逆鱗(ゲキリン)~不在のポスト~その4

投稿者: 真木魔愛 | 投稿日時: 2006年09月28日 22:35

どこまでが仕事で、どこからがお遊び(プライベート)なのかよくわからないまま、
それでも総務の仕事は前職の延長線上でできることもあり、私にとっては気持ちが楽な部分もありました。(院長から突然のお呼び出しがなければ、の話ですが)

何より総務課の若手スタッフは、本当に真面目でした。
休憩する場所さえなく、自家用車のなかで食事をとったり、休みがままならず、決して働きやすい環境とはいえない中、文句も言わず一生懸命でした。

男性事務員には『事務当直』がありました。救急車の受け入れから、電話応対、カルテ出し、入院の手配や手術のコール、会計、記録まで一睡もしないで、一晩の手当て僅か数千円です。
食事も出ません。代休もありません。
その上、呼び出したドクターからお叱りを受けたりもします。

それでもみな患者に対して誠意と笑顔を忘れず対応します。
そんな裏方のけなげな真摯な底力で、病院は成り立っているのだと頭が下がる思いでした。

こんな日常に慣れかけた、一ヶ月後の8月の終わりでした。

長野県で人間ドック学会が開催されて単位取得のために出席する院長に同伴することになっていた朝、院長室で運転手が青ざめていました。

すでに東京駅にいる院長から何度も何度も院長室に電話がはいって怒っている様子です。

もとを正せば、この件で総務課にいる私が院長と直接打ち合わせた事は一度もなく、
ミスターMさんから
「東京駅で明日の朝、院長と合流してください」
と言われていました。
院長と自分の二人分のチケットは、私が手配して持っていました。

電話の向こうの院長は、運転手に
「チケットを持って東京駅に至急来い!!」
と大声で怒鳴っています。
肝心のミスターMさんは朝の早い時間とあって、そして院長が出かけてしまった気安さからか、まだ病院に姿が見えません。
運転手は私から院長分のチケットを受け取って、自分のお金でJRの特急券を買って東京駅へ急ぎました。

一体何事が起こったのか、さっぱり見当もつきませんでした。

その後、再び院長は二度と私の電話に出ようとしませんでした。

うろたえる私に、ミスターMさんではなく、局長がにやにや笑いながら
「顔を見れば院長の気持ちも変わるさ。東京駅に行ってこい」
と言いました。

私は、東京駅に向かおうと最寄のJR駅に急ぎました。
駅で電車に乗ろうとしたとき、病院に出勤したミスターMさんから電話がありました。

「病院にもどってください。すぐに病院に帰ってきてください」

釈然としないまま、残暑厳しい日差しの中を、何としてもおさまりのつかない気分で歩きました。
バスやタクシーを使わずに歩きました。

何やってんだろうと、沸々と空しさがこみ上げました。

つづく

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コメント

総てを読ませて頂いてから是非コメントをさせて下さい。
バブルの崩壊の後、企業は人員に対して、買い手市場になっておりましたから、横暴が効きましたね。
従業員はたまったものでは有りません。
昔は四十になると分別が先に立つと申しました。また四十になったら自分の顔に責任を持てと言われたものですが、大人に成り切れない大人ほど始末の悪いものは有りませんね!!、、、、、。


> m,n.様

私立個人病院は企業とは程遠い世界だという印象は、今もっても強烈です。

まさに
「面(ツラ)をみれば履歴書など見なくてもわかる」

いつも人事面接で、院長が豪語した言葉!!

そうやって採用した人が、どんどん辞めていくのですけどネ・・

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