医療の機能分化と役割分担(2) |
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投稿者: 真木魔愛 | 投稿日時: 2006年09月02日 22:28 |
K先生は、診れないのではなく、その91歳の熱を出した患者さんが、自宅で週末を過ごすことが不安なのです。もし急変したときの為に入院できたら安心なのです。特に積極的な治療を施してもらいたいわけではありません。
そして、そんなことはY先生だって百も承知です。
大きな病院と連携しているから、いつでも救急時には対応できることが診療所にとっては“売り”であり信頼なのです。
それを、拒否してしまえばK先生の顔をつぶすことになります。二度とこんな病院に紹介したいとは思われないでしょう。
K先生は時間に関係なく往診をして、何百人に及ぶ地域の患者さんを診ています。時には深夜に救急車に同乗して病院に見えることもありました。そんな時に若い当直医が、あから様に嫌な顔をして、「この程度で、どうして救急車で来るんだ?」如き対応に最も閉口するとおっしゃいます。
でも、勤務医経験だけのY先生に、K先生のご苦労は理解できなくて当然なのです。
Y先生、医局で、それも大勢の医師が休憩していた昼時間に、あまりに興奮して大声を張り上げられたので・・・
数日後、院長の耳に入ることとなり、ロケット級雷が落ちました。
「首だァ~~~。お前は医者のくずだ、馬鹿もんが。恥知らずは、大学へ返してやる。ここには要らない。出ていけー」
病院中に響き渡るような声で大目玉をくらったのですが、その様子をうかがっていた事務長が、私に耳打ちしました。
「あーあ、これで当分、連携室は医局で総スカンくらうよ。仕事、ますますやりにくくなるよ」
(うーん、院長にチクッたわけではないんだけど・・・)
Y先生の言い分は、まさに病院の医師たち本音の一部でもあるのです。
肝心要の患者さんと、その後のY先生がどうなったかは、次に続きます。
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コメント
K先生、お若いから素直に感情表現をしてしまったのだと思います。
老練になると一筋縄では行きませんからね、人間なんて所詮は同じなので有ろうと思えます。
人間という特別な名目を旗印にして人間を眺めていると。
悩みは尽きないと思います。
しかし、人間則ち人類と言う視点で人間を見ると、案外理解がし易い場合もあると思えます。
その人類から人間に成長する為の実践の場がこの世であり、学問が有ったり、哲学が有ったり、又宗教が有ったり、諸先輩方がおられてりするのでしょうが、
現在は総てが不在、
神無月の様な時代なんでしょうね、
夏目漱石先生が草枕の文頭で、
坂道を(登り)歩きながらこう考えた。知にはたれけば、角が立つ、情に竿させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかく人の世は住みにくい、、、、。
要するに、人間の世は住み難いのですね、
知能が高等になれ、ばなるほど住み難い。
有る知人が昔、こんな事を言ってました。
人間とは一体、何だろう、、、。
要するに人類なんですよね。
でも、院長先生は流石、経営者、経営の本質を心得、K先生を怒鳴ったのであろうと、想像に難く有りません。
資本主義の経営理念は利益の追求なのです。お客様は神様なのですね。昔、こんな歌、流行っていませんでしたか!?
K先生を罵倒した、院長先生のそれがもし本音の言葉だったら、世の中もっと信頼できる様な気が致します。
人間の世界はどの世界も大方、同じような気がいたします。
人間は欲深く、嫉妬深く、拘りを持つ、
この続きは漱石先生の草枕をどうぞ、、、、。
次回がますます、楽しみです。
ホントに次々とエピソードが出てきますね。
実に面白いです。
>m、n。様
現代は神無月、なるほど。だから教祖様のような方が現れて、地下鉄サリン事件のようなことも起こるのか・・などと、ちょっと違った方向に思考が飛んでしまいました。
>川口様、m、n。 様、
書くことで、自分の垣間見た世界が、面白く愉快な側面もあったのかと気づくことに、驚きと同時に感謝したい気持ちになりました。
読んでくださる方がいるって、ものすごい励みになるのですね。
ありがとうございます!
神無月(ジョ-ク)云いたい事を正しく理解頂け光栄です。パソコンに向かい、笑みがこぼれました。流石!
魔愛さん、ガンバ!!