第2回

投稿者: | 投稿日時: 2006年08月03日 09:28

やっとの思いで到着した病院で痛み止めの注射をうってもらう。

「心配だから、明日胃カメラをやりましょう」
落ち着いたところで、ドクターがひとこと付け加えた。
「やはり、胃潰瘍とか・・・、まさか胃がん?」
一瞬大げさな不安が過ぎる。


しかし、
出血もなく、胃痛とは質もちがうことぐらいは私にもわかる。あっさり否定。
翌日の番組収録のほうが気になるくらいに痛みは和らいで、
診察室を後にした。


ところが、

薬を待つ間にまたあの痛みに襲われる。
立っても座っても強くなる。その激しさに呆然とするばかりだった。


「大丈夫ですか?」
警備員さんや病院職員の顔がゆがんで見える。
夜間診療時間ゆえに人もまばらなロビーで、
私は抱きかかえられるように病棟へ運ばれた。


一滴ずつ点滴が落ちていく。

もう、自分のからだが壊れかけていることを自覚せざるを得ない。
そこまできてしまったようだ。

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胃カメラ、超音波、血液検査。
どれだけ検査をしても「正常」という結果しか出ない。
ドクターは首を傾げるばかりだ。

一方、痛みは頻回になっていく。
耐え切れず、痛み止めの点滴に通う日はつづいていた。


診断はつかない。


「神経性なんじゃないの?」
ナーバスな私に突き刺さる視線、ことば。

「どんな神経なんだよ!」
心の中で吐き捨てるほど、それがつらかった。


その夜。

痛みがおさまらずうめき声をあげる私を前に、ドクターが考え込む。
はじめて受診したときからずっといっしょに悩んでくれていた、
信頼するドクターたちである。

「もしかして」

点滴が終わるころ、ふたりが口にした病名は、
まったく聞いたことがなく、想像すらつかないものだった。

                                               <次回へつづく>


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コメント

続きが非常に気になります。