厚生労働記者クラブの真価が問われる

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2008年04月23日 13:07

産科医療のこれから』という毎日の医療記事を網羅したサイトがある。
運営しているのは1人の女性産婦人科医で
よくもまあ毎日これだけの情報を集められるものだと感心しているのだが
とにかく、ここだけで大体の医療ニュースは追いかけられるのでお勧めである。


と、今日も覗いてみたら、凄い話が出ていた。


詳しくは直接見てほしい。
かいつまんで言うと、昨日の衆院決算行政監視委員会分科会で
自民党の橋本岳議員が医療安全調査委員会(死因究明第三者機関)に関して
法務省と警察庁に質したようだ。
その中で、(以下引用)

○橋本議員  なるほど、いまそれぞれに必要な協力を行っていただけると御答弁があったわけですけれども、いろんな議論があるといわれた中に、そもそもこの第三次試案の紙というのは厚生労働省という名前で出されています。  それによって担当の法務省・警察庁とすり合わせをしているのか、厚労省が例えこういう案をたとえ作ったとしても、ま、今協力をするというお話はあったわけですけれど、具体的現実の場、個々のケースにおいては、もしかしたら警察もしくは司法の方はそれを踏み倒すというか、無視するのではないかといった懸念まで言われている現実がございます。  というわけで、あらためてどの程度まできちんと厚労省さんと両省それぞれすり合わせをされているのか、お伺いをさせていただきたい。  同時にそのすり合わせの中で、もし合意するような文書なりなんなりがあるのかないのかまず教えてください。

○法務省・大野刑事局長
 厚労省が公表した第三次試案の作成に当たりましては、本省も協議を受けております。具体的に申し上げますと、第三次試案作成の前提といたしまして厚労省が主催した「診療行為に関わる死因究明等のあり方に関する検討会」に担当の課長がオブザーバーとして参加しておりまして、必要なご説明などを行うなど協力いたしております。
 また第三次試案の内容につきましても、厚労省と法務省の担当者間で協議を行っております。
 ただいま文書というようなご指摘がありましたけれど、そのような文書を交わしたという事実はございません。

○警察庁・米田刑事局長
 警察庁の場合もまったく同じでございまして、「診療行為に関わる死因究明等のあり方に関する検討会」に担当課長がオブザーバーとして参加するなど、協議を進めてまいりました。
 特段、警察庁と厚労省との間で交わした文書はございません。

○橋本議員
 協議はされていたということで、それはいいことだと思いますが、文書という話について、ここに日経メディカルオンラインというウェブ上のサイトがございます。まぁいろんな医療関係などのニュースが出ているのですが、そちらの方の4月3日の記事にですね、事故調第三次試案のここが変わったということについてプレスの記事になっているわけですけれども、その記事の中で、これインターネットで会員登録すれば誰でも見られますが「厚労省によると、法務局や検察庁などからは、この案の公表について了解する旨の覚え書きを得ている」という一文が出ております。
 そうしますと、今の一文と比べてすこし食い違いがあるのではないかと思いますが、あらためてご確認をさせてください。

○法務省・大野刑事局長
 さきほど申し上げましたように、覚書のようなものを取り交わした事実はございません。

○警察庁・米田刑事局長
 警察庁もまったく同じでございまして、そういった文書を取り交わしたことはまったくございません。


というやりとりがあったそうだ。
日経メディカルオンラインの野村記者によると
「覚書云々」というのは厚生労働省の記者会見の中で出てきたものらしい。
あいにく私は記者クラブ員でなく会見が行われることすら知らなかったので
今現在のところ真偽の確かめようがないのだが
厚生労働省は会見で虚偽の説明をしたのか?
あるいは、それとも日経メディカルの勘違いか?


日本医師会の理事も
地方への説明行脚の際に「覚書がある」と触れ廻っていたらしいので
日経メディカルの記事が事実無根ということはあるまい。


虚偽の会見説明が行われたのだとすれば
記者クラブとして断固抗議するとともに関係者の処分を要求しなければならないはずだ。
さあて、どうするのかな。

<<前の記事:バグ    安心と希望のビジョン会議7(1):次の記事>>

トラックバック

どうやら、日本医師会は厚労省に騙されたようですかねー。 Yosyan先生の「新小児科医のつぶやき」の 『「合意」と「覚え書」続報 』や 僻地... 続きを読む