福島県立大野病院事件第七回公判(2)

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2007年09月01日 18:11

昨日に引き続いての報告。
弁護側の尋問が手術の話になったところから始めたい。


亡くなったAさんの受診のいきさつなどを確認した後
外来カルテを示し
弁護人  「避妊手術せず」との記載がありますね。
加藤医師 はい。
弁護人  これはどういうことですか。
加藤医師 もう一人子供がほしいとのことだったので、子宮温存を頭に入れておこうと思いました。
弁護人  子宮温存が必要だと。
加藤医師 もう一人産むには必要だなと。
弁護人  他のスタッフからもAさんの意向は聞きましたか。
加藤医師 はい、Y看護師から「Aさんが、もう一人ほしいと言っている」と聞きました。
弁護人  入院したのは妊娠何週でしたか。
加藤医師 妊娠34週(メモ不完全?)でした。
弁護人  入院の理由はなんですか。
加藤医師 切迫早産の危険があるためでした。
(入院カルテを示し、それに基づき尋問。
 が、私の座った席からは全く見えず。)
前回公判で田中憲一・新潟大教授が「癒着胎盤を疑ってもよい」と証言した12月3日のエコー写真を示し
弁護人  前回、田中証人が癒着を疑ってよいと証言しましたが、そう言えると思いますか。
加藤医師 いえ、言えないと思います。田中先生のおっしゃるのは診断のためということですが、血流が胎盤と離れて存在していますから。
弁護人  なぜMRIを撮らなかったのですか。
加藤医師 超音波で診断できていましたし、MRIは信頼性が低かったので。
弁護人  田中証人は、分娩直前にも超音波検査をして、全前置胎盤の診断をした方がよかったと証言しましたが、そうした方がよかったと思いますか。
加藤医師 いえ、必要ないと思います。全前置胎盤と診断していますし、出血や腹痛などの症状もないのに、わざわざ子宮口を刺激する必要はないと思います。田中先生は胎盤が動くからとおっしゃいましたが、この週数で何の症状もなく動くことはないので。
弁護人  臨月での経膣超音波は通常行うものですか。
加藤医師 むやみやたらにやると出血するので危険と教えられています。
(中略)
弁護人  Aさんとご家族に、手術について説明しましたか。
加藤医師 はい。
弁護人  いつしましたか。
加藤医師 12月14日に説明しました。
弁護人  どのように説明しましたか。
加藤医師 帝王切開手術の話と前置胎盤の危険性について、輸血の可能性や子宮摘出の可能性について話をしました。
弁護人  この図はその時に用いたものですか。
加藤医師 そうです。
弁護人  図はAさんの子宮を描いたものですか。
加藤医師 いえ、一般的な前置胎盤の図です。
弁護人  なぜAさんと異なる図を用いたのですか。
加藤医師 危険性を分かってもらうためです。
弁護人  輸血の可能性や子宮摘出の可能性を分かってもらうためですか。
加藤医師 そうです。
弁護人 なぜ輸血の可能性があるのですか。
加藤医師 前置胎盤ですので出血が多くなる場合があるためです。
弁護人 では子宮摘出の可能性があるのは、なぜですか。
加藤医師 やはり前置胎盤ですので出血が多くなる場合があるためです。


