帽子を被るなら、白?黒?

投稿者: | 投稿日時: 2009年07月27日 16:47

前回、日焼け止め化粧品について調べた際、そうした乳液やローションを塗っただけではちょっと効果のほどが心配、ということになりました。体質によっても効果は異なるし、実験と実際の使用では塗る厚さも異なるし、だいいち汗で落ちたりして何度も塗りなおすのは大変、という理由からです。そこで今回は、UVカットをうたった帽子や日傘について考えてみたいと思います。

まず、日傘や帽子など、布製品の場合、どのようにUVカット加工を施すのでしょうか。


基本的な考え方としては、前回見た紫外線散乱と紫外線吸収とでいうと、多くは後者の紫外線を何らかの方法で吸収する方法をとっているようです。もちろん、紫外線散乱タイプもあり、その場合、もともとシルバーの反射素材や白など紫外線を反射するような色の生地を使うのが一般的です。または酸化チタンなど白い色をした顔料を太陽に面した側の布地に吹けるやり方も考えられますが、それだと色にも制限がでてしまいますよね。


さらに紫外線を吸収させるやり方にも2通りあるようです。ひとつは紫外線を吸収する効果のある物質を、最初から繊維に練り込む方法。もうひとつは、後から衣料品などの製品や生地に吹き付けるなどして定着させる方法です。ただし、それぞれ長所・短所もあるようです。繊維に練り込む方法の場合、洗濯しても繊維そのものの紫外線吸収効果は比較的長く持続するようですが、その繊維で生地や小物などの製品を作った場合に、生地が薄かったり目が粗かったりしたときには、紫外線吸収率が大きく落ちることになるのだとか。一方、後から吹き付けるなどして付着させる方法の場合は、新品状態での紫外線吸収率は大きいものの、ものによっては繰り返しの洗濯により効果が損なわれていく可能性もあるようです。(それでも天然素材の場合はどうしたって吹き付ける方法がとられているはずですよね。)


なお、新品状態での紫外線吸収についての性能評価基準としては、大きく2つあるようです。アパレル製品等品質性能対策協議会によるガイドラインに沿ってA級~C級までランク付けされるものと、SPFを測定して得られる数値で評価を行うISO提案法と呼ばれるもののです。製品によってはそういった表示によって性能が保証されているものもあるので、目安にしてみてください。


ただ、UVカット加工が施されているのは、日傘や帽子のほか、多くは夏物衣料です。日傘や帽子も場合によっては雨風にさらされますし、夏物衣料の場合は薄手でしかも頻繁に洗濯するものです。となると、先にも少し触れましたが、洗濯によるUVカット加工への影響がやはり気になるところです。これについては青森県消費生活センターで実験が行われていました。このときはUVカット加工の施された帽子と手袋が対象となりました。それによると、繰り返しの洗濯による効果減少は特に認められなかったとのことです(ただ、この点は加工法や品質による差もありえるようです)。また、UVカット加工品に関しては、色による吸収率の差は見られないとのことでした。


さて一方、UVカット加工が施されていない普通の帽子や日傘であっても、一応はその下に日陰を提供してくれる(太陽光をさえぎってくれる)以上、それなりの紫外線カット効果は期待できます。その場合、色はやはり注目すべき項目となりえます。


端的に言えば、紫外線吸収効果が高いのは黒です。対する白は、先述のとおり光を反射する色ではありますが、布製品などでは特に光の透過性も高くなります。これについては中央大学が実験を行っています。(なお、色と光の吸収・反射の基本的仕組みについてはこちらのサイトがわかりやすいです。)ですから、帽子や日傘はUVカット効果うたっているいないにかかわらず、黒が紫外線吸収には効果的ということになります。しかし問題は、紫外線を吸収すると同時に、熱も集めてしまうということ。ですから一番いいのは光に当たる外側が白や反射素材で、内側が黒、という張り合わせの布を使った製品かもしれませんね。たまに見かけます。ただ、デザイン性も兼ね備えているのがなかなか少ないんですが・・・。


というわけで、信用できそうなUVカット加工の場合は、白い製品でもよし。そうでない場合は、暑さとのバランスで色を選ぶと良いようです。帽子は頭にほぼ接していますし熱がこもりやすいですら、色の薄いもののほうが快適かもしれないですね。ちなみにツバは広いほうがその分広い範囲を太陽光から守ってくれます。その点、昔ながらの麦わら帽子は、通気性も高く、暑さから身を守るにはかなり合理的なのかもしれません。ただし、スカスカでは紫外線防止効果はちょっと怪しいですけれど・・・。そして他方、日傘の場合は頭に接してもいませんし、風も通しますから、UVカットでない場合は黒いほうがおすすめです。(そういう意味では、UVカット製品であればいろいろ気にせず自由に色が選べていいですね。)そしていずれも、目が詰まった布地を使用したもののほうが紫外線防止効果が高いということは、覚えておいてもよいですよね。


このところ梅雨明けしたとは思えない不順な天候が日本各地で続いています(水害にあわれている方も多く、本当に大変な状況です。以前も少しだけ触れましたが、やはり地球温暖化の影響でしょうか・・・。)が、8月に入れば全国でカンカン照りの夏がやってくることは間違いなさそうです。今日・明日の紫外線情報は、気象庁のホームページから簡単に得られます。http://www.jma.go.jp/jp/uv/今のうちに準備を整えて、日々の紫外線をチェックしながら、夏の強い日差しを乗り切りましょう!

<<前の記事:「E・Fファイル統合」の裏に見えるもの ─ 中医協・DPC評価分科会 コメント欄    医療に2兆円 民主党マニフェスト コメント欄:次の記事>>