薬害肝炎検討会6

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2008年10月27日 19:06

第6回薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会
が、午後3時から厚労省で開かれた。
本日は訳あって前半のみの傍聴。
でも大臣がいたのも前半の30分だけだったから
前半だけサラっとご報告しても、それなりに意味あるだろう。
委員名簿は、こちら


舛添
「引き続きよろしくお願いしたい。確実に前へ進めていかなければならない話なので、研究班の方からご報告をいただいいた後で、忌憚のないご意見を伺いたい」


寺野座長
「大臣が30分で中座されるそうなので、今のうちに特に言っておきたいことがあれば」


舛添
「どうやらしばらく選挙はなさそうだから、まだしばらくは私が大臣をやる」


間宮
「資料の届くのが遅い。今回も先週の金曜日の夕方だった。それから全部読み込むだけでも大変だ。もう少し早くならないか」


堀内
「資料は我々班会議の報告が多いのだが、この委員会の議論を受けてギリギリの時間でやっているので1週間も2週間も前に出すのは難しい。できれば早く読んでいただけたら」


大熊
「中座するので最初に聴いておきたい。研究班の体制について。堀内先生が主任研究者というのは分かるのだが、他の3人の先生はどういう経緯で何を研究するのか。それから4500万円とかなりの金額なので、それをどのように使うのか。研究の中で明らかにしてほしいことは3つあって、まずは医師たちが添付文章以上に使ってしまったのはなぜか、そのように仕向けたメーカーはなぜそんなことをしたのか、厚生省は再三注意をしていたはずなのにそれが守られなかったのはなぜか。その3つの観点から見ると、ここに名前の出ている方だけでは不十分でないか。社会学的な背景のある人、あるいはインタビューに長けた人を入れるべきでないか、また薬害の当事者ならではの視点もあると思うので、そういう方々の視点を採りいれたらどうか。何しろ4500万円もあるのだから」


堀内
「後で説明する予定だったが、ご質問があったので説明してしまってよろしいか。班は、この委員会のご意見をいただきながら検討をして提案をし、またそれに対するご意見をいただくという形で進めていく。その領域・作業量が膨大なものになるため、野村総研へ委託するということについては既にご理解をいただいている。研究者が4人というのはたしかに非常に少ない。ただ4500万円も多いと言えば多いし少ないと言えば少ない。委託金がかかるというのと、小回りが利いて連携が取れる研究をしたいということを考えて少人数に絞った。色々な分野の専門家を入れると、たくさんの班員が必要になる。必要に応じて研究協力者を随時依頼するということでクリアできないかと考えている。

分担研究者の担当は、磯辺先生が伊勢先生の代わりで法律・生命倫理について行政法の専門家として研究する。髙木先生は、医療の肝臓代謝疾患の専門家なので医学的観点から検討する。津谷先生は薬剤疫学の専門家。社会学的観点や患者の立場で、というのも分かるが、研究費の使い方を説明すると実は1人あたり100万円しかない。その他に謝金や交通費、会議を多くやるので、に100万円、残りの3900万円(あれ?100万円計算合わないが。。。)を野村総研への委託費に充てる。委託費がそんなにかかるのは、作業量が膨大なため、そのために人件費がかかるから。我々班員が使えるのは、たかがた100万円に過ぎない。

利益相反についても話しておくと、私は三菱ウェルファーマから02年に奨学金を受けている。磯辺先生はなし。髙木先生は06年にやはり三菱ウェルファーマから奨学金を受けている。津谷先生は肩書が特任になっているが、それは東和薬品、後発品メーカーの寄付講座だから。三菱ウェルファーマから2人がお金を受けているが、それとは関係なく客観的にやりましょうということで意思確認はしている」


大熊
「今の調査は、過去にあったことを取りまとめているだけ。過去のものをいかに整理したとしても、今まで分かっていなかったこと明らかにするわけにいかないだろう。何しろ4500万円だ。私などは300万円しかもらったことがない。真相究明とか行政的なことを検討するには、このような検討では不十分。薬害被害者の方々がどう思っているのかも聞きたい」


坂田
「被害者の声がなぜ反映されないのか。原告団の推薦する人物を入れてほしい。4500万円といえば、熊本なら豪邸が建つ金額だ」


花井
「堀内先生の話を聞いて、ある意味得心した。私もエイズの時に原因究明作業に携わったけれど、存在論だけではなく意味論的解析が必要だった。そのようなツールは今までの研究で提案されていて、社会学、哲学のバックグラウンドを持った方々が提案していた。髙木先生の分担分野だが、フィブリン糊を使って当たり前の意味世界はどのように形成されたのか、その際に患者はいったいどのような説明をされていたのかといったこと、それがどのような要因によって形成されたのか、概念ツールに長けた研究者をうまく入れ込めれば見えてくるものもあるはず。客観的事実からだけスタートするとうまくいかない。エイズで12年やって分かったことだ。今の研究者の構成は存在論に偏っている。もう1人位、意味論のできる人を入れるべきでないかと思う。ただ100万円と聞いて、それは仕方ないなとも思った。そういった人材を野村総研が輩出してくれるのでなければ高いぞと言いたい。平場で言うような話じゃないかもしれないが」


堀内
「気持はよく分かる。しかし班を立ち上げる時にできる限り客観的にしたいと言ったし、客観的とはどういうことかという話もした。できるだけサイエンティフィックにやりたい。なぜ薬害が起きたのかを明確にして再発防止をするというのが一義的な目標になる。患者の気持ちやどういう状態に置かれていたかを検討項目に入れるべきだという話に関してはその通りだが、どんどん項目を入れるとお金が足りなくなる。野村総研にも社内ルールがあり、その枠内でやりくりするしかない。これでも足りないという話を伺っているので、その辺はご理解いただければ」



「これは科学的事実ではなく事件として起きた。なぜの社会的部分を知りたい。薬害エイズやクロロキンで薬害に関して調査する指針は出ている。純粋なサイエンティフィックな部分だけでなく社会性の所をやっていかないと。具体的に、なぜこのような使われ方をしたのかインタビューしてもらいたい」


堀内
「違う薬害を細々と突っ込んでいくと時間が足りなくなる。関連のことはもちろんやる」



「薬事法56条に書かれていることを前提にすれば、どういうことを見なければいけないか自明のはずだ」


堀内
「そういうことをやると言っている」



「それから、これは厚生労働省。輸入製材がどのような数字か出してほしい」


堀内
「どう変わったかは出していく」


舛添
「そろそろ失礼しないといけない。入口だが大事な話。研究費が高いか安いか別にして限られている中でご苦労をおかけする。花井委員、坂田委員、泉委員の言うような社会論的なこと大事だなと思う。私も好きなので勉強したりすると、産婦人科医たちが当時はフィブリン糊を使うのは当たり前で、こんないいものをなぜ使わないんだという感じでいる。なぜ、そうなっちゃったのかといった辺りは必要に応じて研究協力者でヒアリングしてもらうとか、省内にある資料については出して協力していきたい」


ということで大臣退席。その後、流れが前後する形で事務局が本日の資料を説明。次の会合の時間が迫ってきたので私も退席。この後どうなったのかは、たぶんCBニュースが書いてくれるでしょう。

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