中医協委員、大阪で現場医師らと診療報酬を議論
中医協の診療側委員5人が9月23日、大阪市内で開かれた医療フォーラムで診療報酬改定について議論し、会場の医師らと意見交換した。厚労省によると中医協委員が揃ってイベントに登壇した例はこれまでないという。会場からは地方の看護師不足を加速させたと言われる7:1入院基本料や入院中の他科受診の問題などのほか、在宅医療や有床診療所、薬剤費の問題など様々な意見が委員にぶつけられた。(熊田梨恵)
フォーラムに登壇したのは、京都府医師会の安達秀樹副会長、国立がん研究センターの嘉山孝正理事長、日本医師会の鈴木邦彦常任理事、全日本病院協会の西澤寛俊会長、全国公私病院連盟の邉見公雄副会長。梅村聡参院議員(民主)が各委員に参加を呼びかけて行われたもので、後援会の主催。約300人の医療者らが参加し、予定の2時間半を1時間超過して議論が行われた。診療報酬改定を担当する厚生労働省保健局医療課の姿はなかった。
<梅村議員のあいさつ>
今日は多くの方にこの医療フォーラムにご参加いただきまして、本当にありがとうございます。今日は参加者名簿を見させていただきますと北海道から九州まで、ひょっとしたら沖縄の方も来られているかもしれませんが、遠いところから来ていただいたことを感謝を申し上げます。私も当初は勉強会ということでしようかと思っていましたら、あれよあれよという間に大きな会になってまいりまして、こういう場で少し席も狭い状況ですが、何卒ご容赦を頂きたいと思います。また本日は中医協の5人の先生方にもお越しを頂きました。本当に来年の報酬改定に向けてお忙しい中、この3連休に来ていただきましてありがとうございました。
私が今日こういう形でぜひ多くの先生方に議論を聞いていただきたいと思ったその理由はですね、先日2月に私自身の国政報告会を開いた時に、診療報酬が国会で決められると仰った医師の方がおられたんです。私が「いえ、それは国会では決めないんですよ。中医協の先生方の議論が方向性を決めて作っていくんです」と言ったら、「中医協ってなんや?」と言われまして、私自身が非常にショックを受けました。どういう形で議論されて、どういう考えの下で決まっていくのかということを知っていただくことが非常に大事だと私は思っておりますので、今日は5人の先生方にご無理を申し上げて、この大阪に来ていただきました。
御存知のように来年度は診療報酬改定が、医療介護の同時改定が行われます。一方で国会では来年度予算を詰めていく、9月末が概算要求の末ですから、今そこを詰めているわけです。私はやはり政治と厚労省、中医協が連携していかないといけないと思っています。昨日も私は厚労副大臣や厚労の部会でもお話をしました。地域医療再生基金というものがあります。これは毎年補正予算で何千億と積まれていくものです。ところが一方で、この地域医療再生基金がどういった目的で使われて、その効果はどうだったかという検証が全くなされていない。ですから私は予算は組むことも大事だけど、組んだ後にどのような結果を生んだかという検証も大事なんじゃないかと思います。地域医療再生基金は毎年何千億と積まれていくわけです。一方で診療報酬は、2年前の0.19%は国費で言うとわずかその何十分の一億かの100億や200億の話、それで大騒動を起こしているわけなんです。私たちは本当にその予算の組み方が効果のあったものなのかどうなのか、あるいは各都道府県できちっと検証されたものなのかどうなのか、医療崩壊に対して効果的な予算の使い方なのか、本来は診療報酬で手当てすべきものではないのか、こういうことをしっかり議論し検証していくことが大事だと思っております。
そういった意味で言えば、この中医協での議論は、今後政権を運営していく意味でも、社会保障を考えていく意味でも、非常に重要な観点だと思っておりますので、今日は少し長丁場になりますが、先生方にこの議論に参加していただいて、質問時間はたっぷり設けておりますから、ぜひ参加型のフォーラムにさせて頂きたいと思っております。この後、先生方の話に続きますから、私の話はここで終わらせていただきます。今日はどうもありがとうございます。
(拍手)
続いて、大阪府医師会長の伯井俊明氏が来賓あいさつ。
各委員が診療報酬改定などについてそれぞれ講演した後、会場からの質問を受け付ける形でディスカッションが行われた。「現在の医療費をめぐる問題がダイジェスト版として並んでいた」(梅村議員)ため、こちらを紹介したい。
【目次】
P2→①被災地の医療機関への診療報酬特例加算「国庫補助でやるなら可能」
P3→②医療材料費と薬剤費「薬剤費を上げるばかりの主張は無茶」
P4→③7:1など看護師問題、地域格差「地域への財源と権限の委譲も一つの方法」
P5→④入院中の他科受診「公平性をどう考えるか」
P6→⑤慢性期入院医療「赤字の診療行為はあってはならない」
P7→⑥在宅医療「チーム体制をどうつくるか」
P8→⑦有床診療所「フットワーク軽くコストパフォーマンスもよい」
P9→⑧新薬創出加算「継続するなら長期収載品の追加引き下げするかどうか」
P10→フォーラム懇親会、終了時の梅村議員のあいさつ