「医療崩壊は基本法成立へのエネルギーになる」 ─ 医療基本法シンポ コメント欄

投稿者: 新井裕充 | 投稿日時: 2009年10月22日 23:28

 「医療崩壊とか救急・産科の(受け入れ困難)問題とかで多くの人が『医療に問題がある』と認識している。これは裏返せば、(医療)基本法成立へのエネルギーになる」─。医師の計画配置や患者の義務などを盛り込んだ「医療基本法」の成立を目指すシンポジウムで、長妻昭厚生労働相の政策ブレーンとされる埴岡健一氏(日本医療政策機構理事)が声高らかに語った。(新井裕充)

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法律とは
法律とは人間性で解決できない問題に対する扱いを決めたもの。人間性で解決できる所には法律はいらない。これは国際的に法律に関する常識です。医療が人間性で解決できるのなら法律はいらない。
法律は本来十分長い期間機能することを前提として作るものです。数年内の問題を解決するために法律を作るのは、法律を施行するまでの周知期間を考えれば不合理です。これぐらいの事は官たるものの常識でしょう。
全く無策に進んできた少子高齢化問題のつけを払わなければならない今後30年、どう乗り切るかに法律では対応できません。誰も明確な答えは出せないから、衆知を総動員して臨機応変に立ち向かわねばならない事態だということを理解してほしいと思います。

基本法で医師を計画配置しようというのはわかったのですが、その他には何をしたいのかよくわかりません。

医師基本法の本質が計画配置しかないのなら、名前をもう少しわかりやすく「医師計画配置法案」に変えた方がいいと思います。

ただ、「計画配置法案」でも具体性が足りません。読売新聞は後期研修医の計画配置を主張しているようですが、あまりにも現実離れした発想です。「研修医」を「実戦力として」計画配置するのか、「研修医」として計画配置するのか。卒後専門教育の観点から考えれば前者も後者も論外ですが、「教育の必要のない研修医」であれば可能性はありますね。それを計画配置というかどうかはわかりませんが。

医療を公共性のあるものとして認識し、救急医療について医療行為の緊急避難的な法的な免責を与えるぐらいのことをしないから、救急医療が崩壊しつつあるということもわからない、僻地医療の公共性についての認識がなく、期待権だとかなんだとか裁判を起こす風潮についても理解できないような人間が、何をもって基本法というものをつくるのだろうか?

中国の「史記」を読むと、古代中国の皇帝や官僚は法律を厳しくすれば国はうまく治まると考え、どんどん厳しくしていきましたが、皮肉にも厳しくすればするほど国は荒れていき、最終的には滅びました。既に2000年以上も前に法律で縛ることの限界は分かっていたということだと思います。それを、現代の日本でやろうとすることに、絶句します。

医療資源は公共財である、という概念には同意します。
しかし、「医療は医師や患者の勝手になるものではない」というのは、不思議なご意見。では誰が勝手にしてよいのですか?まさか官僚や政治家?
社会が医師というプロフェッショナルを必要としているのです。医師は医療資源の核であり医療を実施する主体として社会がその権限を定める存在です。
そのために医師法があり、日本では医師法で応召義務を定めており、異状死体届け出義務のあの悪名高い21条も医師法です。
医師基本法なんて姑息なことをしないで、堂々と医師法を改正すればよいではありませんか。医師を強制配置するという重要なことは、医師法改正をすべきであり、あたかも大したことではないかのようなドサクサ紛れの新法制定には絶対反対です。
医師会は、正々堂々と受けて立って、国民の信を問うべきです。国民は、本当に、医師の強制配置を望んでいるのでしょうか?
医師は基本的に職人であり、「人助け」のために義をもってこの職業を選び、良心的に精進している人がほとんどでしょう。そうでない5%(どの世界にも箸にも棒にもかからない5%は存在し、それはその業界の責任ではありません)を標的にして医師を貶め続けてきたことが今日の日本の医療崩壊を招いたのであり、世界中で、これほど経済的動機なしに安い報酬で専門技術を提供しつづけて短期間に健康寿命世界一を達成した医師集団はなかったのに、なだれをうって開業させ医療崩壊に至ったのは何が悪かったのか、メディアもプロなら、分析したらいかがでしょうか。このうえ強制配置と言われて、頭脳集団である医師たちが、黙って従うとでも??
職人の矜持を尊重しない愚。

急ぎ追加しますが、専門家集団として、その箸にも棒にもかからない5%をどうするかという自浄作用が足りなかった(今でも足りない)ことは認めます。医師会は、目に余る非標準的治療や患者からの苦情に対して指導力を発揮すべき義務があり、そうでなければ国民からの信頼に応えられない、ということを肝に銘じるべきだと思います。

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