リアルとバーチャル

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2006年07月12日 18:30

自分で業界に身をおいて言うのも何だが
メディアは虚業である。
単体では何の意味も持てない。
コンテンツとなりうる「実」があって初めて存在価値がある。


「虚業だからナンセンス」、と言うつもりはない。
正当な価値を見出されずにいる「実」を発見し
その価値を増幅することはできる。
つまり、メディアは世の中の「価値の総量」を増大させるのだ。


こう信じてきたから
メディアに身を置いて恥ずかしいと思うことがなかった。
しかし今日ふと思った。
本当にメディアは価値の総量を増大させているのか?
むしろノイズを増やし
見出されるべき価値を埋没させているだけではないか。


なぜ、こんなことを思ったか。


半年ほど前から、
フリーペーパー・フリーマガジン広告媒体.comというサイトに
ロハス・メディカルの情報を載せている。
このサイトは「メディアのメディア」であり
我々が「実」の側として取り扱われる。
無料で媒体情報を周知できるので有り難い・・・
と思ったのだが、変な問い合わせばかり来るのである。


どう変かというと
冷やかしが多く、しかも相手は
ロハス・メディカルの中身がほとんど広告で
健康食品とかダイエットとか美容とかの情報が多いに違いない
と思い込んでいるのである。


そういう問い合わせが来るたびに
「ちゃんと病院に行って見てみろ!」と心の中で毒づいていたが
きちんとした問い合わせが一件も来ていないことに気づき
こちらの認識が間違っていたのだ、と思い当たった。


このサイトを見に来る人は
「いわゆるフリーペーパー・フリーマガジン」のうち手ごろなもの
を探しているのであって
「他に類を見ないオンリー1媒体」など探してはいないのだ。
このサイトで見つけた媒体を自分で読もうとは思っていないのだ。
サイトに掲載した時点で
ロハス・メディカルも他のフリーペーパーと同様のものですよ
という暗黙のレッテルを自ら貼ってしまったことになるのだろう。
考えが浅はかだった。
本当に自信のある飲食店はホットペッパーにクーポンなど出さない。
同じことだ。


メディアに載れば価値が増大するという無邪気な暗黙の了解
(ほとんどの人は言語化して認識していないと思う)は
いまだに世の中を覆っているような気がするけれど
今日私が愕然としたように
いずれ気づく人が増えてくるに違いない。


その時に生き残れるメディアでありたい。

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