ポストポリオ症候群 出るのか出ないのか。出たらどうするのか。

投稿者: 堀米香奈子 | 投稿日時: 2010年11月11日 13:03

前回こちらのブログで、我が家の長男が生後11ヶ月のときにポリオの予防接種(生ワクチン)からポリオに感染していた可能性があることから、フジテレビ「とくダネ!」の取材を受けたことを書かせていただきました。今日はその感想諸々についてです。

まず放送を振り返ると、枠としては20分ほど、ポリオ予防接種禍についてだけでなく、前半ではヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンについて、導入の遅れや定期接種化を求める声を取り上げ、全体として日本のワクチン行政が他の先進諸国に比べて20年は遅れている点を糾弾する内容でした。人々の関心を惹きつけるべくさまざまな映像を駆使しつつも、必要なことがきっちり、テンポよくまとまっていて、概ね納得のいく特集となっていました。私が取材時に受けた真摯で誠実な印象が変わることはありませんでした。


ポリオの予防接種について取り上げた後半部分に関しては、ワクチンがもとでポリオに感染し、今もポストポリオに悩まされている金沢の歯科医の方や、ポリオの会の小山さんのコメント、さらには1960代に国内で流行した際の映像や、1980年代に生ワクチン導入を求めてお母さんたちが蜂起した様子を再現した映画なども交えつつ、生ワクチンの抱える矛盾について指摘がありました。とくに、歯科医の先生の「国は公費で病気を作っている」旨の発言は、実際の症状の映像とあわせて、視聴者の皆さんにも印象深かったのではと思います。私も取材の中では行政の長年の不作為・怠慢について不信感と疑問を、またポストポリオ症候群への不安をお話しました。(ただ、放送で使われたのは、長男の様子を写した映像と、予防接種禍とおぼしき症状が出た当時のことについて喋っているシーンだけでしたけれどね。)


いずれにしても、この放送をご覧になった方の多く、特にこれから出産を控えている方やまだ生ワクチンを接種していない乳児をお持ちのお母さん方には、生ワクチンについて、ちょっと立ち止まって再考していただく良い機会となったことだろうと思います。少なくとも、「行政が実施している集団接種だから、とにかく受けなきゃ」と何の考えもなく盲目的に接種させるようなことはなくなったのではないかと・・・。そこに微力ながら貢献できたことはよかったと思っています。


ちなみに、私や主人は放送を見たという親戚や友人・知人からさまざまなメッセージをいただきました。(中には偶然見たという人も多く、テレビ、それもキー局のこの時間帯の番組の影響力を実感してもいます。)多くの方が、長男を心配してくださるとともに、行政に対して憤りを共有してくださいました。また、「将来に関しては大丈夫ではないでしょうか。その頃には再生医療とか、医学がずっと進歩しているだろうから」と勇気づけてくださる方もいらっしゃいました。その一方で、我が家の長男は今のところすっかり回復していることや、症状が出た当時きちんと診察を受けなかったために原因が今では特定できない(別にある可能性も否定できない)ために、すでにポリオの生ワクチンをお子さんが接種して何の異常も出なかった方などからは、「将来の不安については大げさでは?報道もいたずらに不安をあおっている気もするけれど」という意見もありました。


さて、放送が終わった今、私は以前にも増して、あるいはかえって、どうにも落ち着かない気分でいます。それというのも、長男のポストポリオ症候群の可能性に関しては、どこをとっても未知数だからです。


現在はとくに症状もないですし、ましていまさらウイルスが検出されるはずもありません。しかも、当時あれがポリオだったのかどうかも、証明するものはなにもありません。今思えば、休日診療ではあっても当時症状が出てすぐに、しかるべき病院を受診すべきだったのでしょうね。たとえ治療に関してはなすすべがなくても、もしかしたら診断がついていたかもしれません。逆に検査してポリオとの診断がつかなければ、それでなおよかったはず、すぐに回復したのですから問題ありません。実は、症状が収まっててから1週間程度経過した後に、かかりつけの小児科の先生に別件のついでに聞いてみたのですが、そのときにはすでに回復していたので、「まあ大丈夫でしょう」と即答されただけでした。そうとしか言いようもなかったのでしょう。


診断のことを私が気にしているのは、万が一将来的にポストポリオ症候群が現れたときに、それがポストポリオと認定されるかどうかに関わるからです。それに関して旧社会保険庁の資料を見つけました。⇒こちら
これを見る限り、当時から片足の麻痺が続いているわけでもなければ、当時ポリオと診断を受けているわけでもない長男の場合、万が一症状が出てきても、ポストポリオとの認定はどうも得られそうにありません。その場合、どうなるのでしょうか。泣寝入りなのでしょうか。ポストポリオで苦労されている方の手記などを読むと、その深刻さは想像していた以上です。働くこともままならない方も多くいらっしゃいます。将来、長男がどんな人生を歩んでいくかは知る由もありませんが、万が一のことがあったときに、例えば障害年金が得られる状況にあるのとないのとでは、心のゆとりも全く違うことでしょう。


ただ一方、その「将来万が一」が本当に出てくるのか、どのくらいの可能性があるのかも、全然わからないんですよね。その情報もありません。そのはずです。我が家の長男のように、ちょっと症状が出てすぐに回復してしまったケースは、おそらく全然把握しきれていないからです。我が家のようにしかるべき医療機関を受診しないでやり過ごしてしまえば、数字には上がってきません。近年も、毎年2名がワクチンによる罹患として報告されているそうですが(その状態が長い間そのままに黙認されてきたことも唖然としますが)、軽症の患者はこれよりずっと多いに違いありません。


症状が出ていないのに、可能性を気にしてもしょうがない、とも思われるでしょうか。たしかに杞憂に終わるかもしれないですし、そうあってほしいです。それでも、ある程度の心構えと言うか、覚悟も、必要ならしておきたいというのが自然な気持ちです。なにせ、将来どうなるのか、どうすべきかもわからず、そのために今、長男に対して何をすべきか、させるべきか、あるいはさせるべきでないか、もわからないのです。ただただ漠然とした不安と、大丈夫だろうという楽観と、そうあってほしいという希望と、いろんな考えや気持ちがごちゃまぜになって、かえって身動きが取れない状況。いまさら、なんですけどね。


ということで、今私が考えていることは、とりあえずポリオの会にメールで相談してみようかしら、ということ。これまでのん気にすごしてきてしまいました(いつものことで)が、これからもう後悔するようなことのないように、少しずつ、身の回りのことから行動していきたいと思っています。

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