医療再生議連第7回会合

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2008年12月21日 11:55

実は、先週木曜の周産期・救急懇談会の2時間前に、こんなのもあった。
消防庁と文部科学省から説明を受けるということで
しかし検討会などをリアルタイムで傍聴している身からすると目新しい情報は特になく
(検討会だって、現場の状況からはズレていると言われることが多いのに)
国権の最高機関といいながら
現場からきちんと情報を届けないと
政策決定に必要な情報は得られないんでないかと感じた。


ただし最高機関だけに、やりとりはあけすけで面白い。
一部抜粋でお届けする。


消防庁
「起きた案件で関係者に悪意があったわけではない。今は医療機関が叩かれているけれど、搬送できない間患者さんがどこにいるかといえば救急車の中、つまり消防機関の管理下であり、そのことに現場では非常に危機感を持っている。医療機関との間の信頼関係・関係性を壊さないようにギリギリの状況でやっているので、むしろルールなんで仕方ないと皆さんに思ってもらえるようなものができれば」


自民・清水
「なぜ信頼関係が崩れるかと言ったら、以前、救急隊がとにかく手放したいからというので『軽い』と言って、じゃあと受けたら大変に重くて往生したというような経験が医療機関の側にたくさんある。だから信頼関係をきちんとするには、救急隊の方で患者の状況をきちんと伝えることが必要だ。ただし、その代わりに最後の砦として重い患者を受ける所は確保して、そこを開けるために周囲の医療機関が協力することも必要。そこを調整する国の責任を放棄しちゃダメだ」


民主・仙谷
「都道府県は、医療計画をつくるけれど、あとは責任も権限もない構造になっている。裁量が大きすぎるんでないか。やらせるなら都道府県にも覚悟を決めさせないと」


自民・関
「知りあいの奥さんが先日亡くなった。神戸なんだが、心筋梗塞で救急車で5ヵ所目にポートアイランドの病院へ行ったけれどダメだった。しかし聞けば、ほかの4ヵ所の病院が心筋梗塞に対応できないのは医療者なら皆知っているという話だった。こういうの実態として、どうなっているのか」


消防庁
「正直、自治体によって非常に差がある。メディカルコントロール協議会という事後検証の仕組みがあるところでは質が高い搬送が行われていて、運ぶ段階から治療は始まっているという捉え方すらされている。それと別に、救急隊に鑑別能力があったとして、それを生かすだけの能力が医療機関の側にあるのかという問題もある」

(略)

国民新・自見
「都道府県別の医療計画では病床規制をやっていて、それは憲法22条違反になるんじゃないか、訴えられたら負けるんじゃないか、と厚生省ではだいぶ心配したが医療者は従順で訴えるなんて思いもつかなかったのか、そのままになった。今でもその根本は解消されてないんでないか」


文部科学省(厚労省からの出向)
「医療計画の根拠は医療法にある」


国民新・自見
「憲法違反という訴えはないか」


尾辻
「徳州会がいくつかしてたはず」


文部科学省
「判例としては、認められている」


尾辻
「開業は自由、保険は裁量という整理だったと思う」


仙谷
「医療計画をつくっているのに、県がうまくコーディネートするにも根拠がない、お金もない。イザとなったら手を引ける立場なので問題をややこしくしている」


文部科学省
「その通りで、ただし頑張っているところは、かなり前進している。手前味噌だが私の出向していた広島県などはかなりうまくいっていると思う」


(略)
文部科学省から医学部定員増の説明を受けて
名前不明
「増やしたはいいが受ける人はいるのか。それから大学への支援が不十分との話も聞く」


文部科学省
「受験業界の話を聞くと今は医学部ブームらしいので恐らく志願者は減らないし、むしろ増えるのでないか。支援に関しては、たしかに医療の高度化に伴って教えるためには人手が必要だとの指摘も受けている。その人的対応も必要かとは思うが一義的には運営交付金や私学助成金の上積みをすることになる。そもそも医学部は他の学部に比べると圧倒的に教官数が多い。720人あたり140人。今回の定員増は1学年120人以内だから、その範囲内で教官定員が増えることはない。本質的には、医学教育にその人数で本当に十分なのかという本質的議論は必要で、それは今後の課題になるだろう」


自見
「医学部定員を削減した時、私立は経営に響いてくるから嫌がって、国公立がガバッと減らした。今回も私立は随分と定員を多くしたのに国公立はあんまり増やしてない。これは要するに教育にはお金がかかるのに大蔵省(ママ)が金を出さないからだ。別枠で金を出せと言ってくるべきだ。応援してやるよ。医学部の教官定数が多いのは、特別会計見たら分かるように、診療報酬が入っているからだ。稼いでいる分多いだけだ。金を出さずに人をつくれといっても無理だ。国立大は医学部の定員を増やしたら法学部や工学部の定員を減らされると分かっているから何も言ってこない」


文部科学省
「たしかにもう少しお金が回ってきてもよいのでないかとは思う。高等教育費はOECDの中でビリなので。ただ国公立の今回の定員増が少ないのは、昨年、一昨年と既に緊急対策で増やしたところもあるから」


自見
「その時にお金は増えたか」


文部科学省
「おっしゃる通り、微々たるものだった」


自見
「粗製濫造じゃないか。教官に負担がかかるばかりで」


文部科学省
「学生の定員を減らした時に教官の数を減らしてないだろうと言われてしまって」


自見
「高利貸しの論理だ。。内部でケンカさせて辻褄合わせをさせるのが財務省の昔からの手口だ」


文部科学省
「よくご存知で」


自見
「別枠でふんだくりにいこう。せっかく超党派の議連なんだから」


文部科学省
「来年度以降も入学定員は増やしていく方向なので、いずれ教官の配置基準を超えることもあるだろう」


自見
「どうせ財務省が事前にチェックするだろう」


(略)
仙谷
「課題は山積しているが、要するにお金を渋っているからこうなった。まだ必要な資源には全然足りていないので問題解決に努めると共に、その資源投入が産業育成としても正しいのだというように産業として育つように頑張って参りたい」
(了)

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