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鼻くそ・鼻水・爪切り こんなに大変だなんて~記者が当事者になって気づいたこと③

こんな些細なことで、ここまで苦労させられるとは、妊娠中には考えてもいませんでした。
論説委員 熊田梨恵(社会福祉士)
 息子が生まれたての1カ月の頃、鼻くそが鼻の穴に詰まってフガフガと苦しそうにしていることがよくありました。呼吸する度にブーブーと豚のような音を立て、それがずっとです。

 どうにかしてやらないと、と嫌がる息子の顔を押さえて、ベビー用の小さな綿棒を鼻に入れて掃除します。

 鼻がとても小さいので、これがなかなか難しく、下手すると鼻くそをさらに押し込んでしまいますし、うまく引っ掻き出そうと強くこすると鼻腔内を傷つけてしまいます。沐浴後(お湯の蒸気で多少取れやすくなるので)に鼻くそと格闘するのが日課で、結構な負担でした。

 細心の注意を払って、うまく鼻くそを取れた時の達成感と言ったら、大きな仕事をやり終えた時に匹敵しました。嬉しさの余り、戦果の鼻くその写真を、仕事中の夫にメールしていたくらいです。「よく頑張ったね」という返事をくれていた夫には感謝しています。

 鼻くそごとき、と思われるかもしれませんけれど、初めての子を持つ母親にとっては真剣な悩みで一大事でした。鼻が詰まって息ができなくなって窒息したら......と、そこまで考えてしまったのでした。同じ月齢の子どもを持つママ友も同じように四苦八苦していて、メールで色々アドバイスをくれて助かりました。

 しかし2、3カ月もすると、鼻が大きくなって、呼吸が苦しそうということはなくなりましたし、取り除くのも簡単になりました。

文明利器に感謝

 1歳になった息子は、保育園へ通い出して、しょっちゅう風邪をもらってくるようになりました。特に鼻水が多くて、出ていない時の方が少なかったのでないか、と思います。

 鼻水をほったらかしていると、呼吸しづらそうで、ご飯も食べにくそう、寝苦しそうです。おまけに中耳炎になりやすくなるとも聞きました。

 1歳の息子が自分で鼻をかめるはずもなく、私がティッシュでふいても、奥の方の鼻水はほぼ取れません。そこでドラッグストアに売っていた鼻水吸い取り器を使うことにしました。チューブの先を子どもの鼻に入れ、大人が別のチューブから息を吸い込み、鼻水をボトルの中に落とすというタイプのものです。

 ところが、使ってみると、顔が真っ赤になるほど何度も息を吸い込んでも、鼻水をきちんと取れたのかどうか今一つ分からず、息の吸い過ぎで目の前がチカチカしました。

 しかも、使った後はほぼ9割の確率で、私自身が風邪をひいてしまいました。ウイルスをもらってしまうのでしょう。産後の肥立ちが悪く体力のなかった私は、抵抗力も弱く、やられやすかったのだと思います。その風邪がまた長引いて、結構大変なことになるのです。

 それに恐れをなして、ほったらかすことにしたら、ある日突然、息子の耳からドロリとした青緑色の液体が流れ出ました。その時の恐怖は、今でも覚えています。
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