若さを保つには亜鉛!

投稿者: 堀米香奈子 | 投稿日時: 2017年02月01日 16:22

前々回、「夜遅くに食べない方がいいもう一つの理由」として、成長ホルモンの減少が老化を早めること、分泌には速やかに深い眠りに入るのが大事なこと、その際に空腹であるべきことをお伝えしました。今回と次回で、成長ホルモンの分泌を促す食事として、亜鉛とアルギニンの可能性について考えます。


成長ホルモン分泌を促す

成長ホルモン分泌に必要な栄養素は、ずばり亜鉛とアルギニンです。と、とりあえず言い切ったのは、実は大学病院の医師にそう指導を受けたからです。気になったので、今回まずは亜鉛から調べてみました。


亜鉛は、微量ミネラルと言われます。栄養学では、人体を構成する元素のうち、酸素、炭素、水素、窒素の4つを除いた他の元素を「ミネラル」と呼び、さらにそのなかでも極めて少量しか存在しないものを「微量ミネラル」、あるいは「微量元素」と呼んでいます。


国立健康・栄養研究所の公開している情報によれば、亜鉛欠乏で成長不良の新生児~子供に、成長促進および健康向上のために亜鉛を経口摂取させることの有効性が示唆されているそうです。また、亜鉛摂取量や血清亜鉛濃度の減少と骨ミネラル濃度の減少は男女ともに関係が見られ、閉経後女性では、亜鉛と銅、マグネシウム、カルシウムとの組み合わせで骨量減少を抑制する可能性が示唆されているとのこと 。何となく、成長ホルモン分泌や老化防止に亜鉛が関与していそうな研究結果ですね。


亜鉛が成長ホルモン分泌を促す詳しいメカニズムも、近年、次第に明らかになりつつあります。ざっくりと言えば、細胞膜には各種の亜鉛輸送体が発達していて、そこに亜鉛イオンが結合すると、様々な信号が細胞内に送られるようになっています。そうした輸送体のうち、軟骨細胞や脳下垂体、肝細胞に多く発現するものは、亜鉛が結合すると、ホルモン受容体のシグナル伝達を制御して、骨代謝と全身成長を調節している、ということです。マウスの実験では、この輸送体が欠如していると、成長が遅れ、首が曲がったり、骨量が低下いたり、背骨が曲がったり、脚が短くなったりすることが確かめられています。
http://p.bunri-u.ac.jp/lab22/laboratory.html


厚労省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によれば男性の推定平均必要量は1日に8㎎、推奨量は10㎎で、成人女性はそれぞれ6㎎、8㎎。男女ともに推奨よりも2~3割程度足りていないようです。


では、どんな食品から摂取できるのでしょうか。文科省の食品成分データベースで、100g中に亜鉛を多く含む食品ベスト100を検索してみました。 結果、断トツなのが牡蠣で、1位の燻製油漬缶詰だと、25.4mgも入っています。2位は小麦胚芽の15.9㎎ですが、胚芽ばかり100gも食べられないので非現実的。3位と4位が再び牡蠣で、水煮だと14.5㎎、生だと13.2㎎となっています。あとはカツオの塩辛、香辛料のパプリカ粉末、からすみ、ビーフジャーキー、スモークレバー、サバ節、と続きます。ここまでで、100g中8㎎。ただし、これらも100g食べるのは難しいか、あるいは塩分過剰などの問題がありそうですね。その後は100位まで(100位だと


意外なのは、ココアや抹茶、ゴマやナッツ類、そして糠や胚芽といった、穀物の精製されて失われてしまう部分、乾燥マイタケにも比較的多く含まれる、ということでした。一度に食べたり飲んだりできる量を考えると、肉、魚、豆をしっかり食べること、そしてプラスアルファとしてナッツや緑茶などを摂るように心がけるとよさそうです。


亜鉛サプリは「老化予防」を謳っていない

さて、この亜鉛、サプリメントとしてそれほど馴染みはないかもしれませんが、大手製品のラインナップには必ず入っています。私の近所の某大手ドラッグストアでは、4社の製品を確認しました。


●A社(日本の製薬企業) 「亜鉛」
・謳い文句:男性のみなぎる元気に。着色料、香料、保存料すべて無添加。
・1日分に含まれるミネラル:亜鉛 16mg、セレン60μg、クロム60μg、カルシウム0.056~0.56mg
・価格:60粒=約30日分850円(税込918円)、120粒=約60日分1,620円(税込1,749円)
・原材料:亜鉛酵母、麦芽糖、セレン酵母、クロム酵母、結晶セルロース、微粒酸化ケイ素、シェラック、ステアリン酸カルシウム


●B社(日本の大手食品グループ系列の健康補助食品会社) 「亜鉛」
・謳い文句:食事のバランスが気になる方に。海藻類不足。毎日の元気が気になる方に。
・1日分に含まれるミネラル:亜鉛 14.0mg、銅0.6mg、セレン23µg
・価格: 30粒=30日分380円(税抜)、60粒=60日分560円(税抜)
・原材料:デキストリン、セレン含有酵母/グルコン酸亜鉛、セルロース、グルコン酸銅、糊料(プルラン)、ステアリン酸Ca、セラック


