「認知症の私と輝く大賞」5活動を表彰しました~ハート・リング通信㉘
ハート・リング運動専務理事 早田雅美
2月号でご案内した「認知症の私と輝く大賞」発表会が、2月27日に開催されました。認知症の人が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けていけるようにするための優れた地域の取り組みを選定、表彰しようと企画され、厚生労働省の平成27年度老人保健事業推進費等補助金で行われたイベントです。
第1回となる今年は、以下5つの取り組みが表彰されました。優劣を競うことが目的ではありませんので、選ばれた5つは、それぞれに個性を持った同じように優れた内容と言うことができます。
北から順に、まず岩手県矢巾町の「矢巾わんわんパトロール隊」が選ばれました。普通に犬の散歩をしている住民(隊員)の皆さんが、道に迷ったり行方不明になったりしたお年寄りを見つけて地域包括支援センターへ連絡をするという内容です。行方不明になった認知症の方の捜索は、今は主に警察の仕事になっていますが、地域の皆さんが自分事として連携をしている素晴らしい取り組みです。
二つ目は、仙台市で若年性アルツハイマー病と診断された丹野智文さんが中心となって活動する「おれんじドア」。認知症の方による、認知症と診断された方のための、もの忘れ総合相談活動です。丹野さんと話すことで多くの方が前向きな気持ちを取り戻しているそうです。
東京町田市の「DAYS BLG! NPO町田市つながりの開」と「町田市認知症本人会議」が展開している「やりたいことができる・認知症の方が自分たちでつくるデイサービス」も選ばれました。自分たちが行きたいカフェを企画して、運営も自分たちでこなしています。
愛知県田原市の「元気はいたつ便」は、田原市図書館が始めたサービスです。デイサービスやグループホームなどへ、スタッフが本や昔懐かしい民具などを持ち込んで、お年寄りたちと会話のきっかけをつくりだすことで「回想法」という軽いトレーニングにもなるというものです。
五つ目は、奈良市の『SPSラボ 若年認知症サポートセンター「きずなや」』の梅林の再生活動です。メンバーは地域の認知症の方々で、多くの皆さんが地域のためにやりがいと楽しみを見出しているということでした。
こうした表彰活動は、継続していくことによって社会への啓発や、認知症の方に対する理解の深まりに結び付きます。企画の中心であるハート・リング運動では、この行事への協賛企業を募集し、2017年度に第2回目の発表会を行いたいと考えています。