(中略)
弁護人 手術を行ったのはいつですか。
加藤医師 12月17日でした。
弁護人 その日、双葉厚生病院のK医師に電話しましたね。
加藤医師 はい。
弁護人 なぜ電話をしたのですか。
加藤医師 出血が多くなって子宮摘出の判断に迷う場合に意見を求めるためです。
弁護人 K医師に応援を求めるのは初めてですか。
加藤医師 はい、初めてです。
弁護人 具体的にどのように説明しましたか。
加藤医師 前回帝王切開で胎盤が後壁にあるタイプの全前置胎盤と説明しました。
弁護人 症例を説明して、すぐに応援を承諾してもらえましたか。
加藤医師 いえ。
弁護人 K医師から質問されましたか。
加藤医師 はい。
弁護人 どのような質問ですか。
加藤医師 前回帝王切開創に胎盤がかかってないかと尋ねられました。
弁護人 どう答えましたか。
加藤医師 一部かかっているかもしれないけれど大丈夫です、と答えました。
弁護人 胎盤が傷跡にかかっているかもしれないと思っていたのですか。
加藤医師 いえ、そうは思っていませんでした。
弁護人 ではなぜ、そのように伝えたのですか。
加藤医師 医局の先輩であるK医師に初めてお手伝いを依頼するのに、何でもない症例でお呼びするのは気がひけたからです。
弁護人 応援は了承してもらえたのですか。
加藤医師 了承はしていただけたのですが、どうしてもという時は呼んでくれ、と言われました。