●C社(日本の大手健康食品・化粧品会社)「亜鉛」
・謳い文句:必須ミネラルで、バイタリティあふれるカラダに。必須ミネラルとは生命活動に欠かせない栄養素のこと。亜鉛はその一つで、たんぱく質の合成や新しい細胞を生み出すのに欠かせない成分です。味覚や皮膚・粘膜の健康維持をサポートします。男性能力にも不可欠なため、アメリカでは「セックスミネラル」と呼ばれることも。食事が偏りがちな方や男性パワーにお悩みの方におすすめです。
・1日分に含まれるミネラル:亜鉛15mg、クロム60μg、セレン50μg
・価格:30粒=30日分267円(税込288円)、60粒=60日分565円
・原材料:(主要原材料)クロム酵母、セレン酵母、グルコン酸亜鉛
(調整剤等)結晶セルロース、グリセリン脂肪酸エステル、二酸化ケイ素
(被包剤)ゼラチン、着色料(カラメル、酸化チタン)


●D社(米国の大手健康補助食品ブランド、日本の製薬企業が輸入・販売)
・謳い文句:皮膚や粘膜の健康維持に。皮膚や粘膜の健康維持に役立つミネラルです。味覚を正常に保つために必要な栄養素です。
・1日分に含まれるミネラル:亜鉛10㎎
・価格:60粒=60日分842円(税込)
・原材料:セルロース、グルコン酸亜鉛、ショ糖脂肪酸エステル


こうやって見ると、各社の謳い文句に、「老化」「加齢」「若さ」といった言葉や、まして「成長ホルモン」のことなど、どこにも触れられていません。ただ、「男性のみなぎる元気」「皮膚や粘膜の健康」と、抗老化を類推させる言葉は見られます。


栄養機能食品 過信と過剰は禁物

実際、亜鉛は厚労省が認める「保健機能食品(栄養機能食品)」として、以下3つの栄養機能の表示が認められています。
●亜鉛は、味覚を正常に保つのに必要な栄養素です。
●亜鉛は、たんぱく質・核酸の代謝に関与して、健康の維持に役立つ栄養素です。
●亜鉛は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。


当然ここでも、「老化」や「若さ」云々、さらには「成長ホルモン」については言及されていませんが、タンパク質や核酸の代謝、というのは細胞の生まれ変わりに関与している、と捉えることができそうですし、加齢により皮膚のハリやツヤ、粘膜の防御機構などに衰えが出てくるもの。ですから、その健康を維持してくれるというのは、老化に少しでも抗い、若さを保つという、めざすべき結果の部分では一致していますね。


ただし、これら栄養機能はあくまで亜鉛一般の話であって、個々の製品の効果を保証したものではありません。栄養機能食品は、

・製品の1日当たり摂取量に含まれる亜鉛が、国が定めた上・下限値の規格基準=に適合していること。
・定められた注意喚起表示等を適正に併記すること。

という2つをクリアすれば亜鉛の栄養機能を製品ラベル等に表示してかまわない、というもので、国への許可申請や届出は必要ないのです。(そのあたりは、「ロハス・メディカル」2015年9月号「それって本当? 食品の健康機能表示 国は責任を取らない」でも書いていますので、よろしければチェックしてみてください)


例えば上記の亜鉛4製品の場合、どの製品も1日に10~16㎎の亜鉛が摂れるように作られていますが、亜鉛だけを摂れるものと、その他にクロムやセレンなどの微量ミネラルも一緒に摂れるようになっているものがあります。価格も1日10円未満~30円弱と、かなり幅があるようです。内容や成分量で選ぶのか、価格で選ぶのか、はたまた企業やブランドへの信頼で選ぶ、という手もあります。選択基準はその人次第ですが、サプリメントはあくまで「食品」ですから、過度な期待をするものではない、とわきまえておきましょう。


また、どんなサプリでも、過剰摂取すれば副作用のリスクはある、と考えておく方が安全です。そしてどの製品を選んだにしても、定められた1日当たりの摂取量は必ず守ること。少ない場合以上に、過剰は問題になる可能性があります。


特に亜鉛は、同じ微量ミネラルである銅の吸収を阻害するようなのです。「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、「耐用上限量」を成人男性は概ね45mg、成人女性は35mgとしています。どの亜鉛サプリも、1日分ならば食事からの平均的な亜鉛摂取量を加えてもこの値を超えませんが、2日分を飲んでしまうと、食事の内容によっては合計摂取量が耐用上限量を簡単にオーバーしてしまいます。

というわけで、サプリメントに依存するのでなく、まずはこの時期、牡蠣鍋やカキフライ(生ガキはノロが怖いですしね)をせっせと食べるように心がけましょう。毎日牡蠣というわけにもいきませんが、肉類、魚介類、豆類などのタンパク質をバランスよくしっかり摂っていれば、亜鉛も同時に摂れそうです。「今日は亜鉛が足りなかったかな」と思ったら、サプリを飲む、というくらいでいいかもしれません。次回はアルギニンについて考えます。

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