それゆけ!現場リポート①
何でもケアマネ
クリニックでは、現場スタッフたちの意見を梅村議員にぶつける場が設けられました。
山下ケアマネジャー 独り暮らしの方の所に入っていくことがあります。入院してもがん末期で家に帰すという(国の)流れが出てきていて、私たちも最期まで看取ることが何とかできるようになってきていますが、看取ったその後、残った財産というものをどんな風にするのか。ドクターも看護師も看取れば仕事は終わりですが、ケアマネは終われないんです。その方が生保(生活保護)であればケースワーカーに委ねて終われるんですが、身寄りのない独居の方は、どうなるんでしょうか。成年後見人という制度もありますが、時間と費用がかかります。その手続きに間に合わない場合、私たちは一体どこまでしていかないといけないのか。する方がいないから、私たちがしているところが本当にたくさんあります。他にも例えば、通院時に家族が仕事があって付き添えなくて、ヘルパーが院内に付き添うと介護保険サービスにならず、自費請求になります。経済的に負担が大きい方には、ケアマネが付き添い、先生からのお話をケアマネが聞くということになるんです。その内容を家族に伝えられる方ならいいんですが、そうではない方だと、手術や治療方針を、自分で決めかねる方は、その判断を、どこにもっていくのかという問題があります。それと目の見えない方がインスリンを打つとき、ヘルパーが打つことはできないのですが、訪問看護師を毎回利用すれば、介護保険の単位数が数日で無くなってしまうので、その辺をヘルパーでもできるようになったらと思います。
梅村 最後のような内容は、もう少しで動かせるかもしれません。関係者間でちょっと議論がありますが、例えば医行為から外してしまう。それは早いんです、通知1個出せば済む話なので。もう一つは法律を変えてしまって、医行為のままでそういう職種の人たちにやってもらうという道もあります。僕は個人的には、どちらでも対応できたらいいなと思っているんです。インスリンと胃ろうと痰吸引、これらは大きな課題です。介護保険の問題点も、よく聞いています。ケアマネの方は、どこまでやればそういう仕事は終わるんですか?
山下 エンドレスです。利用者ごとに違って、家族が出てきたらその辺で移していけるというのはあるんですけど......。
長尾 家族がおっても、来られない方はおられますしね。
梅村 それだとボランティアでしょう?
長尾 もちろんボランティアです。義務はないんです。ただ、そこまで誰もやらないから、半分はケアマネ業務で半分はボランティア。本来やらんでもええようなことをやってるんです。
山下 7、8年前の話ですが、認知症の方が突然介護者のご主人を亡くし、身寄りも無く、財産の管理で困った時に、地域の支所を頼り相談に行ったんです。そしたら「ケアマネジャーではこれ以上無理でしょう」と調整していただけました。こういう本当に困っている方を行政が見ていけてもいいと思うんです。その窓口に、地域包括支援センターになっていただいて、予防給付を行うのでなく、地域の高齢者や障害を持たれている市民の把握や支援をしていただけたら。生きているか死亡しているかも分からず、年金が何年も支払われていたというようなことはないようにしていただきたい。行政はそばにいるんですよということを、市民に分かっていただければいいと思います。
長尾 生活保護にならない人やね。セーフティーネットに引っかかる手前の人は全然受け皿がないということですよね。
梅村 生活保護を受けちゃった方が早いわけですよね。福祉事務所のケースワーカーが入りますからね。
山下 週末に亡くなりそうだなと思ったら、ケースワーカーに電話して「この御遺体どこに運んでおきましょう」とか、葬儀屋さんについて聴いておくんですよ。葬儀屋さんが預かってくれたら、私の仕事はそこまでになるんですけど、生保じゃない方は、ケアマネが受けることになってしまうんです。
梅村 そういうことは尼崎市議会で議論にならないんですか?
長尾 ならないでしょう。アンタッチャブルな世界なので、行政も市も誰もやらない。そういう日本になってしまった。なんだか外国の話みたいですね。
梅村 これは整理して、また今度やりましょか。