弁護人 続いて手術の時について伺います。最初に何をしましたか。
加藤医師 通常のように切開して開腹しました。
弁護人 何センチくらい切開しましたか。
加藤医師 大体10センチくらいです。
弁護人 子宮を見ることができる状態にするために、その傷を広げますか。
加藤医師 はい、開創器で広げます。
弁護人 子宮全部が見えますか。
加藤医師 いや、一部しか見えません。
弁護人 見える形状と範囲はどの程度ですか。
加藤医師 楕円形でタテ10センチ、横11~12センチです。
弁護人 子宮表面の色はどうでしたか。
加藤医師 通常と同じピンク色でした。
弁護人 子宮表面に異常を認めましたか。
加藤医師 いえ。
弁護人 血管の隆起を見ましたか。
加藤医師 はい見ました。
弁護人 開創器で見える範囲に子宮を動かせば、見えない部分も見えるのでしょうか。
加藤医師 開創器の方を動かせば、ある程度は見えるようになります。
弁護人 血管の隆起があったのは、子宮のどのあたりですか。
加藤医師 子宮の下部です。
弁護人 前壁の下部ですか。
加藤医師 はい。
弁護人 どれくらいの範囲ですか。
加藤医師 4、5センチ四方です。
弁護人 血管の太さや数はどの程度でしたか。
加藤医師 2、3ミリで数本でした。
弁護人 この血管は異常所見でしたか。
加藤医師 いや異常所見ではありませんでした。
弁護人 なぜ異常ではないと判断したのですか。
加藤医師 前回帝王切開の場合や前置胎盤の症例であれば、このような細い血管が表面に見られるのはよくあることです。
弁護人 癒着胎盤の所見とは異なりますか。
加藤医師 全く明らかに違います。
弁護人 プローベで血管をなでたらどうなりましたか。
加藤医師 すぐに消えました。
弁護人 癒着胎盤の際に見える血管はどのようなものですか。
加藤医師 大小不整でゴツゴツしたような感じで色も違うし、押しても消えません。
弁護人 自身で癒着胎盤の症例を見たことがありますか。
加藤医師 はい、大学病院で診療したことがあるのと文献でも見ています。
弁護人 癒着胎盤とは様子が異なったのですね。
加藤医師 はい、様子が異なります。
弁護人 開腹後に超音波検査をしましたね。
加藤医師 はい。
弁護人 なぜですか。
加藤医師 胎盤の位置を確認して切開位置を決めるためと前壁に癒着がないことを確かめるためです。
弁護人 なぜ開腹後に行ったのですか。
加藤医師 経腹よりも精度が高いのです。
弁護人 前回帝王切開創は分かりましたか。
加藤医師 いえ、分かりませんでした。
弁護人 傷跡があるであろう範囲は分かりましたか。
加藤医師 あるであろう範囲は分かりました。
弁護人 その部分に胎盤は乗っていましたか。
加藤医師 いえ、ありませんでした。
弁護人 胎盤の位置はどうでしたか。
加藤医師 前壁の下の方にあるのが分かりました。
弁護人 前壁に癒着があるかどうかはどうですか。
加藤医師 まず癒着の可能性はないと診断しました。
弁護人 確認のうえ切開したのですね。
加藤医師 はい。
弁護人 子宮切開創の大きさはどの程度ですか。
加藤医師 Uの字に切開しました。はじめと終わりの距離がだいたい1センチくらいです。
(中略)
弁護人 赤ちゃんの体重は。
加藤医師 3000グラムでした。
弁護人 36週で3000グラムは大きいですか。
加藤医師 通常に比べると大きめです。
弁護人 羊水量はどうでしたか。
加藤医師 羊水量も多めでした。
弁護人 赤ちゃんの大きさと羊水の量とは医学的に見て比例する比例すると言えるのでしょうか。
加藤医師 はい。
弁護人 娩出を終了した時点での羊水の量はどのくらいでしたか。
加藤医師 娩出を終了した時点でカウント2000という数字がありましたので、その時は出血してなかったので、ほとんど羊水だと思います。
(中略)
弁護人 子宮収縮を促すために何かしましたか。
加藤医師 子宮収縮剤の入った注射器を看護師からもらって、子宮体部に筋肉注射しました。
弁護人 その後で何をしましたか。
加藤医師 子宮マッサージをしました。
弁護人 子宮の観察はお腹の中でしたのですか。
加藤医師 腹腔内から外へ引っ張り出して胎盤の位置を確認しました。
弁護人 どこにありましたか。
加藤医師 後壁全部と前壁のかなり下の方にありました。
弁護人 どのようにありましたか。
加藤医師 左右どちらに寄るでもなく全面にありました。
弁護人 前壁のかなり下の方というのは目で見たわけですか。
加藤医師 目で見たのと、親指と人差し指で子宮の壁を挟んで、胎盤のある厚い部分を確認しました。
弁護人 その結果どうでしたか。
加藤医師 胎盤は前壁の下の方にだけありました。
弁護人 前回帝王切開創の上にありましたか。
加藤医師 いえ、ありませんでした。
弁護人 その後、胎盤の摘出に移ったわけですね。
加藤医師 はい。
弁護人 どのように行いましたか。
加藤医師 さい帯を引っ張りました。
弁護人 田中証人は引っ張っちゃいけないと証言しましたが。
加藤医師 それは経膣分娩の話だと思います。帝王切開の場合、局部が見えているので問題ありません。
弁護人 どうなりましたか。
加藤医師 子宮の内側が持ち上がる感じになりました。
弁護人 胎盤は剥離しましたか。
加藤医師 いえ。
弁護人 なぜですか。
加藤医師 子宮の収縮がかなり悪いなと思い、子宮をマッサージしました。
弁護人 マッサージしたら収縮しましたか。
加藤医師 かなり収縮しました。
弁護人 胎盤は剥離しましたか。
加藤医師 胎盤は剥離しませんでした。
弁護人 子宮の内側はその時も持ち上がりましたか。
加藤医師 いえ。
弁護人 どうしましたか。
加藤医師 子宮の収縮がよくないので、後壁の上の方から用手剥離することにしました。
弁護人 帝王切開の際に用手剥離をするのは通常のことですか。
加藤医師 はい。
弁護人 児娩出後から用手剥離に移るまでどの程度の時間でしたか。
加藤医師 3~4分だと思います。
弁護人 手段は。
加藤医師 Aさんの左側に立っていて右利きなので、右手を手刀のように切開創に入れて手の甲側が子宮壁、手の平側が胎盤側に来るようにして、小刻みに動かしました。
弁護人 左手はどうしていましたか。
加藤医師 胎盤がはがれてきたので、その胎盤を持っていました。
弁護人 引っ張っていたのですか。
加藤医師 いや、引っ張ったのではなく、支える感じです。
弁護人 右手の指先は見えますか。
加藤医師 見えません。
弁護人 見えないのですか。
加藤医師 切開創から手を入れて胎盤も出てきている状態なので。
弁護人 子宮は腹腔の外に出したままですか。
加藤医師 出したままだと内腔が狭くて戻すと広がるので、お腹へ戻してやっていました。
弁護人 どの程度剥離できましたか。
加藤医師 通常の3分の2以上いった感じがしました。
弁護人 左手で持っている感触からですか。
加藤医師 そうです。重さと大きさからです。
弁護人 胎盤の写真があれば、どの程度か示せますか。
加藤医師 はい。
(胎盤の写真が示され、用手剥離で剥がれた部分をマーキングする)


