状(BPSD)を緩和して社会との軋轢を減らすということが主体になります。
 言葉を換えると、医療に「お任せ」するだけでは問題が解決しないので、介護する人の考え方と行動が極めて重要ということです。
 ところが、本人のためを思って一生懸命努力する家族ほど、良い介護者になりづらく、問題をややこしくすることも多い、と言われます。
 なぜでしょう。

感情は元のまま

 それは、認知症の人を叱ってしまいがちだからです。
 なまじ発症する前の状態を知っているだけに、「こんな人ではないはず。何とか元の状態に戻ってほしい」と思い、また家族の中で何とかしなければという気持ちもあり、ついつい声や態度が荒々しくなってしまうのです。特に、男性が介護する場合には、不慣れなことも影響して暴力や虐待につながりやすく、要注意です。
 認知症では、知的機能は衰えても、感情は保たれていることが多いのです。つまり、何を叱られているのかは分からないけれど、叱られていることは分ります。自分にはどうにもならないことで、しかも愛する家族に叱られたら、どんな気持ちになるか分かりますよね?
 そして認知症の人に強く接すると、強い反応が返ってくる傾向があります。いわば鏡に映すように、介護する側の気持ちや状態が、認知症の人にそのまま現れるのです。
 さらに、叱られたエピソード自体は忘れてしまいますが、家族に叱られて悲しかったという感情は残ります。結果として家族を信頼できなくなり、妄想や行動異常が悪化するという悪循環に陥ってしまうのです。
 絶対に叱らない、これが鉄則です。
 では、どうやったら叱らず済ませることができるのか、考えていきましょう。

認知症では体も弱りがちです  認知機能だけが衰えると思われがちですが、実際には老化も早まることが知られています。その老化スピードは、認知症になっていない人の約3倍とも言われ、必然的に死亡率も上がります。対応を先送りしていると、孝行したい時に親はなし、となる可能性もあります。
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