議連決議

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2008年06月11日 20:32

首相への問責決議で国会は大荒れだったようですが
そんな中でも粛々と
『医療現場の危機打開と再建をめざす議員連盟』会合があったそうです。
問責可決に伴う会期延長がなければ今週で国会閉会だったため
とりあえず今国会の最終会合でした。
(今後も続くそうです。念のため)


会合そのものは非公開で
その代わりに、鈴木寛・議連幹事長がブリーフィングするというので
行ってきました。


結論として、以下2項目+αの実現を図れとの決議をすることになったそうです。
文面は尾辻秀久会長一任。
1、「医学部定員の削減に取り組む」という閣議決定を見直し医学部定員を大幅に増加する
2、社会保障費の年間2200億円の削減方針を見直し、必要な医療予算を充分確保する
近日中に決議として文面をまとめ
できるだけ大勢の議員で連れ立って財務大臣や厚生労働大臣など
関係各大臣あてに申し入れを行う、とのこと。


これだけだと4月12日のシンポジウムの勢いからいって
当然だろうとの感想になると思うのですが
実際の会合ではもう少し精密な検討がなされていて

(以下検討内容)
現在の勤務医の週平均労働70.6時間は、正規分布していると仮定すると
7〜8割が過労死危険ラインを超えている計算になる。
これを欧米並みの平均週40時間まで抑えるには

・医学部定員を毎年4百人ずつ増やし
現在の8千人を10年後に1万2千人まで持って行く
2030年の患者需要ピークを超えた後は同じペースで
定員を現在の水準まで減らしていく
・中核病院に勤務するコメディカルの人数を
現在の48万人から10年後に96万人まで倍増する。
・県立柏原病院の小児科を守る会のように地域住民が自覚を持って
不要不急の受診を抑制する。

の3拍子揃う必要がある。

診療従事医師数は現在の26.4万人が30.2万人になって
約2割増えることになる。
そのためにかかる公費は1人平均年788万円で
788×4000(人)×6(学年)で、最大年1900億円程度の増。
最初の1年は31億円増(ただし、これは文部科学予算)である。


2200億円は
5年間に公費分自然増が1兆1千億円あるとの予測に基づいて
弾き出された数字。
実際の数字は9千億円程度に収まっているのだから
そもそも削りすぎだ
(以上検討内容)


さて、皆さん、いかがお考えでしょうか。
医学部定員の話も
2200億円削減の話も過去に閣議決定されている事項なので
首相の決断がないと動かないとのこと。
(あんな柳に風でも問責決議されても首相は偉いんですね)


まずは来週ヤマ場を迎える2008年『骨太の方針』の内容を巡って
財務省と議連とのガチンコ勝負だそうです。
ただし鈴木寛議員曰く
「2兆5千億円のガソリン税が一般財源化するのだから財源はある」とのこと。


もし総理に声を届ける手段をお持ちの方いらしたら
「決断すれば支持率が上がりますよ」と囁いてください。
そうでない方は議連参加の地元国会議員たちにエールを!

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コメント

初めてコメントさせていただきます。目指していく方向性に関しては概ね賛同します。
一点だけ、医学部の学生にかかる公費に関しましてコメントさせてください。

医学部の学生にかかる公費が年間に788万円になるというのは根本的に間違っていると思います。
自分自身、医学部の学生も経験しましたし、某私立大学で医学部の学生指導にも携わりました。彼らにやっていることは簡単な講義と殆ど見学だけの実習であり、たいしたお金はかかっていません。
私もごく最近分かった話ですが、医学部の学生にお金がかかると計算されているのは、大学病院の赤字や医学的研究にかかる経費を医学部の学生からの収入で賄おうとしているからです。
大学病院の赤字は患者さんのためのお金であり、研究にかかる経費は医学の発展のためのお金です。これらを医学部学生のためのお金と称するのは元来おかしな話だと思います。
さらに言えば、病院の赤字も研究経費も学生数に関わらずほぼ一定ですので、学生数が増えれば一人当たりの負担は減る計算です。つまり、学生の数を増やしても負担は殆ど増えないか、私立なら授業料が増える分負担は減るくらいになるかと思います。

医学部の学生を教育するのにお金がかかるというのは、医師数を抑制するために、政府による確信犯的な詭弁以外の何物でもないと思います。


診療従事医師数は現在の26.4万人が30.2万人になって
約2割増えることになる。

医学部は六年で卒業だから
初期研修医もあわせて
400+800+1200+1600=4000
少しは使える??医師だけなら
400+800=1200
約二割増えるというのはほとんど自然増分のことじゃない?

いい加減医療崩壊を医学部定員ばかりに結びつけるのはやめたら?

本当に必要なのはまったくちがうことでしょうが。

 海外在住小児科医 先生、こんにちは。

 ご指摘の通りですね。

 自分も単科医科大学の財務諸表をもとに試算してみましたが、医学部学生の6年分のコストは、大学病院の医師・看護師の給与まで全て算入して約2000万円、順当な金額のみならおそらく6年間で1000万円を超えません。

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