弁護人 剥離がしづらくなりましたか。
加藤医師 はい。
弁護人 どのようにしましたか。
加藤医師 クーパーを併用するようにしました。
弁護人 なぜクーパーを用いたのですか。
加藤医師 クーパーを使うと剥離面が見えたので、クーパーが使えると感じました。しかも盲目的な用手剥離より子宮を傷つけずに済むのと、その前に用手剥離でかなりの部分を終えていて、もう少しで剥離を終えるところだったので使いました。
弁護人 クーパーだと剥離面が見えるのですね。
加藤医師 はい、見えているので安全です。
弁護人 もし帝王切開でなかったら、クーパーを使っていますか。
加藤医師 いえ使っていません。
弁護人 併用になったのは、どの辺りですか。
加藤医師 子宮後壁にくっついてる部分の下の方です。
弁護人 (メモなし)
加藤医師 たまたまですが、U字の切り込みだったので直線的に切っているよりは視界も開けていましたし、また出血の吸引も上手にしてくれていいたので見やすい状況でした。
弁護人 下の方に手を入れれば直接見えたのですね。
加藤医師 はい。
弁護人 クーパーだと子宮が傷つかないのは、なぜですか。
加藤医師 クーパー先端にピンポイントに力をかけられるからです。
弁護人 手よりクーパーの方が細かい作業に向いているということですか。
加藤医師 はい。
弁護人 なぜ用手とクーパーとを併用したのですか。
加藤医師 用手の方がスピードが速いので、剥離しづらくなったらクーパー、しやすくなったら手という感じで使い分けました。
弁護人 用手とクーパーとの違いは何ですか。
加藤医師 用手は速く剥離できますが見えないので大ざっぱです。クーパーはスピードは遅いけれど、剥離している場所が見えているので違いがあります。
弁護人 用手だと見えないのですか。
加藤医師 はい見えません。
弁護人 クーパーだと見えるのですか。
加藤医師 はい見えます。
弁護人 クーパーの方が、より丁寧という印象ですか。
加藤医師 はい、その通りです。
(中略)


弁護人 子宮壁と胎盤との間に索状物はありませんでしたか。
加藤医師 ありました。
弁護人 索状物とはどのようなものですか。
加藤医師 薄い膜のようなものです。
弁護人 この場合はどうしましたか。
加藤医師 クーパーの先端を閉じたまま削ぐように使いました。
弁護人 索状物が堅いようなときにはどうしましたか。
加藤医師 クーパーを開いて少し切れ込みを入れ、また先端を閉じて削ぐようにしました。
弁護人 索状物から出血はありましたか。
加藤医師 ありませんでした。
弁護人 索状物に血管は通っていましたか。
加藤医師 出血しませんでしたので通っていなかったと思います。
弁護人 このことを検察官に説明しましたか。
加藤医師 はい。
弁護人 何度も説明しましたか。
加藤医師 はい。
弁護人 なぜ、そのような調書が残っていないのですか。
加藤医師 筋張ったところを削ぐように剥がしたことは記載されていますが、それ以外の部分についてはクーパーを使ったこと自体が悪い感じで、あまり理解してもらえませんでした。
弁護人 用手とクーパーとを併用した範囲について先ほどの写真に範囲を書き込むことはできますか。
加藤医師 はい。


加藤医師が写真に書き入れる際
検察官が1人を除いて全員立ちあがって伸び上がるように
加藤医師の手元を見つめていた。
普段は1人か2人が見るだけなので異様な光景だった。


弁護人 前壁部分の胎盤はどうなりましたか。
加藤医師 左手で胎盤を持っていましたので、剥離面を見ようと左手を持ち上げたら、後壁下部から子宮口、前壁のあたりにあった部分がペロンと剥がれました。
弁護人 クーパーは使っていないのですね。
加藤医師 使っていません。用手剥離もしていません。


「ペロンと剥がれた」部分を写真に書き入れる。
それをまた1人を除いて全員の検事が立ちあがって見る。


弁護人 児の娩出完了から用手剥離に移るまで3~4分ですね。
加藤医師 はい。
弁護人 用手剥離の開始から胎盤剥離終了まで9~10分ですね。
加藤医師 はい。
弁護人 剥離の際、出血、血圧、脈拍は管理していましたね。
加藤医師 はい。
弁護人 児娩出直後の出血量はどれくらいでしたか。
加藤医師 羊水込みで2000ミリリットルでした。
弁護人 胎盤剥離完了直後の出血量は。
加藤医師 2555ミリリットルでした。
弁護人 この間の出血の様子はどうですか。
加藤医師 子宮壁からジワジワと出る感じでした。
弁護人 急に増えるようなことはありませんでしたか。
加藤医師 いえ、ありませんでした。
弁護人 クーパーを用いてから、急に増えたりはしませんでしたか。
加藤医師 いえ、ありませんでした。
弁護人 血圧は安定していましたか。
加藤医師 はい、安定していました。
弁護人 脈拍はいかがですか。
加藤医師 はい、安定していました。
弁護人 剥離しづらくなった時に中断しようとは考えませんでしたか。
加藤医師 いえ、出血、血圧、脈拍すべて安定していましたので。
弁護人 剥離を完了すると、どのような効果が見込まれましたか。
加藤医師 子宮の収縮が良好になると考えられました。
弁護人 娩出した胎盤は通常と同じものでしたか。
加藤医師 いえ、重くて大きい胎盤でした。
弁護人 他に通常と異なるところはありませんでしたか。
加藤医師 膜のような部分が胎盤の実質と実質とをつないでいました。
弁護人 胎盤実質のない部分が存在したのですね。
加藤医師 はい。
弁護人 医学上このような胎盤を何と呼びますか。
加藤医師 複胎盤様胎盤、分葉胎盤、膜様胎盤などと言います。
弁護人 カルテには何と記載しましたか。
加藤医師 複胎盤様胎盤と記載しました。


弁護人 次に出血状況について伺います。剥離した後どうなりましたか。
加藤医師 出血量が増えてきました。
弁護人 どのような処置をしましたか。
加藤医師 ガーゼで止血処置をしました。
弁護人 どのようにですか。
加藤医師 内腔にガーゼを入れて圧迫しました。
弁護人 どのように子宮に手をかけるのですか。
加藤医師 最初はガーゼの上から手で押しつけていたのですが、その後は外から覆うようにして圧迫しました。
弁護人 圧迫していた時間はどの程度ですか。
加藤医師 5~6分だと思います。
弁護人 圧迫の他に止血処置はしませんでしたか。
加藤医師 子宮収縮剤をもう一度筋注したり、ガーゼをいったん取り出して止血縫合したり3回くらい繰り返して、ペアンで血管を挟んだりもしました。それから血小板輸血製剤を看護師さんに頼んだりしました。
弁護人 マッサージはどうですか。
加藤医師 しています。
(中略)
弁護人 輸血は始まっていましたか。
加藤医師 はい。
弁護人 子宮摘出を決断したのはいつですか。
加藤医師 血圧が低下して、出血が羊水込み7000ミリリットルくらいのところで決断しました。
弁護人 それは何時頃のことですか。
加藤医師 たしか15時35分ごろだと思います。
弁護人 院長をはじめとする他の人から応援を呼んだらどうかという話は出ませんでしたか。
加藤医師 はい出ましたが、人手は足りていたし子宮摘出することなので断りました。
弁護人 止血について人手は足りていたのですか。
加藤医師 宮本先生と交代で子宮を圧迫していました。
弁護人 子宮摘出に関する人手はどうですか。
加藤医師 子宮摘出の場合、普段は第二助手が入るのですが、経験豊富なY看護師が加わってくれたので大丈夫でした。
弁護人 実際に子宮摘出に移ったのはいつのことですか。
加藤医師 頼んだ輸血が届いたときなので16時半ごろだと思います。
弁護人 Aさんはどのような状態でしたか。
加藤医師 低血圧状態で全身麻酔してもらってました。
弁護人 血圧の安定を待ちましたか。
加藤医師 はい。
弁護人 子宮摘出は何時のことですか。
加藤医師 詳しくは思い出せませんが、輸血が届いて血圧が上がり始めたところでした。
(麻酔記録を示す)
弁護人 この記録を見ると、それは何時頃のことになりますか。
加藤医師 16時35分ごろです。
弁護人 なぜ血圧の安定を待ったのですか。
加藤医師 血圧の低い状態で摘出をするのは余りに無謀で、下手すると摘出中に亡くなる危険がありました。
弁護人 摘出はスムーズに進みましたか。
加藤医師 はい。
弁護人 なぜでしょう。
加藤医師 胎盤を摘出していたことで術野が確保できていたからだと思います。
弁護人 (メモ漏れ)
加藤医師 下部に胎盤があると膨らんでしまって、子宮下部の周りにある血管の操作など狭くなってしまうからです。
弁護人 血管の操作とはどういうものですか。
加藤医師 子宮動脈の血流をケッサツ遮断する必要があります。
(中略)


弁護人 子宮の出血はどのような様子でしたか。
加藤医師 血液特有の粘りがなくサラサラした水のような感じでした。
弁護人 どのように思いましたか。
加藤医師 産科DICによるものと思いました。
弁護人 産科DICの診療経験はありますか。
加藤医師 はい。大学病院でも大野病院でも経験があります。
弁護人 合計すると何例ほど経験していますか。
加藤医師 10例ほどです。
弁護人 DICとAさんの容体と関係あると思いますか。
加藤医師 ええ、関係あると思います。
弁護人 産科DICを起こさなかったら、どうなったと思いますか。
加藤医師 助かったと思います。
弁護人 子宮摘出が完了したのは何時ごろですか。
加藤医師 1時間ほどかかりましたので17時35分ごろと思います。
弁護人 その後どうしましたか。
加藤医師 閉腹作業に移りました。
弁護人 Aさんの状態はいかがでしたか。
加藤医師 安定しているように見えました。
弁護人 その後で心室細動を起こすのですが、その時どう思いましたか。
加藤医師 かなり動揺しました。
弁護人 なぜですか。
加藤医師 それなりに順調に来ていたし、出血面もなかったので、安心していたからです。
弁護人 その後どうしましたか。
加藤医師 心臓マッサージをしたり薬剤投与をしたりしました。
弁護人 蘇生術を施したということですね。
加藤医師 はい。
弁護人 蘇生術はどの程度の時間やりましたか。
加藤医師 約1時間です。
弁護人 ご家族への説明のために手術室を出たのは何時ですか。
加藤医師 18時30分です。
弁護人 それまでにご家族に説明しようとは思いませんでしたか。
加藤医師 そのような余裕はありませんでしたから。
弁護人 最終的に死亡を確認したのは何時ですか。
加藤医師 19時1分です。
弁護人 終わります。


時刻は12時25分。ここで昼食休憩に入った。
午後からの検察側の反対尋問は稿を改める。
(つづく!!)

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